さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2017年02月27日

ダンテ・クラブ マシュー・パール著 新潮社

 著者はダンテ学者のハーヴァード大学教授。
 学者のミステリー小説なので、衒学的である。
 アメリカで、ダンテの「神曲」を翻訳した詩人のロングフェローの時代。当時南北戦争後ボストンが舞台で、その時代の様子が良く出ている小説である。
 ロングフェローの翻訳を支援する集まりが「ダンテ・クラブ」を主催した。それに反対するハーヴァード大学の理事会はいろいろな妨害工作をする。
 おりしもボストンでダンテの神曲の地獄の場面を示唆した連続殺人事件が起き、ダンテ・クラブが事件解決を図る。
 犯人は意外なところにいて、南北戦争の影響があったことが明らかになる。
 ダンテの神曲を巡る小説としては、ダン・ブラウンの「インフェルノ」があるが、そのダン・ブラウンも脱帽したという触れ込みで、ロングフェロー、ホームズ、ローウェルなどの著名な詩人が生き生きと描かれていて、アメリカ人にとっては、たまらない小説なのだろう。  


Posted by 北のフクロウ at 08:47Comments(0)読書

2017年02月16日

エルサレムから来た悪魔 アリアナ・フランクリン著 創元推理

 12世紀のケンブリッジはかくも田舎であったか。
  時に十字軍がエルサレムの巡礼者をイスラム教徒から守るために、中東に遠征した。
  キリスト教の教会の力が強く、それに対抗する王もさほど力が無かった。
  ケンブリッジで幼児の惨殺事件がおき、ユダヤ人が犯人とされる。
  その事態を解決するために、イングランド王は旧知のシチリア国王に調査員を依頼する。
  そこで、指名されたのが、ナポリの調査官と検視に優れた女医者(解剖等によって死因を判断できる医者)を派遣する。
  医学はイスラム諸国のほうが進んでおり、シチリア王国下にあるサレルノ大学で医師となり、検視医者のアデリアを派遣する。
  彼女の働きで、事件は見事に解決するが、逆に犯人側からは宗教裁判で、修道女から逆に訴えられる。
  このあたりが中世のイングランドの様子をうかがうことが出来て、面白い。
  恐らくエリス・ピータースノミステリー「修道士カドフェル」の生きていた時代に近いのではないか。カドフエルの場合はヘンリー1世死後の混乱したイングランドであり、アデリアの時代はヘンリー2世であった。
 この小説もアデリアを主人公にして、シリーズ化されているようである。  


Posted by 北のフクロウ at 18:45Comments(0)読書

2017年02月16日

ネメシスのささやき アン・ズルーティー著 小学館文庫

 アン・ズルーディのヘルメスシリーズの5作目。
 これまでの作品のうち、一番良かった。
 ギリシャには埋葬後4年目に掘り返し、改葬する風習があるという。
 芸術家は往々にして、死後名声が上がることがあるが、詩人は一度死んだ振りをして、再びこの世に出現するということを考えた。
 身代わりに豚を埋葬したのが、改葬してそれが明らかになったことから、大事件となった。
 そこで登場するのが、太った調査員、ヘルメスである。
 最終はヘルメスらしく、見事な解決策を講じるが、ミステリーとしては異色の作品であることには、変わりがない。
   


Posted by 北のフクロウ at 18:25Comments(0)読書

2017年02月05日

ネットフォース トムクランシー著 角川書店

 スティーブ・ビチェニックとの共著。
 2010年の近未来小説ということで、ネット・フォースシリーズの第1作目に相当する。1999年以前の作品と思われ、2017年現在としては
近未来というよりは過去の話になってしまった。その結果、合っているところもあるが、違う所もある。
 ネット・フォースというFBIの下部組織と、マフィアと、チェチン人のコンピューター・テロリストの三つ巴の抗争である。
 今のことばでいうと、サイバーテロということになろうか。コンピューター時代となって戦争も情報戦が重要になってきた。
 ここでは個人のテロリストであるが、国家的なサイバーテロの時代になって情勢はもっと複雑になってきた。
 いつも時代を読むことに定評のあるトム・クランシーであるが、まだその本領は発揮できていないように思える。その後進化したのであろう。  


Posted by 北のフクロウ at 21:03Comments(0)読書

2017年02月05日

札幌交響楽団 名曲シリーズ 雪あかりの物語

 2月4日(土)キタラ
 高関健指揮 ピアノ 牛田智大
 名曲シリーズでは過去最大の聴衆動員数ではなかったか。
 これほど満席に近い聴衆を見たことはなかった。
 何によるのか。
 一つはピアノの牛田さんの人気。今若手のホープである。
 もう一つはプログラム。
 札幌交響楽団の得意のシベリウスの交響曲第二番がプログラムに入っていた。
 牛田さんのショパンのピアノ協奏曲第二番は音もきれいで、力強く、見た目にも若武者のりりしさがあり、聴衆を魅了した。
 アンコールのショパン即興幻想曲もたしかなテクニックを聴かせた。
 4月にソロの演奏会があり、ここでも多くの聴衆を集めるだろうと思われる。
 高関さんは前の札響の指揮者であったから、楽団員と気心も知れており、名演であったと思う。
 それにしても定期演奏会との聴衆の数をどう判断したらよいのだろうか。
 プログラムか指揮者か。演奏会の曜日、時間か。聴衆の年齢層も若干違うようにも思う。分析が必要であろう。
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Posted by 北のフクロウ at 20:31Comments(0)音楽