さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2019年02月25日

札幌交響楽団名曲シリーズ 愛を奏でるラフマニノフ

  名曲シリーズは聴衆の入りが良い。
  特に今回はお客が多かったように思う。
  指揮は尾高忠明さん、ピアノソロが岡田奏さん
  プログラムにラフマニノフのピアノ協奏曲第2番があって、岡田奏(かな)さんが弾いた。
  ラフマニノフに、岡田奏さんの奏でるをかけたネーミングの巧みさがプログラムの魅力の一つだったかもしれない。
  他の作品は、
  芥川也寸志の「弦楽のためのトリプティーク」
  ムソルグスキーの「展覧会の絵」
  展覧会の絵はともかく、芥川の作品はあまり知名度のある作品とは言えず、ラフマニノフと岡田奏の組み合わせが良かったのかもしれない。
  岡田奏さんは若いが、実力のある演奏家である。ラフマニノフは難易度の高いピアノ曲であるが、らくらく弾きこなしていた。
  アンコールで弾いたシューマンの「献呈」(リスト編曲)も聴き応えがあった。
  アンコールといえば、最後に「弦楽のための悲曲」(チャイコフスキー作曲)がアンコールで演奏された。
  お得意感いっぱいの演奏会であった。   


Posted by 北のフクロウ at 09:07Comments(0)音楽

2019年02月25日

鉄の絆 ロバート・ゴダード著 創元推理文庫

ゴダードの初期の小説は、現代と過去の歴史を絡めたものが特徴であった。
 ここではスペインの内乱時代の出来事が伏線となっている。
 ある老女が殺されるが、彼女は殺されることを予測し、殺人者の意図を防止する手立てを講じていた。
 殺人を意図したのが、甥であり、父親の著作権が絡んでいた。しかしその甥も娘の誘拐事件の犯人に、殺されてしまう。
 その甥の殺人事件はスペイン戦争に遠因がある。
 ということで、輻輳した原因で、殺人事件が起き、主人公がその解決に奔走する。
 女性が主人公であるのが珍しい。しかもハッピーエンドで終わるところがいい。  


Posted by 北のフクロウ at 08:49Comments(0)読書

2019年02月25日

永遠に去りぬ ロバート・ゴダート著 創元推理文庫

 小説にはキャラクターの小説とプロットの小説があるという。
 ゴタートはプロットの作家であるという。どちらかいうとキャラクターのほうがプロットに比較してより芸術的であるという。
 日本で言うと芥川賞作家と直木賞作家の違いであろうか。
 山でであった女性の一言が気になっていた主人公が、殺され、いろいろ調べていくと見た感じと異なる淫乱な女性であるかのように思われてくる。犯人はDNA検査で推定されたが、犯人は否定する。真相は何か、というところで、意外な真相が明らかになる。
 犯人が誰かは、このようなブログでは明らかに出来ないが、一見そうでなさそうな人が犯人であることがこの主の小説では常套手段である。  


Posted by 北のフクロウ at 08:38Comments(0)読書

2019年02月16日

札幌交響楽団第616回定期演奏会

 オールラヴェルの意欲的なプログラム。しかも広上さんの指揮とあれば、楽しくないはずが無い。
 しかもピアノソリストにジャン・エフラム・バヴゼを迎えた二つのピアノ協奏曲。
 道化師の朝の歌
 ピアノ協奏曲ト短調
 古風なメヌエット
 左手のためのピアノ協奏曲ニ長調
 ラ・ヴァルス
というプログラムであった。
バヴゼのピアノはラヴェルのスペシャリストだけあって、素晴らしいものであった。
しかもアンコールに「道化師の朝の歌」をピアノで演奏したのは、オーケストラとの比較ができて、興味深かった。
 ピアノがヤマハのCFXというピアノを使用してしていて、バヴゼの力強い演奏にマッチしていたように思える。
 ラ・ヴァルスは広上さんが指揮台の上で踊っていた。目でも楽しむことができた。  


Posted by 北のフクロウ at 08:43Comments(0)

2019年02月15日

千尋の闇 ロバート・ゴダール著 創元推理文庫

 前にゴダールの「千尋の闇」を読んだことがあると書いたが、本当かなと疑わしくなって、図書館で借りて読んだ。
 結果、別の本と間違っていたことがわかったので、訂正する。
 ゴダールの1作目に当たる力作で、ビクトリア女王時代のアスキス、L.ジョージ、チャーチルなどのイギリス政界の時代の出来事と現代を結んだ3代に渡る復讐事件である。一種の謎解きであるが、複雑な人間関係と歴史的事実を絡めて、読み応えのある作品である。
 ゴダールにはまり込みそうである。  


Posted by 北のフクロウ at 09:38Comments(0)読書

2019年02月15日

フェルメールの憂鬱 望月諒子著 光文社

 フェルメールは好きな画家の一人である。恐らく日本人の大半は好きな画家であろう。
 今まで、10数枚は本物を見ただろう。実在している作品は30数枚といわれているから、1/3は本物を見ていることになる。
 携帯の待ち画面も「青いターバンの少女」を入れている。「光の王国」のフェルメール展で、撮った写真を入れた。偽者に「光の王国」展を加えると全作品を見たことになる。
 この画家は20世紀になるまで、ほとんど知られていなかった。存命のときは絵は売れず、宿屋をやりながら、細々と絵を描いていた。しかもほとんどの絵が自宅のアトリエで描いたものだ。
 この本のなかで、詐欺師がフェルメールを表現した言葉がある。
「名画とは値段の高いことだ。・・・・フェルメールはしかけられたブランドだ。トレ・ビュルガーというフランスの画商がフェルメールを高く売り出した。彼は70点余りをフェルメール作品として売り出した。贋作が省かれて今は30点余りが真作と言われている。
 フェルメールの作品で安全確実というのは少ない。・・・・・
 「青いターバンの少女」は1881年に2ギルダー30セント、100ドル程度で取引された。・・・・この少女のちょっと開いた口元は魅力というよりだらしなさを感じるし、目に知性や意思は感じられない。頭の悪いメイドを着飾らせたみたって感じ。彼女には文化の香りがまったく無い。物語性も主張も無い。・・・・・それでも壁を飾る100ドルのインテリアが、いま市場にでれば1億5000万ドルは固い。」
 この小説では、メトロポリタン美術館からフェルメールの「少女」が盗まれ、日本の新興宗教の所有する美術館に売られるが、さらに詐欺師の手によって取り戻されることをテーマにしている。これにベルギーの教会にあったブリューゲルの作品の盗難がからんで、複雑な様相を呈する。ここら辺が望月さんの真骨頂で、前作の「大絵画展」の流れである。
 画廊と美術館の関係など、興味深い。

   


Posted by 北のフクロウ at 09:27Comments(0)読書

2019年02月08日

チェイシング・リリー マイクル・コナリー著 早川書房

 マイクル・コナリーの非ボッシュ作品。
 主人公がベンチャー企業の研究者・経営者というのが、異色の作品。分子コンピューターというのは知らないが、そのような新分野を研究する化学者が、電話を変えたところ、元の持ち主がリリーというエスコート嬢で、その存在に強く惹かれる。その背景が主人公の姉の殺人事件にある。ボッシュシリーズで出たドール・メーカー事件の被害者の一人であったことがわかる。
 「堕天使は地獄へ飛ぶ」で地検検事であった女性検事がその3年後に、刑事弁護士として、主人公の弁護を担当する。
 ここでは出てこないが、ボッシュが定年退職していることが明らかにされている。
 ボッシュの刑事としての犯人探しの手法は、研究者の問題解決手法と似ていると思っていたが、実際に研究者が主人公となって、リリー殺人事件を解決する手法は、やはり研究者の手法であって、仮説を立て、結果を推定しながら、真理に近づくというところは興味深い。
 原題は「チェイシング・ダイム」であって、ダイムは10セント硬貨。ベンチャーで研究の成果をお金を追求する姿勢を示している。
 ダイムをリリーという女性に置き換えて、俗っぽい小説のイメージを与えてしまった。チェイジング・マネーのほうがよかったのでは・・・・・。  


Posted by 北のフクロウ at 12:58Comments(0)読書

2019年02月08日

血の裁き ロバート・ゴダード著 講談社文庫

  肝臓移植医がセルビアの民兵リーダーの肝臓移植を執刀し、成功する。その結果、紛争で何百人の虐殺を間接的に手助けしたことになる。そのことがきっかけで、離婚間近であった妻が殺害される。そのきっかけが肝臓移植医にあるとおどされ、拘留中の元民兵リーダーの娘から、隠し金のありかを知っている元民兵リーダーの元会計士との交渉を引き受けざるを得なくなる。果たして、隠し金の回収はうまくいくのか、・・・・・。テンポがよく、意外な結末が待ち構えている。
 イギリス人のミステリー作家らしく、コソボ紛争を題材として、国際的な展開を見せていて、なかなか読み応えがある。  


Posted by 北のフクロウ at 12:36Comments(0)読書

2019年02月04日

遠き面影 ロバート・ゴダート著 講談社文庫 

 ロバート・ゴダートは以前に「千尋の闇」を呼んだような気がする。
 「遠き面影」はテンポのよいサスペンスで、14世紀、18世紀の歴史を踏まえて、重層なミステリーとなっている。
 ジャーナリストの死亡事故をめぐって、誰が犯人かが明らかになるが、歴史が絡んでいる。
 歴史が絡む指輪の競売が盗難にあって、なぞが深まる。「遠き面影」のタイトルになった家政婦の面影を主人公はどこかであったような気がする、という。この謎も意外な解決を見る。主人公に競売の立会いを依頼した共同経営者が殺害され、犯人として家政婦が疑われる。
真犯人もわかり、意外な形で事件の解決が図られる。まずまずハッピーエンドの小説なので、安心して読めるところがよい。
 しばらく、死体や殺人現場のおどろおどろした小説ばかりを読んでいたので、後味のよい小説で読後スッキリした。
   


Posted by 北のフクロウ at 09:00Comments(0)読書