さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2014年01月31日

The Ark失われたノアの方舟 ボイド モリソン著 竹書房

 すごい作家がアメリカにいるもんだ。キャリアがすごい。作家であることはもちろんだが、俳優でエンジニア。それも並のエンジニアでない。NASAの宇宙士用訓練機の設計、RCAやマイクロソフトにも勤務している。電子書籍の出版で一躍
時の人となった。本シリーズタイラーロックの冒険では4作まで出版されているという。ジェームズ・ロリンズ(マギの聖骨作者)が絶賛しているというキャッチコピーでもわかるように、歴史それも聖書に出て来るノアの方舟と狂牛病の病因といわれるプリオンを絡ませ、スーパーマン的活躍をするエンジニアが主人公で、世界を滅亡に追いやろうとする悪の宗教法人を相手に活躍をする。それに美人の考古学者がいて、聖書のなぞ解きをする。果たしてノアの方舟は存在したかというミステリーもある。読みだしたらやめられなくなるジェットコースター的アドベンチャーで、最も好きなタイプの小説だ。  


Posted by 北のフクロウ at 16:45Comments(0)読書

2014年01月26日

ジェットスター緊急飛行  カム・マージ著 ソニーマガジンズ

現役パイロットが書いたミステリーだという。才能のある人がいるものだ。航空機にたくさんのコンピューターが使われている。それが悪意を持つ犯人によってウイルスに侵され、墜落の危機に陥る。それを同じウイルスで、侵された航空機により、墜落し原因をパイロットの手腕に着せられた女性パイロットが実を呈して解決する。一気に読み終えた。このようにスリルのあるミステリーが好きだ。  


Posted by 北のフクロウ at 14:18Comments(0)読書

2014年01月26日

新三河物語 宮城谷昌光著

昨年「徳川家康」を読んだ。その関連で宮城谷の「新三河物語」を読んだ。三河物語は大久保彦左衛門の「三河物語」であるが、これを宮城谷風に解釈して作品にした。「徳川家康」が18年余りの歳月をかけた新聞小説であったが、「新三河物語」は同じ新聞小説でも6カ月ほどで、大久保家の4代ほどの歴史を駆け足で記述している。家康の祖父の代から松平家に仕え、粉骨砕身尽くすが、最後は家康の非情さから、主流から外れていく哀れさを淡々と描いている。宮城谷流の戦国武将物語は彼の中国歴史の知識が影響して、やや日本人離れをしたものの考え方をする。山岡の「徳川家康」はその点、神仏を基調にして、人間の情に訴えるものがある。好みの問題だが、私は山岡の「徳川家康」の方が好きだ。宮城谷は調査の結果が細かく、すぐ本題から外れる。これは読んでいて煩わしい。家康が戦国時代を制覇するときに重用した戦争に強い武断派を、安定するにつれて、それをさけ実務派を重用するようになる。時代の流れを観た巧みな部下の起用であるといえる。その流れについていけない武断派はしょせん滅びるしかなかったのか。滅びの美学が宮城谷文学の一つの特徴かもしれない。  


Posted by 北のフクロウ at 14:10Comments(0)読書

2014年01月26日

アンダルシア 真保裕一著 講談社

 真保裕一の原田康作シリーズの2作目に当たる。前作の「アマルフィ」は新鮮味があって、面白かった。ここでもピレネー山地にある「アンドラ」の地域性をうまく使って、犯罪が企まれている。ただ最期にドンデン返しがあり、せっかくの緊張感のあるストーリーがぶち壊された。日本の犯罪小説の浅さか。フランスとスペインとアンドラを巡る外交の駆け引き、お互いの役人気質といったところは面白い。  


Posted by 北のフクロウ at 13:49Comments(0)読書

2014年01月10日

ウバールの悪魔 ジェームズ・ロリンズ著 竹書房文庫

シグマーフォースシリーズ0と銘打って、従来のシグマフォースシリーズのグレイ・ピアーズを主人公とするシリーズ以前のペインター・クロウを主人公とするアドベンチャーミステリーである。ペインター・クロウは1番以降のシグマーフォースシリーズでは司令官に昇格している。ジェームズ・ロリンズのこのシリーズは史実と最新の科学技術が融合した独特の魅力があるが、この0シリーズでも読者の期待を裏切らない。ここでは反物質や単為生殖といった科学的事実とシバの女王とかイスラム教で聖母マリアの父親であるイムラーンやヨブの聖廟が出て来る。聖母マリアが単為生殖でキリストを生んだということがウバールの女王シバの子孫であるラヒームの存在につながっている。ウバールというのはアマーンのかっては宿場町としてさかえたところ。あるとき突然埋没してしまった幻の町の名前だ。正月このアドベンチャーミステリーで退屈しなかった。これでシグマフォースシリーズは5冊であるが、この春出版されるという6作目「ケルトの封印(仮題)」が待ち遠しい。

  


Posted by 北のフクロウ at 15:57Comments(0)読書

2014年01月05日

徳川家康 山岡荘八著 講談社

この正月に 約1年かかった山岡荘八の「徳川家康」全18巻をようやく読み終わった。彼が18年かけて新聞小説を書いて完成させた大作である。昭和26年に書き始め、昭和44年に書き終えた彼の代表作である。第1巻の読後感でふれたようにこの小説は戦争と平和の物語である。当時北海道新聞に連載されていたのを途中から読んでいた記憶がある。小学生から中学生ころであったろう。当時は織田信長や豊臣秀吉の時代で、武将の勇ましい戦いぶりに魅かれて読んでいた。今読み終わってみると、徳川300年の平和な時代が続いた背景には徳川家康の長期的な展望と、戦略があったことが分かる。
 著者が強調しているように日本人の徳川家康観は明治時代倒幕の歴史によって、ゆがめられているように思われる。
 封建時代が良いというのではないが、徳川幕府の基礎がしっかりしていたために、300年の戦争のない時代が続いたことは間違いのないところである。徳川家康の平和主義を今の阿倍首相に学んでほしいものだ。
 著者が随筆で述べているように小説が書かれた時代は戦後まもなくから、安保闘争、高度成長の時代であった。
 阿倍首相の積極的平和主義というスローガンは言葉は平和主義でも戦争を推進する思想として危険なものを感じる。特定秘密保護法、武器輸出、原発輸出、非核3原則、集団的自衛権など戦争を仕掛ける方向に国の舵を向けているように思えてならない。

  


Posted by 北のフクロウ at 16:59Comments(0)読書