さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2023年01月30日

悪党 ロバートBパーカー著 ハヤカワ文庫

 スペンサーシリーズの24作目。よくも同じ主人公でシリーズを書けたものだと感心する。
 今回は冤罪で監獄に入っている黒人を助けるために、瀕死の重傷を負いながら、真犯人を追及する。
 人種問題であり、恐らく助けてもまた悪事を働いて、牢に入ることが必死の黒人を助けるのか、というジレンマがある。しかしスペンサーの正義感は悪事を見逃すわけにはいかない。軽妙なユーモアが主人公の魅力であるが、ここでも退屈させない。本題以上の面白さがあり、それがシリーズの魅力となっている。  


Posted by 北のフクロウ at 11:45Comments(0)読書

2023年01月30日

5番目のコード D.M.デヴァイン著  創元推理文庫

 コードというのは柩の取っ手の意味で、何番目の取っ手を誰が持つかのカードを葬儀屋が作る。
 次々と殺人事件が起き、犯人は誰だったかが意外な人物と分かる。デヴァインの得意の推理小説。  


Posted by 北のフクロウ at 11:35Comments(0)読書

2023年01月30日

こわされた少年 D.M.デヴァイン

 自分が養子であったことを知った少年が、ひねくれた道に入って失踪した。周囲の人間は養子と関連付け、ロンドンにでもいるのではないかと思っていたが、義姉は誰かが殺したのではないかと疑う。それらしい人間がいるが、実は真犯人は意外なところにいる。家庭の問題が複雑な点はデヴァインの得意とするところ。  


Posted by 北のフクロウ at 11:29Comments(0)

2023年01月20日

ロイストン事件 D.M.ディヴァイン著 現代教養文庫

 ディヴァインの第3作目に相当する。
 イギリスのアガサ・クリスティの系統の正当な推理小説。
 二人の殺人事件が起きるが、犯人は登場人物に中にいるが、予想の外にいる。それを一堂に集めて主人公の推理を見事に証明する。
 エルキュール・ポアロの推理を見るようだ。
 事件は、4年前のロイストン事件の解明に始まる。父親が真相を主人公に伝えようとするが、何者かによって殺されてしまう。そこで真犯人探しが始まるが、主人公の複雑な家族関係、前の法律事務所、主人公の元婚約者との関係など、人間関係が細かく描かれている。
 読者は真相を知る前に、真犯人が分かるようにいろいろな伏線が張られている。典型的な推理小説である。  


Posted by 北のフクロウ at 10:49Comments(0)読書

2023年01月18日

闇の奥 ジョセフ・コンラッド著 三交社

 コンラッドの「闇の奥」は一度読みたいと思っていたが、その機会がなかった。
 図書館の書棚で見つけて、さっそく借りた。
 2006年に第一版が発行された藤永茂訳の比較的新しい本。恐らくこの本は私が初めて読んだかと思われるほどの新しさだ。
 原本は1998年出版され、日本では中野好夫訳と朱牟田夏雄訳がすでに出版されている。翻訳は藤永茂氏。カナダ・アルバータ大学の名誉教授の物理学者である。翻訳の同期は中野氏訳が誤訳が多くて著者の真意が伝わらない、と考えたためらしい。
 さて、著作についてだが、これが有名になったのは映画「地獄の黙示録」が「闇の奥」を下地につくられたところにあるらしい。「地獄の黙示録」はヴェトナムが舞台であったが、「闇の奥」はコンゴが舞台である。ベルギーの植民地時代の搾取が背景にある。藤永氏が強調しているのは19世紀のベルギーのコンゴにおける大殺戮と錯書がいかにすさまじかったか、が世の中で忘れられている、ということである。
 コンラッドの「闇の奥」では黒人の殺戮と奴隷化、象牙の乱獲による自然破壊など西欧植民地政策の無残さはそれほど描かれていない。むしろクルツという開拓者がなした行為に矮小化されているように思える。西欧列国の植民地政策はさほど伝わってこない。ましてやベルギーの残虐性とドイツナチスのそれとの比較など、ここでは問題にならない。しかし後世のナチスドイツのユダヤ人虐殺との比較をハナ・アーレントが行って、「闇の奥」が注目されるようになったようだ。コッポラがどういうつもりで「闇の奥」を下地に「地獄の黙示録」を描いたかはわからないが、人間の心理の奥にある闇という点では、ベルギーのコンゴ虐殺も、ヴェトナムにおけるアメリカも、ドイツナチのユダヤ虐殺も共通しているところがある。そんな問題提起の書物としては一見に値する。  


Posted by 北のフクロウ at 10:22Comments(0)読書

2023年01月15日

運命の証人 D.M.ディヴァイン著 創元推理文庫

 正月明けにディヴァインの小説を3冊読んだ。これで彼の作品は5冊読んだことになる。彼は生涯13冊の長編小説を書いた。どれもイギリスの田舎町の狭い社会の微妙な人間関係を背景にしたミステリーである。推理小説としてはさほどびっくりするストーリーではないが、人間関係を描いているところはイギリスの小説らしい。主人公は完全無欠な探偵タイプではなく、どちらかいうと欠陥を抱えているか、社会的には是認されない行動をとる人間が多い。
 ここでは二人の殺人事件を犯した容疑者として裁判にかけられる前後の様子を描いている。クロと思われた主人公が無罪を勝ち取る経緯が面白いが、美人の妻に容易に恋に陥る様子や、それが見事に裏切られ、離婚騒動となるところに主人公の弱さが現れている。真相は殺された主人公の友人の遺書の内容にあるが、それを誰が書いたか、また脅迫状が出されるが誰が書いたか、このあたりが推理としては面白い。脅迫状の時間と、電話の時間の違いに、犯人の巧妙さがり、それに気が付いた主人公の推理が光る。  


Posted by 北のフクロウ at 10:25Comments(0)読書

2023年01月15日

紙片は告発する D.M.ディヴァイン著 創元推理文庫

 議員の娘がうっかり非陸奥の文書を見たと、同僚に話したことから、秘密が暴露されることを恐れた犯人によって、殺された。副書記官がその犯人探しをする。そのうちに火中の主人公の姻戚の建設業者の社長も殺される。問題の文書は町の入札情報が町内の上級職員によって漏洩されていたことを示唆し、犯人は上級職員に絞られる。犯人は男性とは限らない。さて犯人は誰だったのか。主人公も上司との情事を抱えていて、その秘密が暴露され、窮地に陥る。  


Posted by 北のフクロウ at 10:10Comments(0)読書

2023年01月15日

ウォリス家の殺人 D.M.ディヴァイン著 創元推理文庫

 歴史学者が主人公。離婚歴があり、息子とは離反している。その息子が主人公の幼馴染の作家の娘と親しくなるから複雑な人間関係が生まれる。作家には無名時代にイタリア人の娘と恋に落ち、子までなしていた。しかしその恋人は死産し、その主産で亡くなったと思われていた。ここにも複雑な人間関係がある。その作家が殺された。さて犯人は誰か??  


Posted by 北のフクロウ at 09:56Comments(0)読書

2023年01月08日

ネヴァー ケン・フオレット著 扶桑社

 巨匠ケン・フォレットの最新作である。
 年末から正月にかけて読んだ。
 昨年はロシアのウクライナ侵攻で明け暮れた。ロシアが破れかぶれで戦略的核を使用する恐れがあるという。その報復をNATOが考えるとすれば、第3次世界大戦に発展しかねない。核戦争が起きる恐れがある。
 ケン・フォレットは第1次世界大戦の経緯を見て、NEVERの構想を得たという。
 物語はアフリカの小国チャドの紛争から始まる。チャドと隣国スーダンは国境をめぐって長年敵対関係にあったが、それにイスラム原理主義者のテロ組織は入り込み、アメリカ兵が一人殺害される。武器提供をした北朝鮮をアメリカが非難する。北朝鮮では軍部が反乱を起こし、核保有基地を占拠する。北朝鮮の内戦に乗じて韓国が北に侵攻する。北朝鮮の反乱軍がソウルとフザンを核攻撃する。アメリカが反乱軍の基地を核でせん滅する。
 日本が尖閣諸島の上陸し、それを中国が攻撃する。同盟国であるアメリカが黙っていない。かくして中米の核戦争が勃発する。結末は書かれていないが、双方が核爆弾を打ち合って、世界滅亡の危機に陥るであろう。
 今火種はウクライナであるが、北朝鮮の最近の動向を見ると、北が韓国を攻めることもありうる。同盟国であるアメリカは北を攻撃する。すると中国は黙っていない。そういう危うさが現代社会にある。  


Posted by 北のフクロウ at 10:52Comments(0)読書

2023年01月02日

ベルリンで追われる男 マックス・アンナス著 創元推理文庫

 ドイツのミステリー小説。ドイツには不法駐留外国人が多いという。主人公もガーナ出身者で、職を失ってから不法滞在者となっている。だから殺人事件を目撃しても警察に届け出るわけにはいかない。そのうちに犯人として警察に追われる身になる。警察の追及を逃れるためには真犯人を見つけ出し警察に知らせなければならない。犯人側も目撃者を消すために必死となっていく。最後逃げ切れたかどうかがはっきりしない。消化不良のミステリー小説。  


Posted by 北のフクロウ at 08:04Comments(0)読書

2023年01月02日

緊急工作員 ダニエル・シャドスン著 ハヤカワ文庫

 元海軍工兵偵察隊員が主人公。普通の生活を送っていた主人公に、秘密の命令が来る。戦場で主人公の命を救ってくれた元海兵隊員が行方不明になったので、探し出してほしいとのこと。元上司の依頼であるが、周辺に怪しげな機関の姿がうごめく。元上司の挙動もおかしい。恋人の協力もあって、真相に近づいていく。誰が味方で、誰が敵かがはっきりしない。そして意外な敵が最後に姿を現す。
 元軍人の主人公の設定はジャック・リーチャーを彷彿させる。ジャック・リーチャーほどスーパースターではないが、それに近い。こういう設定はアメリカ人は好きなようだ。  


Posted by 北のフクロウ at 07:57Comments(0)読書