さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2017年11月22日

ミレニアム4 ダビッド・カーレンクランツ著 早川書房

ミレニアムは3巻までスティーグ・ラーソンが書いていて、世界的なベストセラーになったが、作者の急死によりそこで終わるかに思われていた。しかし出版社のノーシュテッツ社がダビット・カーレンクランツに依頼し、4作目を市場に出したのがこの「蜘蛛の巣を払う女」である。
 背中にドラゴンのいれずみを入れた天才ハッカーリスベット・サランデルとミレニアム社のジャーナリスト、ミカエル・ブルムクヴィストは健在である。AIの世界的な研究者フランス・バルデルが何者かによって殺害されるがその謎を追って、二人が活躍するが、謎解きをするキーとなったのがフランスの自閉症の息子アウグストである。サヴァン症候群という数学的に優れた能力を持つ子供が登場する。
 AIが進むといずれの日にか人間の能力を超えたロボットが世界を支配する世界が生まれるかもしれない。
 日本で量子コンピューターが出来たという報道がなされたが、これによってAIがますます発展することであろう。  


Posted by 北のフクロウ at 09:54Comments(0)読書

2017年11月22日

支配者 C.J.サムソム著 集英社文庫

 チューダー王朝弁護士シャードレイクの第3作目。ヘンリー8世がヨークに巡幸した際に随行を命じられ、時のカンタベリー大主教から密命を受ける。イングランド中世の田舎の情景が良く反映されている。この作品ではチューダー王朝ののそもそもの生い立ちに大いなる疑問を提している。すなわちヘンリー8世の祖父エドワード4世がその父ヨーク公リチャードの実子であるかどうか、ということである。もし実子でないとすると王位は別の流れになっていてもおかしくない。この時代の英国史はじつに複雑で、小説や映画にも良くなっている。
 そもそもヘンリー8世が興味深い人物である。生涯6人の王妃を迎えたが、多くを自らの手で処刑している。王位を自分の男子に譲ろうとし、男子をうむ可能性のある王妃を迎えることが理由で、ローマカソリック教と決別し、イギリス国教会を新たに建て、そのトップとなった。ヨーロッパに勢力を伸ばすためにフランスと対立し、スペインやドイツ諸国と同盟関係を結んだりした。国内ではスコットランドやヨークとも対立した。
 この小説では王妃キャサリン・ハワードが出てくるが、この王妃も臣下との密通を理由に処刑されている。
 すべてシャードレイクの行動に従って物語が展開しているので、主人公になったような感じでその時代に入り込んでいける。次のシリーズにも続くようなので、楽しみである。  


Posted by 北のフクロウ at 09:30Comments(0)読書

2017年11月22日

箱根の坂 司馬遼太郎著 講談社

 北条早雲を主人公とする歴史小説。北条早雲は戦国時代の走りになった人物とされるが、その詳細は明らかになっていない。
 もとは伊勢新九郎という鞍造りであったという。ただし並みの鞍造りではなく、時の将軍足利善政の儀典主任であった伊勢貞親の親類筋にあたる。伊勢家は小笠原流とならぶ伊勢流という幕府の行儀作法の家元に相当する。伊勢家は殿中の作法を整備したために幕府内に権勢を持っていた。その伊勢家に寄宿していたのが伊勢新九郎であったという。その新九郎が伊豆に拠点を持ち、そこから相模に勢力を伸ばして小田原に居城し北条家となる。このあたりは応仁の乱後の室町幕府の騒乱を反映しているようで、関東が戦国時代に突入していたことを示している。歴史的によくわからないだけに小説家としての司馬遼太郎の面目が躍如している。司馬は北条早雲を民意を掴んだ新しいタイプの施政者と捉えている。もっと研究されてもいい人物かと思う。  


Posted by 北のフクロウ at 08:56Comments(0)読書

2017年11月22日

閃光 キャサリン・コールター著 二見文庫

 シリーズの第11弾作。シリーズの主人公はディロン・サビッチとその妻レーシーだが、この作品ではルーシー・カーライルとクープ・マクナイトのFBI捜査官である。事件はかっての殺人鬼の娘の引き起こす殺人事件とルーシーの父親の死にまつわる不可解なミステリーが錯綜している。このように二つの事件を平行して進めるのがキャサリン・コールターの常套手段である。
 時間を巻き戻すという非科学的な秘密が織り込まれているが、不自然で、いかにも女性作家のミステリーである。
  


Posted by 北のフクロウ at 08:28Comments(0)読書