さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2019年11月22日

逆さの骨 ジム・ケリー著 創元推理文庫

 捕虜収容所であった発掘現場で、脱出用と思われるトンネル跡が見つかり、その中に殺人事件で死亡したと思われる骸骨が発見される。
 しかも方向が脱出方向と逆になっているところが新聞記者の主人公の興味を引く。主人公が警察でもなく、探偵でもないところが目新しい。
 考古学者が殺されるというところから、新たな展開が生まれる。捕虜収容所に収容されていたイタリア人がそのまか帰国せず、イギリスに定住し、同じ収容所にいたドイツ人が考古学者になり、その教え子がイタリア人捕虜の息子であったなどと、人間関係が複雑になっている。
 戦争が生み出した悲劇と言えなくも無い。  


Posted by 北のフクロウ at 09:51Comments(0)読書

2019年11月22日

ブラック・ドック ジョン・グリード著 新潮文庫

 ジョン・グリードのジャック・ヴァレンタインシリーズの3作目に相当する作品。
 1作目のシリウス・ファイルで主人公と近しい関係にあったアイルランドの元闘士とその妹がまた登場し、一緒に活躍する。かっての上司やその部下も登場して敵役となっている。
 フィクションではあるが、アメリカがブラック・ドック作戦なるものを策定し、イラクが化学兵器を開発し、それを自由主義諸国にばら撒こうという陰謀を画策しているという作戦を展開したが、失敗したためそれを隠蔽しようとする。そこで死亡した弟の行方を捜して欲しいと頼まれ、ジャックが乗り出す。味方と思われた人物が敵であったり、敵であると思った男がそうでなかったり、人間関係が複雑であるところがジョン・グリード作品のひとつの特徴で、最後まで目が話せない。  


Posted by 北のフクロウ at 09:34Comments(0)読書

2019年11月22日

シャドウ・ゲーム ジョン・グリード著 新潮社

 英国の元諜報員ジャック・ヴァレンタインを主人公とするシリーズの2作目。
 知り合いのイタリア人の娘がメキシコ人の富豪にだまされて、どうやら薬物中毒になって逃れられなくなっているらしい。知人に頼まれて救出しようとするが、敵もさるもので、イタリア人も自動車が攻撃され、半身を失うという事故にあう。メキシコまで救出に向かうが、衝撃の事実が待ち構えている。ジョン・グリードのストーリー展開の優れているところで、最後まで目が話せない。  


Posted by 北のフクロウ at 09:14Comments(0)読書

2019年11月22日

青の炎 貴志祐介著 角川文庫 

 高校生が完全犯罪を目指して殺人事件を実行するが、目撃者がいてそれも殺さざるを得なくなる。連続殺人である。
 第1の殺人事件は殺される側に非があって、同情の余地があるが、第2の殺人事件はいかにも稚拙であり、結末は主人公が自殺的に交通事故を起こすところで終わる。こんな結末にしかならなかったのは、倒叙推理小説の常らしいのだが、やりきれない。
 もしも成功してぬくぬくと生きながらえるようでは模倣殺人が頻発して社会的に問題になることだろう。
 この小説を読んで、自分ならもっとうまく殺人が出来るのではないかと思う輩が出ることを懸念する。  


Posted by 北のフクロウ at 09:03Comments(0)読書

2019年11月09日

警鐘 リーチャイルド著 講談社文庫

 ジャック・リーチャーシリーズの第3作目であるが、元上司の娘が出てきて、いい関係となり、風来坊のジャック・リーチャーもあわや定着しそうになる。どのような展開になるか次作が楽しみである。今回の悪役はベトナムで行方不明になったと思われる元兵士が悪徳金融業者になり、業績不良の大企業から株を担保に取り、それを悪用して金儲けをしようとする。元兵士の生死の調査を頼まれたジャック・リーチャーが真相に迫り、元兵士の名誉が回復される。  


Posted by 北のフクロウ at 12:13Comments(0)読書

2019年11月09日

シリウスファイル ジョン・クリード著 新潮文庫

 アイルランドを舞台にしたミステリー。
 アイルランド人のMRUの情報部員が1972年にアメリカ軍の残したある文書を回収するために、アイルランドに潜入するが、何者かに襲われ、殺されかける。かって知っていたIRAの闘士とともに、暗殺者に立ち向かう。MRU情報部員とIRA闘士とは本来敵対関係であるが、それ以前に旧知の間柄であって、闘士の妹とは恋人関係にあった。彼らを襲う暗殺者と嵐の海の中での暗闘はすさまじく、イギリス文学の海洋物の伝統を引き継いでいる。シリウスファイルはアメリカ高官の旧悪を証明するものであって、イギリスはそれを入手し、アメリカ情報部を操ろうというたくらみがあったことが分かる。これで終わりかというところで、IRAの指導者が出て来るのはやや唐突であるが、これで無ければミステリーにならないのであろう。イギリス文学の香りがして、味わい深い作品になっている。  


Posted by 北のフクロウ at 12:02Comments(0)読書