さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2017年08月28日

コールドロード T.ジェファーソン・パーカー著 早川書房

 「サイレント・ジョー」の作者が別の警官の関与する殺人事件を小説にした。
 今回も2家族の因縁の歴史が背景にあり、殺された老実業家と警官家族とは祖父、父親世代で犯罪事件が起きている。
 警官自身もその実業家の孫娘と18歳の若い頃に恋愛事件を起こし、祖父にその仲を裂かれている。
 そんな因縁のある家族で、殺人事件の被害者と担当刑事という関係となる。当然関係者で、長く会わなかった孫娘とも再会する。
 お互い結婚し、刑事の方は離婚までしている。
 殺人の容疑者となっている老実業家の看護師と刑事がロマンチックな関係になる。
 国境をまたぐ犯罪組織の内紛が殺人の原因とも思われるが、実は意外な所に犯人がいて・・・・・、と単純なミステリーではない。
 人間関係を濃密に描く所が、この作者の特徴であるが、この作品でも刑事の元妻、子供、元愛人の孫娘、相棒、父親などキャラクターが細かく描かれている。
 最後がハッピーエンドに終わる所が救いである。






  


Posted by 北のフクロウ at 10:35Comments(0)読書

2017年08月24日

バッド・カンパニー 深町秋生著 集英社

図書館で新刊コーナーで目に付いたので借りてみた。
 この作者は知らなかったが、2004年に「果てしなき渇き」という作品で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した作家ということで、犯罪小説を得意としている作家のようだ。
 「バッド・カンパニー」も人材派遣会社を装って、うらでかなり危険な請負をする会社「NASヒューマンサービス」(NASは野宮オールウエイズセキュリティの略で、社長は野宮綾子というやり手である。)
 その会社が手がける事件が7つほどの短編にまとめられている。いずれも暴力団が絡むようなヤバイ仕事であり、ひと癖もふた癖もある部下が活躍して解決する。
 シリーズであるからどんなに危険な場面になっても安心して読め、よい時間つぶしになった。
  


Posted by 北のフクロウ at 11:27Comments(0)読書

2017年08月24日

シャドウ・ストーカー J.ディーヴァー著 文芸春秋

 下半身麻痺の科学捜査官リンカーン・ライムシリーズで脇役として登場していたキネシクスの専門家キャサリン・ダンス捜査官を主人公とする犯罪小説。ここでは人気歌手ケイリーのストーカー事件をキネシクスと科学捜査により、見事に解決する。犯罪解決には科学捜査ばかりではないということを主人公を替えて、示したものといえるかもしれない。
  ケーリーの作詞、作曲した曲が重要な舞台回しになっていて、殺人事件が暗示され、実行される。
  犯人はストーカーなのか、それとも別人なのか、読んでからのお楽しみである。
  リンカーン・クライムに飽きた読者には一服の清涼効果のある作品となっている。
  キャサリン・ダンスシリーズは3作目とあるから、作者が気に入っているキャラクターのようである。彼女のロマンスの行方も木になるところである。次作も期待しよう。  


Posted by 北のフクロウ at 11:08Comments(0)読書

2017年08月24日

LIMIT フランク・シェッツイング著 早川書房

 「深海のYrr」の著者が今回は2025年の近未来小説を手がけたが、テーマは月にヘリウム3の資源が見つかり、いち早くそれを核融合技術によりエネルギー化した社会ということで、恐らく2050年になっても実現しないであろう空想科学小説的なテーマである。しかし新エネルギーを巡る社会の動きは2025年においても起こりうると思われる米中の対立、ロシアの絡み、アフリカ新興国の政治情勢など現実にあり得る出来事が織り込まれている。
 シェッツリングの小説は様々な場面が最初脈絡も無く同時並行的に進行しながら、最後に見事に融合して完結するという手法をとるため、呼んでいて根気がいる。無駄と思われる記述も多い。
 犯人探しのミステリーとして読むと、意外な所に犯人がいて、どんでん返しが用意されていて、凝った趣向である。
 4冊の文庫本であるが、ジュームズ・ロリングであれば、2冊にまとめられるような内容であり、もっとスリルとサスペンスに富んだ小説に仕上げたろう。饒舌とも思われる記述の中に、知識と現代の世界情勢に対する深い洞察力が秘められていて、それはそれで興味深い。
 それはYrrで示した地球温暖化による環境破壊に対する知識と考察力に共通する。
 夏休みの読書としては読みごたえのあるミステリーであった。  


Posted by 北のフクロウ at 10:54Comments(0)読書

2017年08月13日

ソウル・コレクター ジェフリー・ディーヴァー著 文芸春秋

 下半身麻痺の科学捜査官リンカーン・ライムの活躍するシリーズ第8作目。 
 この作品では情報を駆使するとまったく無罪の任全を有罪に出来るという怖い話が起こる。
 たまたまリンカーン・ライムの従兄弟が犯人に仕立て上げられたことのより、リンカーン・ライムが事件解決に立ち向かうことになった。
 国民に16桁の固有番号をふり、その番号を検索すると、経歴、性格、買い物記録、交友関係、家族関係などあらゆる情報がえられる社会が現実のものになってきている(社会保険番号、国民個人番号などがその類のものであろう)。それを悪用するととんでもない犯罪が成立する。
 この小説はそんな恐ろしい社会が現実になってきていることを感じさせる。  


Posted by 北のフクロウ at 10:36Comments(0)読書

2017年08月13日

心理学的にありえない アダム・ファウラー著 文芸春秋

 著者は「数学的にありえない」という作品を書いたが、今回は心理学に手を伸ばした。
 人の心を捜査できる超能力者というものが世の中にはいるようである。
 その能力を駆使すると、いろいろなことが出来る。
 キリスト教にはカソリックのほかに原始キリスト教ともいうべき教義が存在する。グノーシス派などが代表的なものであるが、ローマ時代に宗教論争があり、異端として排除された。ここでも謎の宗教家が登場してローマカソリックの殲滅を図る。それを阻止するのがこの超能力者たちである。そのような超能力が心理学的にありうるかどうかだが、もし存在するとしたら、恐ろしいことである。
 歴史上の人物、たとえばヒトラーなどそうであったかもしれない。  


Posted by 北のフクロウ at 10:21Comments(0)読書