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2017年11月22日

支配者 C.J.サムソム著 集英社文庫

 チューダー王朝弁護士シャードレイクの第3作目。ヘンリー8世がヨークに巡幸した際に随行を命じられ、時のカンタベリー大主教から密命を受ける。イングランド中世の田舎の情景が良く反映されている。この作品ではチューダー王朝ののそもそもの生い立ちに大いなる疑問を提している。すなわちヘンリー8世の祖父エドワード4世がその父ヨーク公リチャードの実子であるかどうか、ということである。もし実子でないとすると王位は別の流れになっていてもおかしくない。この時代の英国史はじつに複雑で、小説や映画にも良くなっている。
 そもそもヘンリー8世が興味深い人物である。生涯6人の王妃を迎えたが、多くを自らの手で処刑している。王位を自分の男子に譲ろうとし、男子をうむ可能性のある王妃を迎えることが理由で、ローマカソリック教と決別し、イギリス国教会を新たに建て、そのトップとなった。ヨーロッパに勢力を伸ばすためにフランスと対立し、スペインやドイツ諸国と同盟関係を結んだりした。国内ではスコットランドやヨークとも対立した。
 この小説では王妃キャサリン・ハワードが出てくるが、この王妃も臣下との密通を理由に処刑されている。
 すべてシャードレイクの行動に従って物語が展開しているので、主人公になったような感じでその時代に入り込んでいける。次のシリーズにも続くようなので、楽しみである。


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Posted by 北のフクロウ at 09:30│Comments(0)読書
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支配者 C.J.サムソム著 集英社文庫
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