さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2016年03月28日

64 横山秀夫著 文芸春秋

 映画化された小説ということで、原作を読んでみようと思った。
 警察小説で、昭和64年におきた少女誘拐殺人事件を背景に、県警内の刑事部と警務部との意見の対立、警察庁と県警とのポストを巡る争い、警察とマスコミとの関係、主人公の娘の家出事件と盛りだくさんであるが、正直県警内の争いやマスコミとの関係はいかにも日本的な話で、しかも暗い話なので、映画にした場合どのように裁くのか、興味がある。64事件の捜査、解決の絞れば一流の警察推理小説になったかもしれない。主人公の広報官という立場は刑事部と警務部の間にあって、難しい立場にあることは分かるが、情報の公開をオープンにし、その情報の取扱をマスコミの判断にゆだねるというのは、少し甘いのではないか。第2の誘拐事件が起きて、64事件の解決につながるのはいかにも小説的な解決策である。娘の家で事件が全く未解決であり、小説全体で見ると、これは無くともよいのではないか?どうしても入れるとすれば、ハッピーエンドの解決があっても良かったのではないか。作者は社会小説を目指しているのかも知れないが、推理小説としたほうが面白かったのではないか?映画の予告編を見る限り、やたらと主人公が対マスコミ、対警察で力んでいたが、冷静な推理力が強調されると、面白い推理映画になるのではないかと思う。どんな描き方にするか、映画が楽しみである。













  


Posted by 北のフクロウ at 11:25Comments(0)読書

2016年03月26日

オーストラリア旅行

                                
(1日目)
 3月20日から1週間の予定でオーストラリアを観光旅行した。コースタイトルは「初めてのオーストラリア7日間」。千歳→羽田→シドニー→ブリスベン→シドニー→羽田→千歳という行程である。ゴールドコーストに2泊、シドニーに2泊するという比較的楽な行程で、年寄り向きのツアーといえる。
 オーストラリアとの時差は2時間で、時差ぼけの苦労も少ないし、テロの脅威も少ない。ツアーの他の人たちからも安全を優先してオーストラリアを選択したという言葉が聞かれた。
 千歳から行くと羽田乗換えは便利だ。羽田国際空港に始めて入ったが、まず何よりも新しいし、日本情緒が横溢していて、なかなか良い空港である。成田に比較するとこじんまりして、これが東京の国際空港というのはややさびしい。 
 羽田を国内、成田を国際という棲み分けはいまや崩れていて、羽田をここまで国際化してくると、成田は何だったのかということになる。吉野家が出店しているのもうれしい。ここで軽く夕食とする。
 羽田からシドニーまでは約10時間、ほとんど寝ていける。時差はほとんんどなく、シドニーと2時間だ。
 オーストラリアは夏の終わりから秋の初めという季節で、冬の寒さから開放されるのが魅力である。旅行中16℃から28℃で、すごしやすく快適であった。
 (2日目)
 シドニー到着後、国内線に乗り換えてブリスベンに向かう。1時間半ほどで到着。早速観光に入る。
 バスでゴールドコーストのヒンダーランドであるマウントタンボリン国立公園をめぐる。このあたりは別荘地になっており、ギャラリーウォークというショッピングストリートもあった。こんなところに店を出して、採算が取れるのかどうかと思うが、観光客や、避暑地の住民を相手に商売が成り立っているようだ。天候が変わりやすく、カルデラの大展望が見られるというロータリーアウトルックからは周囲の山々が良く見えた。 泊まりはゴールドコーストのサーファーズパラダイスマリオットリゾートという高級ホテルで、ガイドブックによると1泊2万円位するようだ。眼下にゴールドコーストの海岸線が広がっていて、眺めがすこぶる良い。ゴールドコーストは世界のセレブが別荘を構えていて、2億、3億円のマンションがざらであるという。ジャッキーチェンや五月みどりさんもマンションを持っているという。夜はホテルで海鮮バイキング料理を食する。牡蠣、ほたて、ロブスター、ムール貝、サーモン、マグロなど食べきれないほど豪華なディナーであった。


(3日目)
 世界遺産のスプリングブルック国立公園観光。ここは365日のうち300日は雨であるという多雨地帯であるという。パーリングブルック滝をみる。落差105mで、壮観である。遊歩道には樹齢2000年というナンキョクブナがみられた。
 多雨地帯らしく、雨でキャニオンルックアウトやベストオブオールは良く見ることが出来なかったのは残念。パラダイスカントリーで昼食。ここではコアラを抱いて写真をとってもらうことが出来る。
 コアラは抱かれても大人しくしているのに感心した。2時間ただひたすら写真のモデルになっていた。
 ここでも中国人観光客の数の多さにあきれるほどだ。
 ゴールドコーストに戻り、夜は土ボタル洞窟ツアーのオプショナルツアーに参加した。土ボタルというのはヒカリキノコバエの幼虫で、糞のなかにあるルシフエリンという物質が酸素と水に反応してルシフエラーゼという発光物質になって光って見える。前日からの雨で発光が一段と進んだということで、今回の旅行で一番の収穫であった。ガイドのフランクリンさんは日本に11年住んでいたことがあるということで、日本語はペラペラ、運転しながら案内をしてくれるので、ハラハラしながらその語りに聞きほれた。びっくりしたのは日本人のガイドのほか、学校の先生、大工の経験があり、今は教会の牧師もやっているという。オーストラリア人は働かないというがこのような働き者のオーストラリア人もいる。
(4日目)
 国内線でまたシドニーに向かう。シドニーはゴールドコーストに比べると少し涼しいようだ。
 バスで市内観光を行う。ガイドは栗原さんという若いが気配りの良い日本人女性であった。
 シドニーはハーバーブリッジとオペラハウスが目玉観光地で、市内のいたるところから見える景色が観光資源となっている。オペラハウスは内部ツアーも行った。その独創的な形の建物と音響効果の良いコンサートホールが売り物である。建設に14年を要し、総工費1億2千万ドルかかったという。コンクリートの外郭構造のなかに、コンサートホールなどの建物を入れ込むという構造で、コンサートホールは2600人あまりの観客収容能力がある。キタラに比較すると一回り大きく、音響もよさそうである。ここを本拠地とするシドニー交響楽団は2013年までアシュケナージが主席指揮者を務めていた。
 シドニーはオーストラリア最大の都市で人口460万人、南半球最大の都市である。高層建築と歴史的な建造物、ハイドパークや植物園の緑と港を抱え、美しい町である。オーストラリアの国そのものがそうであるが、多様な人種がおり、日本人も多数住んでいる。それ以上中国人も多い。
 夕食はシドニータワーの展望レストランで、360度回転する展望レストランでカンガルーやキュウイを食しながら、空からの景色を楽しむ。
(5日目)
 バスでシドニーから2時間ほどのブルーマウンティン観光を行う。ここはシーニックワールドといって、谷底までトロッコでくだり、炭鉱の跡地をめぐるミニトレッキングし、ケーブルウエイで元に戻るコースが目玉。スリーシスターズという奇岩が見ものである。それを間近に見ることの出来るエコーポイントというところで、写真を撮った。
 夕食はディナークルーズで、オペラハウスやハーバーブリッジを海から眺めながら、美味しいフレンチ料理を食べた。
(6日目)
 1日自由行動であるが、シドニーっ子なりきり体験ツアーというオプショナルツアーに参加した。
 オパールチケットというスイカのようなカードを使って、地下鉄やフェリーを乗り継いで、市内観光するもの。ここでは昼食をフイッシュマーケットで摂った。ここは魚市場で食材を買い、それを料理した海鮮料理を安価で食べられる。タコ、牡蠣、手巻き寿司などを手持ちのオーストラリアドルの残金を気にしながら食べる。ここでも中国パワーに圧倒される。世界は中国人の食欲によって滅びるのではないかと危惧する。
 その後空路羽田に向かう。
(7日目)
 順調に飛行し、朝5時半羽田につく。そこから乗り換えて、9時半の飛行機で千歳へ。
 実質5日のオーストラリアの旅は無事終わった。










  

  


Posted by 北のフクロウ at 16:12Comments(0)旅行

2016年03月07日

リトルジョンの静かな一日 ハワード・オーエン著 早川書房

 ミステリーでもないこの小説を図書館で選んだのには、帯広告の「胸を打つ、心にしみるおじいさんの意外な人生」というキャッチフレーズに引かれたからだ。しかし読んでみると意外な結末が控えていて、読ませる作品になっていた。
 アメリカ南部ヴァージニア州のイチゴ農民の男の一生を思い出話で綴ったものだが、「マディソン郡の橋」に匹敵する「心にしみるような人間賛歌」というのはややほめすぎではないか。
 南部農家の悲惨な生活、メキシコ銀や黒人に対する差別が良く描かれている。旧きアメリカ人の心情が良く分かり、今大統領選挙を戦っている共和党候補トランプ氏の発言に共通する世界観が旧アメリカ人にはあることが、分かる。
 救いは第2次世界大戦でヨーロッパに行ったときに見たナチスドイツのユダヤ人に対する虐待をみて、帰米後黒人、メキシコ人に対する態度を改める発言をする所など、アメリカ人に受けるのかもしれない。
 娘の結婚、離婚、新しいロマンスや、孫のバスケット試合やその後の交通事故などは余分なエピソードであり、冗漫な感のある物語では割愛してもいいのではないか。
 普段このようなテンポの作品を読まないので、どうしても違和感が拭えない。  


Posted by 北のフクロウ at 09:08Comments(0)読書

2016年03月07日

札幌交響楽団第587回定期演奏会

3月4日(金)キタラ
 今回のプログラムは、エリシュカさんの指揮で、スメタナ、ドボルザーク、チャイコフスキーの曲。
 スメタナ作曲 「わが祖国」より第3曲「シャールカ」
 ドヴォルザーク作曲 弦楽セレナード
 チャイコフスキー作曲 交響曲第4番

 エルシュカさん色の濃いプログラムで、安心して聴ける。
 特にチャイコフスキーの4番は私の好きな曲で、以前にはレコードも持っていた。
 第2楽章のオーボエのソロパートのメロディが何ともいえない。新世界の第2楽章のイングリッシュホルンのメロディに
勝るとも劣らない、と思う。
  


Posted by 北のフクロウ at 08:32Comments(0)音楽

2016年03月02日

預言者モーゼの秘宝 ジェームズ・ベッカー著 竹書房

クリス・ロビンソンの黙示録シリーズの第2作目。前作はノアの方舟であったから、この作品も旧約聖書にちなんだ冒険謎解き小説である。
 ここでは刑事クリス・ロビンソンとその元妻を主人公にして、古代遺物ハンター、モサド、モロッコ・ギャングがモーゼの十戒を記した石版の位置を示した粘土板から謎の解明を図る。この謎解きはアラム語を読み解く所にあり、さほど難しいものではない。
 敵が多く、逃げ回ることに精力が尽くされていて、読むほうもしんどくなる。  


Posted by 北のフクロウ at 11:21Comments(0)読書

2016年03月02日

ピラミッド 封印された数列 W.ディートリッヒ著 文芸春秋

 題名からすると学術的な、難しそうな本に思えるが、中身はインディ・ジョーンズ風の冒険モノである。
 そういう意味では、原題の「ナポレオンのピラミッド」のほうが良かったのではと思う。
 ナポレオンのエジプト遠征時代のピラミッドを舞台にした謎解きモノでもある。
 ピラミッドがいろいろな数字を秘めていることは知られているが、著者のあとがきによるとその解釈は後代のものである。
 ピボナッチ数列、黄金比、円周率などの数学的な数字が盛り込まれていることが、邦訳のタイトルとなっている。
 ピタゴラスの数列がピラミッド入り口のキーワードとなっているが、これは著者の創作上の数列であって、ピラミッドの謎とは関係がない。
 むしろエジプトの宗教とフリーメーソンとの関係、モーゼの40年間に渡る砂漠生活をどのように乗り切ったかの謎に迫る謎がエジプトのトト書によるのではないかという、解釈はこのシリーズの次作につながるテーマであろう。
 モンジュという学者と主人公との議論に次のような記述がある。
 「古代エジプト人にとって、宗教は彼らの科学であり、魔術は理解できないことを操ろうとする試みだった。人類はその後、あらゆる種族や国家が独自の神々を持っていた過去から、多くの国家が一つの神を崇拝する時代へと進歩した。それでもなおたくさんの信仰があり、それぞれがほかの進行を異端呼ばわりしている。いまや我々には科学があり、それは信仰ではなく、論拠と実験に基づき、単一の国家や法王や国王ではなく普遍的法則に中心を置いている。人が何語をしゃべろうが問題ではない。科学は同じだ。だから科学が勝利を収めるであろうし、教会は本能的にガリレオを恐れたのだ。」
「なぜ人々はいまだに神を信じているのだろう?科学は賢いが冷たく、説明的だが最大の疑問には沈黙している。どうしてかには応えるが、なぜかには答えないので、人々は切実に知りたい気持ちのまま取り残される。」そこに入り込むのが宗教だというのだ。
   


Posted by 北のフクロウ at 11:05Comments(0)読書