さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2013年08月31日

第561回札幌交響楽団定期演奏会

8月30日第561回札幌交響楽団定期演奏会を聴いた。
今回のプログラムは姉妹都市オーケストラ交流事業として、テジョンフィルハーモニック管弦楽団の芸塾監督兼主席指揮者のグム・ノサンを招いて、同じく韓国人のピアニスト、イム・ドンヒュクをソリストとする
ヴェートーベンの3番のピアノ協奏曲、マーラーの1番の交響曲「巨人」であった。
イム・ドンヒュクは29歳の新進のピアニスト。なかなかイケメンで、長身で、若い女性に人気がありそうである。演奏はロン・ティボー国際コンクールで優勝の実績が物語るようになかなかのものであった。
圧巻はマーラーでグム・ノサンさんの熱演があり、大人数のオーケストラの大音量の演奏でもあり、PMFの優るとも劣らない迫力があった。
おしいのはホルンの演奏で素人でもわかる音はずしが3か所ほどあった。ホルンはつくづく演奏の難しい楽器だと思う。
朝NHKのFMでバーンスタインの「巨人」を聴いたばかりであり、「巨人」に縁のある1日であった。
NHKのFMといえば、ホロビッツの特集があったが、彼はヴェートーベンが大嫌いで、ヴェートーベンを弾いた演奏は残っていないそうだ。
分かるような気がする。  


Posted by 北のフクロウ at 10:20Comments(0)音楽

2013年08月23日

運命の人 山崎豊子著 文芸春秋社

 今まで聖域とされる分野に挑戦して数々の問題作を書いている山崎豊子が、政治、裁判、外交、新聞に関わる西山事件をドキュメンタリー・ノベルにまとめた小説。西山事件は日米の密約がアメリカの公文書館の文書によって真実が暴かれ、西山記者のスクープ河真実であることが証明された。しかし裁判は国家公務員の守秘義務とその機密文書を入手するに当たっての手段をそそのかし罪の適用という低次元の事件として有罪判決になった事件であり、国家権力の恐ろしさをまざまざと感じさせる事件である。その後のマスコミの及び腰の取材がいかほど国民の知る権利を阻害したかは歴史が証明する。
 これを小説にするに当って沖縄問題を絡めたのは、作者の思い入れであろうが、西山事件との関連は小説的には無理があるかもしれない。ドキュメントはドキュメントにし、沖縄問題は沖縄問題で別建てにすることのほうが良かったのではないか。
 ただ作者の最近情報で旧軍人とその息子の自衛官を主人公にした連載が始まるという。こちらも注目したい。


  


Posted by 北のフクロウ at 19:54Comments(0)読書

2013年08月10日

猫背の虎動乱始末 真保裕一著 集英社

真保裕一の作品で時代ものは珍しいと思ったらこれで3作目であるという。現代ものばかり書いていると、時代ものも書いてみたくなるらしい。そのほうが作家の想像力が高まるということか。太田虎之助という背が高すぎていつも猫背の新米まち廻り同心が主人公である。母親と二人の出戻りの姉に挟まれていつも小さくなっているが、その活躍は結構良いものがあり、主人公に好感が持てる。続編があれば読みたい類の小説だ。

  


Posted by 北のフクロウ at 09:33Comments(0)読書

2013年08月06日

マンチュリアン・レポート 浅田次郎著 講談社

浅田次郎の満州物のひとつ。いよいよ張作霖が爆殺される。関東軍の仕業であることが歴史的にも明らかであるが、それを主人公の志津中尉が天皇陛下の勅命を受けて調査するという筋立てになっている。そこに李鴻章が西太后のために私財をはたいてイギリスから購入した列車のモノローグを組み合わせて、事件の真相を伝える形になっている。凝ったつくりで、作者の創作力の豊かさを感じる。それにしても満州事変からの一連の軍部の暴走は許せないのだが、それに反旗を翻した真実を語る者たちの何と無力であることか。

  


Posted by 北のフクロウ at 16:30Comments(0)読書