さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

ログインヘルプ


2019年08月11日

フェイスフル・スパイ アレックス・ベレンスン著 小学館文庫

 小説の舞台は時代の流れを象徴する。
 今ならシリアのイスラム国が悪者であるが、一時代前は9.11が衝撃的事件であったために、アフガンのアルカイダがテロ主犯として、悪者の象徴であった。アフガンの流れがイラクやシリアに入り、イスラム国の流れになっている。
 主人公はアメリカのCIA工作員として、アルカイダに潜入していたが、9.11を予告できず、CIA本体からもその存在を疑問視されていた。
 アルカイダからある使命を受けて、何年ぶりかでアメリカに戻る。アルカイダの陰謀を伝えようとするが、信用されない。
 アルカイダ側も真のテロを主人公に伝えようとしない。
 放射性爆弾テロと見せかけて、実はペスト菌を用いた細菌テロが本命であった。
 主人公の決死の働きで、何とか防止できた。
 ありそうなテロ事件で、アメリカが晒されている危険状態を良く表している。
 今ならさしずめ、イスラム原理主義者のジハードがらみのテロが恐ろしい。
 ある意味、アメリカとイスラエルがイスラム圏に及ぼした戦争の後遺症といえなくも無い。
 昨今のイランとの紛争も引き金はアメリカにあるといってよいのではないか。  


Posted by 北のフクロウ at 12:29Comments(0)読書