さぽろぐ

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2020年01月14日

復讐はお好き?カール・ハイアセン著 文春文庫

 品のないユーモア小説である。
 これがアメリカのベストセラー作家の作品であるとはアメリカの読者の品格が疑われる。
 救いはフロリダの環境問題に多少触れているところくらいか。農地拡大と農薬の流入によって、フロリダの自然が破壊されているという問題は、あまり世界には知られていないが事実のようだ。
 話は妻に水質分析の不正を発見されたと思い込んで妻をクルーズ旅行の船から落として殺そうとする。落とされた妻は助けられ、夫に復讐をする、という他愛のないもので、不正は暴かれ、めでたしめでたしという結果に終わる。  


Posted by 北のフクロウ at 15:06Comments(0)読書

2020年01月14日

警視の偽装 デボラ・クロンビー著 講談社文庫

 一度読んだような気がするが、再度読んでも面白かった。それは前の記憶があまり残っていなかったから・・・・・。
 主人公は警視とその恋人の女性警部補。同棲しているが結婚していないという進んだ関係。子供は前の結婚でそれぞれに生まれた子供がいて、本当の親子のように一緒に暮らしている。事件の進捗よりも、複雑な人間関係の方が気になる。
 二つの事件が入り組んで進行する。現代と過去が一つの宝石を巡って織りなしている。きめ細かさは女性作家奈良であろう。  


Posted by 北のフクロウ at 14:56Comments(0)読書

2019年12月31日

光圀伝 冲方丁著 角川書店

 著者は「天地明察」で暦の変更に貢献した安井算哲を主人公に小説を書いた。そこには主人公を助ける幕府の重鎮の一人として水戸光圀を登場させている。今度はその光圀を主人公に小説を書いた。この光圀は水戸黄門として、知られているがテレビの主人公とは違い、助さん、格さんを供に連れて諸国漫遊するわけではない。「大日本史」を編纂した漢詩や和歌、史書に通じた文人としての姿が描かれている。
 ご三家の盗取でありながら、なぜ父が三男である自分を世主(世継ぎ)としたかに悩む。長男が早世し、次男がいたのにも関わらず、三男の自分がという疑問である。大名の後継者問題は今と違って、大変だったことがわかる。儒教に詳しい光圀が考え出した結論が次男の子供を世主として貰い受け、義を果たすというもの。さらには密かに産ませた子供が次男の世主となるという交換トレードまでやってのける。今の時代では考えられないことが行われていた。さらには光圀を将軍にしようと画策した家来を自らの手で殺すということまでやっている。
 この小説の救いは、公家の家から嫁してきた嫁の泰姫と、林羅山の子供の読耕斎の存在で、神殿交換トレードは泰姫の提案だったことが示唆される。この二人を早く失ったことが、人生の無常を強く訴える。  


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2019年12月31日

ラストマイル ディビット・バルダッチ著 竹書房文庫

 完全記憶探偵エイモス・デッカーのシリーズ。超完全記憶症候群なる病気の探偵が主人公。この主人公妻を交通事故で亡くしている。同乗していた主人公が奇跡的に助かり、超記憶症候群となった。今はFBIの特別調査班の一員となり、難事件の解決に当たっているという。
 ラストマイルは死刑囚が死刑台に向かって歩くことをいう。死刑になる寸前に真犯人が現れ、死刑が中止になるという事件が起き、この真相を特別調査班が解明する。その過程で自動車事故の真因が明らかになる。
   


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2019年12月31日

暗殺者の追跡マーク・グリーニー著 早川書房

 マーク・グリーニーの暗殺者シリーズの最新作。グレイマンことコートランド・ジェントリーはCIAに追われる生活からCIAとの和解が成立し、CIAのエージェントの立場にある。しかしCIAの言いなりになるわけではない。ロシアの元GRU長官が殺された妻と長男の恨みを晴らすために、イギリス人実業家になりすまし、復讐を図る。実の娘がCIAの側について、親子対立となる。ジェントリーは娘を助けるべく、巨悪に立ち向かう。諜報機関が一堂に会する会議にペスト菌の生物兵器を撒き、感染させ、世界中に感染を広めようという謀略である。果たして二人はそれを阻むことができたのか・・・・・・。親子の対立を入れたところが、目新しい。CIA内部にモグラを入り込ませる手口など、スパイ小説の昔からの手口も盛り込まれていて、スリリングな展開になっている。マーク・グリーニーのストーリー展開はいつもながらすばらしい。  


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2019年12月20日

ホステージ ロバート・グレイス著 講談社文庫

  3人組のチンピラが雑貨店を遅い店主を殺害して逃亡、ある家に押し入り、住民を人質に捕る。
  ところがその家はギャングのマネーロンダリングをやっている会計士の家で、秘密がばれることを恐れるギャングが介入し、秘密を抹殺しようとする。しかも3人組の一人は自分の母親も殺した凶悪犯で、一筋縄ではいかない。過去に立てこもり犯の仲介に失敗した経験のある警察署長が子供をギャングに人質に捕られ、心ならずもギャングに協力せざるを得なくなる。さあどうするか。どうなるのか。はらはらどきどきする展開で、英が向けである。ブルース・ウイルスを主人公の警察署長役で、映画化されたようである。  


Posted by 北のフクロウ at 14:14Comments(0)読書

2019年12月20日

ジョニー&ルー 掟破りの男たち ジャック・ソレン著 ハーバーbook

荒っぽい展開の小説で、筋の展開に飛躍が多い。著者の処女作のようで、映画化を意識しているようである。
 二人組みの義賊が怪しげな悪役に絡まれて犯してもいない殺人事件に巻き込まれる。
 子供を人質にとられ、死に物狂いの反撃に転じる。
 美術品の盗難、アインシュタインの頭脳の標本、まれな病気、ルーニー病など盛り沢山で、消化しきれないようだ。  


Posted by 北のフクロウ at 14:05Comments(0)読書

2019年12月20日

天地明察 沖方丁著 角川書店

 何年か前の「本屋大賞」を受賞し、映画化もされた。
 まずまず面白いし、よく調査されていると思った。
 暦の変更と天文学の知見、それに算法が絡み合って、主人公の苦労が分かった。
 何よりも、主人公と若いときに出会った男女が、お互い伴侶を亡くした後で、結ばれるところがよい。
 しかも同じ日に亡くなるとは・・・・・・。出来すぎである。  


Posted by 北のフクロウ at 13:57Comments(0)読書

2019年12月05日

火焔の鎖 ジム・ケリー著 創元推理文庫

 フイリップ・ドライデンを主人公とするシリーズの3作目。
 季節は前作と反対に真夏で同じ沼沢地方を舞台とする暑苦しい作品である。
 米空軍の輸送機が農場に墜落した祭、農場の娘が自分の息子と、飛行機に乗っていた軍属の息子と取替え、軍属の息子として育てさせる。その息子が空軍少佐となってイラクで捕らえられ、救助されて沼沢地にあるアメリカ基地に送られてきた。農場の娘は輸送機墜落事故後結婚し、一人の娘を得ていたが、ガンになり、死に際して、息子取替えの重大な真実を話す。それに不法入国に絡む殺人事件が起こり、話が複雑化する。最後に意外な事実が明らかにされるが、そこにいたる犯人究明の過程が入り組んでおり、一筋縄ではいかない。
 救いは閉じ込め症候群の妻ローラがわずかに意思を通じる兆候を示してきたことか。  


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2019年12月05日

水時計 ジム・ケリー著 創元推理文庫

 先に読んだ「逆さの骨」の作者の同一主人公フイリップ・ドライデンが登場する作品。この「水時計」が処女作で、このあと「火炎の鎖」「逆さの骨」と続く。
 第一作ですでに妻であるローラは交通事故で、水没した車に閉じ込められ救助されるが、閉じ込め症候群という後遺症が残り、寝たきりになっている。交通事故の原因となった相手が小説の重要な役割を果たしている。
 主人公は地方週刊誌の記者であるが、もとは中央紙のばりばりの記者であった。妻の入院を機に、地方新聞社の記者となっている。ケンブリッジ近くの沼沢地を舞台にして、濃密な人間関係の中で起きた殺人事件であり、最後の種明かしまで誰が犯人かがわからない。
 寒々とした冬季に起きた、寒々とした事件で、読んでいて心が寒くなる。  


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2019年12月05日

謀略空港 ジェイン・クーン著 創元推理文庫

 空港の保安コンサルタントの主人公がCIAに雇われて、テロリストと戦う。
 空港の保安はテロリストを国に入れないためには防壁となるべきものだが、意外ともろいものだということがこの主人公のコンサルの目から明らかになる。確かに高給を餌にされると、テロリストの側に取り込まれる人間が出るかもしれない。
 ここでは小型核兵器の爆発下で主人公は海にもぐって助かるが、被爆を考えるとありえないことだと思う。漫画的なヒーローであるが、空港の入国時の荷物検査の時間がかかることもやむをえないか、と思う。  


Posted by 北のフクロウ at 14:44Comments(0)読書

2019年11月22日

逆さの骨 ジム・ケリー著 創元推理文庫

 捕虜収容所であった発掘現場で、脱出用と思われるトンネル跡が見つかり、その中に殺人事件で死亡したと思われる骸骨が発見される。
 しかも方向が脱出方向と逆になっているところが新聞記者の主人公の興味を引く。主人公が警察でもなく、探偵でもないところが目新しい。
 考古学者が殺されるというところから、新たな展開が生まれる。捕虜収容所に収容されていたイタリア人がそのまか帰国せず、イギリスに定住し、同じ収容所にいたドイツ人が考古学者になり、その教え子がイタリア人捕虜の息子であったなどと、人間関係が複雑になっている。
 戦争が生み出した悲劇と言えなくも無い。  


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2019年11月22日

ブラック・ドック ジョン・グリード著 新潮文庫

 ジョン・グリードのジャック・ヴァレンタインシリーズの3作目に相当する作品。
 1作目のシリウス・ファイルで主人公と近しい関係にあったアイルランドの元闘士とその妹がまた登場し、一緒に活躍する。かっての上司やその部下も登場して敵役となっている。
 フィクションではあるが、アメリカがブラック・ドック作戦なるものを策定し、イラクが化学兵器を開発し、それを自由主義諸国にばら撒こうという陰謀を画策しているという作戦を展開したが、失敗したためそれを隠蔽しようとする。そこで死亡した弟の行方を捜して欲しいと頼まれ、ジャックが乗り出す。味方と思われた人物が敵であったり、敵であると思った男がそうでなかったり、人間関係が複雑であるところがジョン・グリード作品のひとつの特徴で、最後まで目が話せない。  


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2019年11月22日

シャドウ・ゲーム ジョン・グリード著 新潮社

 英国の元諜報員ジャック・ヴァレンタインを主人公とするシリーズの2作目。
 知り合いのイタリア人の娘がメキシコ人の富豪にだまされて、どうやら薬物中毒になって逃れられなくなっているらしい。知人に頼まれて救出しようとするが、敵もさるもので、イタリア人も自動車が攻撃され、半身を失うという事故にあう。メキシコまで救出に向かうが、衝撃の事実が待ち構えている。ジョン・グリードのストーリー展開の優れているところで、最後まで目が話せない。  


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2019年11月22日

青の炎 貴志祐介著 角川文庫 

 高校生が完全犯罪を目指して殺人事件を実行するが、目撃者がいてそれも殺さざるを得なくなる。連続殺人である。
 第1の殺人事件は殺される側に非があって、同情の余地があるが、第2の殺人事件はいかにも稚拙であり、結末は主人公が自殺的に交通事故を起こすところで終わる。こんな結末にしかならなかったのは、倒叙推理小説の常らしいのだが、やりきれない。
 もしも成功してぬくぬくと生きながらえるようでは模倣殺人が頻発して社会的に問題になることだろう。
 この小説を読んで、自分ならもっとうまく殺人が出来るのではないかと思う輩が出ることを懸念する。  


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2019年11月09日

警鐘 リーチャイルド著 講談社文庫

 ジャック・リーチャーシリーズの第3作目であるが、元上司の娘が出てきて、いい関係となり、風来坊のジャック・リーチャーもあわや定着しそうになる。どのような展開になるか次作が楽しみである。今回の悪役はベトナムで行方不明になったと思われる元兵士が悪徳金融業者になり、業績不良の大企業から株を担保に取り、それを悪用して金儲けをしようとする。元兵士の生死の調査を頼まれたジャック・リーチャーが真相に迫り、元兵士の名誉が回復される。  


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2019年11月09日

シリウスファイル ジョン・クリード著 新潮文庫

 アイルランドを舞台にしたミステリー。
 アイルランド人のMRUの情報部員が1972年にアメリカ軍の残したある文書を回収するために、アイルランドに潜入するが、何者かに襲われ、殺されかける。かって知っていたIRAの闘士とともに、暗殺者に立ち向かう。MRU情報部員とIRA闘士とは本来敵対関係であるが、それ以前に旧知の間柄であって、闘士の妹とは恋人関係にあった。彼らを襲う暗殺者と嵐の海の中での暗闘はすさまじく、イギリス文学の海洋物の伝統を引き継いでいる。シリウスファイルはアメリカ高官の旧悪を証明するものであって、イギリスはそれを入手し、アメリカ情報部を操ろうというたくらみがあったことが分かる。これで終わりかというところで、IRAの指導者が出て来るのはやや唐突であるが、これで無ければミステリーにならないのであろう。イギリス文学の香りがして、味わい深い作品になっている。  


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2019年10月31日

完全なる暗殺者 ウォード・ラーセン著 竹書房文庫

 南アフリカが核兵器を所有していて、民主化のドサクサの混乱で、安全のためにイスラエルに保管を依頼するという、ちょっとありそうも無い想定で事件が起きる。イスラエルの中の異端分子が核兵器を奪い、イスラムに売り渡そうと画策する。それを阻止しようとするイスラエルの暗殺者が活躍する。暗殺者を大西洋で救助した女性医師が絡んで、物語が展開する。暗殺者の超人的な活躍は当然続編を生み、この時点で3作シリーズ化されているという。イスラエルのモサドのエージェントが主人公というところが目新しい。
南アフリカが6発の原子爆弾を所有し、イスラエルと協力関係にあったというのは歴史的事実のようで、アパルトヘイト解除後すべて核兵器を分解したということになっているらしい。イスラエルが核保有国であることは公然の秘密であるので、こんな創作がうまれるのもあながち不思議ではない。  


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2019年10月31日

平蔵の首 逢坂剛著 文芸春秋社

 長谷川平蔵といえば池波正太郎の有名なシリーズ「鬼平犯科帳」の主人公であるが、逢坂剛がそれに挑戦した。
 彼のテーマは犯罪者を手下に取り込んで、情報収集者に仕立てて、犯罪者を取り締まるというところにある。
 いかにもありそうで、成功している。
 しかし池波さんの江戸情緒あふれる流麗な文章ほどの味わいは求めるほうが無理というものであろう。
 最近コナンドイルの「シャーロック・ホームズ」の後継本が出されているが、そんな感じであろう。  


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2019年10月10日

訪問者 恩田陸著 祥伝社

 恩田陸という作家はいろいろなジャンルの作品を書く作家らしい。
 「蜜蜂と遠雷」で音楽コンクールという舞台でピアニスト葛藤を見事に描いた。とくに文字にしがたい音楽の描写が見事であった。
 先日その映画を見たが、映画では音があるだけに、ピアニストが作品をどう演奏するかが興味があったが、それなりに小説の雰囲気を出していて、面白く観ることが出来た。
 さて、「訪問者」だが、殺人事件の犯人探しのミステリーで、山の中に孤立した屋敷の中に閉じ込められた人の中に、犯人がいるのではないか、というところに興味がある。謎解きがどうなるかというところだが、意外なところに犯人がいて、そこはちょっとミステリーとしては拍子抜けである。むしろ親子関係がどうなのかといったドロドロしたところが日本的といえば日本的だ。  


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