さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2019年04月17日

ブルー・ブラッド ディヴィッド・ハンドラー著 講談社文庫

 繋ぎのつもりで借りた本だったが、意外と面白かった。
 おたくの映画評論家と黒人の女性警部補が主人公のシリーズ第1作。
 ブルー・ブラッドというのは貴族や名門、あるいは血統という意味だという。ニューイングランドのビッグシスターという島は名門ベッグ家の7人が所有している別天地だが、そこに主人公の映画評論家が家を借りたが、そこで殺人事件に巻き込まれる。まったく関係の無いと思われた別の殺人事件との関わりが、事件解決の糸口となる。二人の主人公の関係が微妙で、シリーズの他の作品が楽しみだ。  


Posted by 北のフクロウ at 19:34Comments(0)読書

2019年04月17日

すぐ死ぬんだから 内舘牧子著 講談社

  内舘牧子は先に「終わった人」で定年退職後の男性を主人公に、定年後如何に生きるか、をテーマに小説を書いた。
  今度は78歳の女性を主人公に、女性の老年の生き方を描いた。
 冒頭、次のように年寄りの口癖をいう。
 年をとれば、誰だって退化する
 鈍くなる
 緩くなる
 くどくなる
 愚痴になる
 淋しがる
 同情を引きたがる
 ケチになる
 どうせ「死ぬんだから」となる
 そのくせ、「好奇心が強くて生涯現役だ」と言いたがる
 主人公はそんな年寄りに反発して、精々若く生きようとする。
 理想的な結婚生活を送っていたように思えたところ、夫が急死する。
 遺言状が出てきて、彼には女性が居て、その間に男子の子供まで居ることが明らかになる。
 その女性および子供とのバトル、最後に菩薩といわれるほど、悟りの境地となり、立ち飲み屋のママさんに生きがいを見出す。
 死後離婚というものがあることをこの本で知った。  


Posted by 北のフクロウ at 19:22Comments(0)読書

2019年04月14日

宿命の地 1919年3部作③ ロバート・ゴダード著 講談社文庫

 「宿命の地」というのは日本であった。
 主人公は日本で生まれたが、3部作の3部で、主人公の母親が明らかにされ、戸村伯爵との関係が明確になる。
 数々の危機を乗り越えて、実の母親の救出に成功するが、戸村伯爵やレンマーとの決着ははっきりついておらず、続編の存在を示唆するところで終わる。続きがお楽しみというところだ。1919年の国際情勢がよく描かれており、国際スパイ合戦がそのころから行われていたことがわかる。日本もCIAまでとはいえないが、何らかの諜報組織が必要であろう。とくに情報合戦に対する対策が必要であろう。それなのにサイバー担当に桜田大臣を任命するとは、どんな危機意識を安倍総理は認識しているのだろう。世界の笑いものになっていることを承知していたのだろうか。  


Posted by 北のフクロウ at 11:28Comments(0)読書

2019年04月14日

灰色の密命 1919年3部作② ロバート・ゴダード著 講談社文庫

 前作「謀略の都」では主人公の父親の死を不審に思い、謎の解明に努めるうちに、国際的な陰謀に巻き込まれる、というところで終わったが、この灰色の密命では国際的な陰謀にドイツ人スパイ組織のリーダーレンマーと日本の政治組織玄洋社の実力者戸村伯爵の陰謀を探るため、主人公が活躍する。テンポが速く、意外な話の展開になかなかついていけない。恐らく普通の長編小説ならば、10冊くらいのシリーズになるであろうが、テンポがよいので、グッと圧縮されている。非常に粗っぽいので、たちどころに人は死ぬのが難点である。
 戸村伯爵はどうやら、主人公の出生と絡んでいるらしいことが示唆される。  


Posted by 北のフクロウ at 11:15Comments(0)読書

2019年04月14日

スミソニアンの王冠 ジェームズ・ロリンズ著 竹書房文庫

 シグマシリーズの第12弾。
 スミソニアン博物館は有名なワシントンの博物館であるが、創立にかかわったのは、イギリスの鉱物学者スミソンであり、そのスミソンの生涯はあまりよく分かっていない。彼の墓は亡くなったイタリアジュノヴァに埋葬されていたものを、著名なグラハム・ベルがワシントンに移葬したという。スミソン自身は一度もアメリカの地に足をつけたことが無く、なぜ彼の鉱物標本をアメリカに寄贈したかは謎だそうである。
 そのスミソンの墓の中にあったという琥珀に封じ込まれていた古代スズメバチを生物兵器とする国際的な陰謀がシグマの手によって阻止されるというストーリー。日本人の実業家がスミソニアン博物館にあったスミソンの墓の中のスズメバチ古代遺物から人類滅亡生物兵器を開発することが事件の発端である。日本人を悪役にした点がシグマシリーズの中では珍しい。  


Posted by 北のフクロウ at 11:01Comments(0)読書

2019年04月03日

謀略の都 ロバート・ゴダード著 講談社文庫

最近はロバート・ゴダードに入れ込んでいる。イギリスのミステリー作家はアメリカの作家に比較して文学的な香りがするので、好ましい。
 とくにゴダードはプロットがすごく、最後の最後まで息を抜くことが出来ない。
 ところで、この「謀略の都」は1919年3部作の1作目ということで、第1次世界大戦後の1919年にあったひとつの事件を出発点にした3部作となっている。
 事故死した父親の死因に疑いを持った主人公が大戦後の大国間にあった陰謀に巻き込まれるというあらすじであるが、この第1作目では父親の殺人者を発見し、対決の末、見事敵を討つところで終わっているが、事件の謎にはまだ到達していない。2作目、3作目がこうご期待というところだが、図書館で借りた「宿命の地」はじつは1919年3部作の3作目であった。2作目は「灰色の密命」という作品で、「宿命の地」を読むべきか、読まざるべきか、大いに迷っている。  


Posted by 北のフクロウ at 16:00Comments(0)読書

2019年04月03日

デジタルの秘法 キャサリン・ネヴィル著 文春文庫

 これも釧路駅で閉店バーゲンセールで買った本のうちの1冊。
 すごい経歴の作家も居たものだ。
 キャサリン・ネヴィルはハネウエル、IBM,ニューヨーク証券取引所、ドイツ連邦銀行に勤め、バンクオブアメリカではヴァイスプレジデントの要職にあった。モデル、コマーシャル写真家、画家もしていたことがあるという。1945年生まれとあるから、生きておれば、80歳か。
 この作品は1992年に書かれているから27年前の53歳のときの作品か。処女作は1991年に書かれた「8(エイト)」という作品とあるから、52さいで作家になったことになる。
 作品は作者を髣髴とさせる銀行の電信送金女性部長で、銀行のセキュリティについて進言し、あわよくば連邦準備制度理事会のセキュリティ部長のポストを狙っているというキャリアーバンカーだが、無能な上司の手によってそのアイデァがボツにされてしまう。それを見返すために、銀行システムに入り込んで、預金を奪うことを計画する。その過程でコンピューターの指導者たる天才と10億ドルをどちらが早く入手するかというコン・ゲームとなる。仮想通貨のアイデアがこの時代に出ていることが脅威である。
 作者の経歴に驚き、作品のプロットが現在のコンピューター犯罪の魁になっていることにさらに驚く作品になっている。
 これが50円で買えたとは、地方の古本屋も馬鹿にしたものではない。  


Posted by 北のフクロウ at 15:47Comments(0)読書

2019年04月03日

裏切りの峡谷 メグ・ガーディナー著 集英社文庫

 釧路駅構内の売店に古本屋があるが、近日閉店ということで、バーゲンセールをやっていた。
 2冊100円であった。そこで買った1冊目が、この本。この古本屋は釧路駅の発車待ち合わせの時間つぶしと釧路・札幌間の社内読書のネタとしてずいぶん活用させてもらった。町に本屋がなくなりつつあり、古本屋もその例にもれない。文字文化が廃れていく象徴であろう。
 さて、「裏切りの峡谷」であるが、エヴァン・ディレーイニーという小説家・弁護士とその恋人ジェシー・ブラックバーンを主人公とするシリーズの2作目である。
 この恋人ジェシーは交通事故で、脊髄損傷し半身不随の車椅子生活を余儀なくされているが、この作品ではなぜ交通事故にあったかの原因が明らかにされる。事故を起こしたマコテクノロジーの部長が失踪し、その行方を追っているうちに事件の真相が明らかになる。
 サイバーセキュリティの会社が犯罪を犯す場合の恐ろしさが、この小説で分かる。
 コンピューター犯罪がミステリーのひとつの分野になっているが、この小説もそうだ。
 半身不随の身体障害者が魅力的で、主人公が結婚を意識するのも頷ける。  


Posted by 北のフクロウ at 15:22Comments(0)読書