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2016年01月27日

第585回札幌交響楽団定期演奏会

 今回の定期演奏会は、バーメルト指揮、ヴァイオリン イサベル・ファウストで、ラヴェル、メンデルスゾーン、ムソルグスキーの作品を演奏した。プログラムは、
 ラヴェル作曲 組曲「ラ・メール・ロア」
 メンデルスゾーン作曲 ヴァイオリン協奏曲
 ムソルグスキー作曲 ラヴェル編 「展覧会の絵」

 今回は振り替え席で、いつもより前の席で聴いた精か、ヴァイオリンの音が良く聴こえた。たぶん自分の耳の聞こえが悪くなっていて、自分の席では良く聴こえなくなっていたのが、前の席で聴こえるようになったためかもしれない。あるいは今回はコンサートマスターにテジョン・フィルのキムさんを迎え、大平、田島の二人のコンマスを加え、音色、音量が良くなっていたのかも知れない。あるいはバーメルトさんの指揮と、ファウストさんのヴァイオリンに触発されたのかもしれない。
 イサベル・ファウストのヴァイオリンは典雅で、あまり華美でなく、テクニックは申し分なく、容姿そのものの魅力と相まって、聴衆を満足させるものであった。
 できたらメンデルスゾーンではなく、たとえばシベリウスのような曲のほうがよかったのではないか、と個人的な好みから思う。
 オーケストラはよく指揮者の期待に応えて、音色豊かに演奏していたように思う。

 驚いたのは、この日の観客数である。近年にない多数のお客がこの寒さにも関わらず、ほぼ満席に近い来客数であった。
 指揮者バーメルトの精か、イサベル・ファウストのヴァイオリンの魅力か、よく分からないがこの時期の演奏会には珍しいことであった。
 金曜日より、土曜日が多いのはいつものことであるが、それにしてもビックリした聴衆の数であった。
  


Posted by 北のフクロウ at 20:03Comments(0)

2016年01月27日

陰謀 スチーヴン・キャネル著 徳間書店

 うるう年の今年はオリンピックとアメリカ大統領選挙の年でもある。
 この「陰謀」は大統領選挙の裏側で行われた陰謀を題材にしている。
 マフィアが麻薬取引を円滑に行うためには、法律改正やFBIの捜査を制限するように、大統領を思うように操ろうとした。
 そのために、いろいろ術策を労する。
 その戦略は巧みで、州ごとの投票をマスコミや労働組合を通じて操る。
 その戦略は見事で、あやうくマフィアの傀儡大統領が生まれる所であった。
 それを防いだのは、マフイアの妹と、友人、それに元ジャーナリストと元FBI捜査官のチームである。
 この日本初版は1996年であるが、その時点で携帯電話の盗聴やGDPでの位置確認が行われており、やはりアメリカは進んでいる。
 アメリカでは政党の代表を決めるだけでも、莫大な金をかける。その運動を支える選挙資金を賄えるだけの財力がなければ、立候補すら出来ない。これが民主主義を標榜する大国の制度であるというのは、合点が行かない。まだ人類は民意を問うて国家運営をする制度を確立していないといわざるを得ない。
 
 翻って日本の選挙をみると首相の直接選挙でないから、このような露骨な選挙が行われないのは幸いである。
 国会議員の選挙制度さえ、納得のいく結論を出せない現在、まずそこから手をつけるべきであろう。  


Posted by 北のフクロウ at 19:31Comments(0)読書

2016年01月18日

シェイクスピア・シークレット ジャニファー・キャレル著

  シェイクスピア学者が10年の歳月をかけて書いたミステリー。
 シェイクスピアが単独作家なのか、複数作家なのか、はたまた別人なのかというのは、それ自体がミステリーであるという。
 作者は研究の成果を盛り込んで、シェイクスピアの研究家でシェイクスピア劇の演出家がロンドンのグローブ座から米国のアリゾナ州の洞窟にいたる長い行路を追跡する。
 その背景には、ストラッドフォード派と非ストラッドフォード派の確執がある。
 作者(主人公)は非ストラッドフォード派のようであるが、確たる証拠はないようだ。
 シェイクスピアが書いたといわれる「カーデイニォー」という作品は上演されたという記録はあるが、原稿はいまだに発見されていない。
 その作者が誰なのかはなぞなので、その原稿が発見されたら、大変なことになる。これは想像に難くない。
 ましてや作者が本人か、それ以外の誰かであるかが分かれば、大事件になる。
 原稿は大変な高値がつく。
 作者の調査は本格的であり、それにミステリー作家の創造性が加わって、上質なミステリーになっている。
 犯人が二転三転して、最後まで息をつかせない。
 ロンドンから、アメリカ、イギリス、スペイン、アメリカに至る行程も読むと無理がなく、書簡や著作の有する謎解きはやや難解であるのが、読ませる。ダン・ブラウンを意識したのではないかというが、それはどうか。
 日本でも学者がもっとミステリーを書いてもらえれば、面白い作品が出来るのではないかと思う。そんなタレントは日本にはいないものか。

   


Posted by 北のフクロウ at 19:30Comments(0)読書

2016年01月15日

花や散るらん 葉室麟著 文藝春秋

忠臣蔵を舞台にして、ひと捻りした小説。小栗上野介を単純な悪者にせず、浅野長矩の守の小心、臆病が刃傷事件の背景にあると解釈する。
 公族の貧乏に付け込んで、桂昌院の叙位を画策する小栗上野介・柳沢吉保の策謀が背景にある。
 目の付け所が他の作家と異なり、面白い。

  


Posted by 北のフクロウ at 10:36Comments(0)読書

2016年01月15日

デセプション・ポイント ダン・ブラウン著 角川書店

 ダン・ブラウンの政治ミステリー小説。デセプション・ポイントとは欺瞞の極点と訳すようだ。
 ダン・ブラウンのダ・ビンチコードなどラングトンシリーズと違って、社会性に富んだミステリーで、ここではNASAにまつわる陰謀が中心。
 アメリカでもNASAにかかる費用は無視できないようで、反対派の標的になっている。特にNASAがさ科学技術の誇示に徹するあまり、その持つ軍事的なアメリカの優位性を損なうことが情報や軍事の関係者からは快く思われていないようだ。それが国益に沿うかどうかは意見の分かれる所だが、大統領選挙の争点となると穏やかでない。
 NASAの民営化をもくろむ反対派大統領候補とそれを阻止しようとする政府機関との争いが、とんでもない偽装工作を行う。
 それに巻き込まれる分析官が反対は候補の娘であるというから話がややこやしくなる。
 NASAの金食い虫は日本でもJAXSAのそれと重なる。
 無邪気に宇宙探検の成果を誇ることは良いが、その裏に宇宙戦争技術開発があることを忘れてはならない。どこまで秘密を守るころが出来るか、軍事、情報関係者が気を病むところであろう。


  


Posted by 北のフクロウ at 10:26Comments(0)読書

2016年01月07日

地底世界(サブテラニアン)ジェームズ・ロリンズ著 扶桑社

 ジェームズ・ロリンズの作家としてはじめて書いた冒険アクション小説であるという。
 これは面白かった。マイクル・クライトンのジャラシックパークとジュール・ベルヌの「地底旅行」を足して2で割ったような小説だが、作家の想像力が存分に駆使されていて、近年にない面白い小説であった。
 南極の火山エレバス山の地下の設けられたアメリカの基地が舞台。正体不明の生物によって探査隊が行方不明になったことから物語が始まる。そこで秘密裡に編成された科学者チームが遭遇する冒険ドラマである。チームのメンバーが個性豊かであるし、南極大陸にあるダイアモンドや石油資源が利権をむさぼっている業者によって妨害工作を受けたり、地底に進化した人間もどきの生物がオーストラリアのアポリジニに近接した有袋類であるとか、凶暴な恐竜のような生物がでてきたり、作者の想像力にただただ驚嘆するばかり。獣医師であった経歴がこのような生物を生み出したことに影響しているかもしれない。
 後で書かれたシグマシリーズに勝るとも劣らない面白さである。















 
  


Posted by 北のフクロウ at 10:57Comments(0)読書

2016年01月07日

絶滅J.T ブラナン著 二見文庫

 正月にかけて、2冊の文庫本を買って読んだ。
 1冊がこの「絶滅」。
 アメリカの政府機関がある高官の独走である地域、都市、国家を壊滅させる新兵器を開発する。
 HIRP研究所がその元凶。HIRPというのは、高周波電離層探査計画といって、表向きは電離層の研究機関だが、高周波エネルギーを電離層に当てて、目的の場所に撹乱を起こすことができる新兵器という。これを悪用して人類の滅亡を図る宗教団体が絡むから、話がややこやしくなる。惑星刷新教というが、人類滅亡の宗教はキリスト教などの一部にもあって、珍しいものではない。最後の審判などもそうである。
 現代の自然災害、環境汚染、経済恐慌、軍事暴走など人類滅亡を予兆すると言う考え方がある。単に妄想ではなく、人類滅亡の一端の減少であるということは文明の歴史を考えるとありそうなことである。ダン・ブラウンの小説もそのテーマを扱っていた。
 これが、一人の女性ジャーナリストによって、暴かれようとするからそれを阻止しようとする政府機関の高官一派に命を狙われる。
 様々な苦難を乗り越えて、陰謀が明らかになるが、その遺跡が240万年後に発見されるという落ちがついているから、少なくとも人類は240万年後も生存しているということになるが、果たしてそこまで、人類は絶滅しないでいられるかどうか。「消滅は定め。生存は例外である」というカール・セイガンの言葉が胸にしみる。
   


Posted by 北のフクロウ at 10:31Comments(0)読書

2016年01月04日

デッドエンド 今野敏著角川春樹事務所

 ボディガード工藤兵悟を主人公とする殺し屋との争い。日本人でも傭兵上がりは一味違う凄みがあり、日系の殺し屋と共通点がある。だから最後は共闘戦線を結び、ロシアのマフィアと対決する。
 今野敏の新境地で、これもシリーズ化されそうな雰囲気の小説。警察物もよいがこのシリーズも楽しみだ。  


Posted by 北のフクロウ at 12:15Comments(0)読書