さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2020年09月19日

鉄槌 ポール・リンゼイ著 講談社文庫

 銀行の夜間金庫から金を奪うFBI捜査官など論外だが、この小説の主人公がそうである。しかも捜査能力には優れたものがあって、刑務所爆破の犯人逮捕にその能力をいかんなく発揮する。しかもその爆破犯の動機が3年前に起きた娘の誘拐事件に無力であったFBIに対する抗議行動であったため、主人公は誘拐犯の捜査も担当する。相棒はガンで片足を切断した黒人捜査官で、しかも銀行強盗犯罪担当であった。誘拐犯は誘拐事件後死亡していることを発見、しかも誘拐された少女は殺されていた。しかもその誘拐犯の死亡に疑問を持った主人公は単独犯ではないとの判断からもう一人の犯人を捜す。狡猾な犯人は相棒捜査官の娘を誘拐する。生い立ちと警察を首になった恨みから、その矛先をFBIに向ける。
 犯人を特定し、誘拐された少女の奪還に成功するが銃撃戦で犯人と相打ちとなって、主人公も死亡する。
 銀行泥棒が発覚し、早晩逮捕が免れなかった主人公が英雄的な死を迎えざるを得なかった終焉は小説的には当然の帰結であったかもしれない。
 主人公が死亡したので、これはシリーズにはならなかった。  


Posted by 北のフクロウ at 19:33Comments(0)読書

2020年09月19日

血泥の戦場 クリス・ライアン著 竹書房文庫

 ISがイギリスでテロを起こすという情報を得、SAS部隊が出動する。クリスマスにウエストミンスター寺院に爆弾をしかけるという情報を得られたが、肝心の犯人が特定できない。それを知るためにはイラクのIS司令官を捕らえ、聞き出さなければならない。そこでまたSASの出番となる。
クルドの協力者は頼りなく、何とか犯人像はつかめたものの、特定するには至らない。
 米英は同盟国としてMI6とCIAは緊密な連携を保っていると思われるが、意外とそうではないことが明らかになる。
 アメリカの情報からSASの動きがISに筒抜けになっていたことが明らかになる。
 アメリカはISをイラクからシリアに追い出して、石油の利権を奪うことがIS対抗の主目的であり、それを察知したヨーロッパの同盟は強力にしり込みをしがちである。そこにロシアの思惑が絡んで、シリア情勢を複雑にしている。  


Posted by 北のフクロウ at 19:16Comments(0)読書

2020年09月11日

蛇の歯 フェイ・ケラーマン著 創元推理文庫

 ピーター・デッカー警部補を主人公とする警察小説。シリーズ10作目。
 今回はレストランの銃乱射事件の犯人捜し。13人の死者が出、負傷者も30数人出たという事件で、しかも犯人は自殺?しているかに見えたが、乱射の方向と数から一人の犯人の仕業ではないのではないか、という疑問を抱く。死者を調べるうちに犯人像が明らかになるが、動機や犯人の特定がなかなかできない。そこにピーター一家のフアミリー物語が絡んで、警察小説としては歯切れが悪い。そこがこのシリーズの魅力だといってしまえばそれまでだが、いらいらしながら読了した。図書館本だから、読んだものの、買ってまで読みたい本ではない。  


Posted by 北のフクロウ at 14:21Comments(0)読書

2020年09月11日

使者に祈りを フェイ・ケラーマン著 創元推理文庫

 警察小説である。ピーター・デッカーを主人公にロスアンジェルスを舞台にして、シリーズ9作目だという。
 同性愛と宗教がテーマでいかにも女流作家らしく、事細かに心理描写が描かれている。殺人は起きるが、家庭内の人間関係が描かれていて、話の進展が遅い。あまり好きな作家ではない。  


Posted by 北のフクロウ at 14:10Comments(0)読書