さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

ログインヘルプ


2021年08月28日

論語とソロバン 渋沢栄一に学ぶ日本資本主義の明日 童門冬二著

 「論語と算盤」は渋沢栄一のキャッチフレーズであるが、副題の日本資本主義の明日というのは、日本資本主義の根底に単なる金儲け主義ではなく、お金を介して福祉に資金を活用しなければならないという根本思想を表しており、それが今の日本資本主義に欠けているということを言いたかったのだろう。
 今NHKの大河ドラマの主人公になっているが、渋沢栄一の先見性を描くのはこれからであろうから、どう描くかが楽しみである。  


Posted by 北のフクロウ at 11:12Comments(1)読書

2021年08月28日

回帰 警視庁強行犯係樋口顯 今野敏著 幻冬舎

 今野敏と言えば警察小説であるが、樋口顯という殺人犯捜査第3係の係長を主人公として、新たなシリーズを書いている。
 自動車爆破事件が大学の前で起き、テロ事件の疑いがあるので、刑事部と公安部との合同捜査となる。いわば身内の中の縄張り争いである。
 科学捜査もアメリカの警察ものと比較するとちゃちなものだ。せいぜい爆発物の分析と監視カメラの分析だ。それでも犯人をバングラデッシュ人に絞り込むことに成功する。テロ事件がどうも嘘くさく思われるのは日本には現実に起こりえないからだろう。
 小説の中も刑事部と公安部との争いに中心があり、チマチマした縄張り争いになっているのが、この小説の限界だろう。  


Posted by 北のフクロウ at 11:02Comments(0)読書

2021年08月28日

草原からの使者 沙高楼綺譚 浅田次郎著 徳間書店

 久しぶりに日本の作家の小説を読む。
 浅田次郎も久しぶりだ。沙高楼綺譚は
前にも読んだことがあるので、その続編であろう。出席者がここだけの話ということで思い思いに、ありえないような話をする。
 4つの短編が収録されている。
宰相の器
終身名誉会員
草原からの使者
星条旗よ永遠なれ
本の題名になった「草原からの使者」はハイセイコーがダービーで敗れた日のことを描いていて、モンゴルから来ていた調教師の一言で、本命であったハイセイコーを外す馬券を買って、大穴を当てる物語である。その結果大場主となって成功した男の話である。
 浅田次郎の軽妙な語り口でいずれの話も面白い。
  


Posted by 北のフクロウ at 10:45Comments(0)読書

2021年08月21日

トップ・プロデューサー ノーブ・ヴォネガット著 小学館文庫

 作者はハーバード大学卒の投資銀行でトレーダーとして活躍、本書を世に出したのちは資産運用のWEBを運営しながら、執筆活動をしている。
 本作は処女作。
 水族館で開かれたパーティの席で、水槽に突き落とされ、サメに喰われて惨死するという事件が起きる。それが主人公の親友ということなのだから大変だ。ファンドマネージャーとかトレーダーとか金融界を舞台にしているので、作者の得意とする舞台だ。その部分は専門的過ぎてついていけないが、親友がなぜ殺されたかを探るうちに、ねずみ講的なからくりのあることに気が付く。EXCELの計算式に謎解明のヒントがあるというところがミソである。  


Posted by 北のフクロウ at 18:10Comments(0)読書

2021年08月17日

ブラック・スクリーム ジェフリー・ディーヴァー著 文芸春秋

 リンカーン・ライムシリーズの13作目。
 シリーズも13作目となると、いろいろ目先を変えなければならない。
 舞台はイタリア ナポリ。コンポーザーという精神異常者が殺人未遂をおかし、逃亡してイタリアにいることを知り、リンカーンもイタリアに行くという設定である。
 実はコンポーザーは真の犯人ではなく、影にアメリカの諜報機関がおり・・・・・。平行したレイプ事件も一つになり、最後はどんでん返しがある。いつものディーヴァーのパターンであるが、最後の1/5のあたりから、あれよあれよという展開になる。
 シリーズもリンカーンが諜報機関の顧問となって、海外展開しそうなことも示唆している。驚くべき著者の想像力である。
 部隊がイタリアだけに美味しそうな食べ物、飲み物が出てくる。それだけでも読みごたえがある。  


Posted by 北のフクロウ at 15:56Comments(0)読書

2021年08月16日

石の猿 ジェフリー・ディーヴァー著 文芸春秋社

 リンカーンシリーズで書名で日本語を付けているので、注目していた。
 内容は中国に関するもので、「石の猿」というのは、孫悟空の形をしたお守りであり、犯人逮捕の決め手のなった。
 中国反体制派の人達は、蛇頭に金を払って、密出国をするが、蛇頭はアメリカに入国前に密出国者を皆殺しにしようとし、失敗する。蛇頭はアメリカ国内で、殺すことを試みるが、リンカーンらに正体を暴かれ、中国に強制送還される前に、逮捕される。蛇頭と言われる「ゴースト」の正体は誰か、ここにディーヴァーのどんでん返しがある。
 中国の思想が良く織り込まれており、リンカーンシリーズでは異色の作品となっている。  


Posted by 北のフクロウ at 08:56Comments(0)読書

2021年08月13日

バーニング・ワイヤー ジェフリー・ディーヴァー著 文春文庫

 リンカーン・ライムシリーズの第9作目。
 ディーヴァーのミステリーは犯人と思われる人間が犯人でなく、物語が複数あって最後に一つになって意外な人間が犯人となるどんでん返しが売り物である。
 バーニング・ワイヤーでは電力会社の社員が自分がガンになったのは会社が悪いと思って電気事故を起こして無差別殺人事件を起こしていると思わせておいて、実は・・・・、という流れだ。もう一つのストーリーは宿敵ウォッチメーカーがメキシコに現れて、いかにも、捕まりそうになるが、そう簡単ではない。
 電気の知識は半端ではなく、これを真似られると大量殺人ができそうに思えるところが怖い。
 リンカーン・ライムという下半身不随の特別捜査官の鑑識力はすごく、その推理には敬服するが、人間的には偏屈なところがある。そこが魅力であるが、相棒はたまらない。アメリア・サックスには同情する。なんでリンカーンなのか。世の中にはたくさん男がいるのに・・・・。  


Posted by 北のフクロウ at 14:04Comments(0)読書

2021年08月01日

先祖の足跡を辿れ 佐藤昭・ゆり 文芸社

 著者は北大合唱団、高校の後輩である。
 伊藤忠の商社マンとして長く海外生活を送り、リタイアした。
 奥様の戸籍の地をたどる旅に出て、先祖の足跡に触れた。それからのエネルギッシュな活動と、推理がこの著作の中身である。
 自分史を書くというのが定年退職後の男の一つの仕事であるが、奥様の先祖を調べるというのは珍しい。
 戸籍や過去帳を調べるまでは誰でもやるが、そこから住所を辿り、勤務先を調査し、調査先は岡山、広島、神戸、京都と精力的にめぐる。
 結果としては祖父までは辿れるが、曾祖父までは至らなかった。日本近代史を垣間見る旅にもなっている。
 著者は商社マンであったが、歴史家、あるいは文筆家としても十分飯が食える文才を持っている。
 次作を近々出版するというから、楽しみである。  


Posted by 北のフクロウ at 07:21Comments(0)読書