さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2015年11月30日

オヤジ・エイジ・ロックンロール 熊谷達也著 実業の日本社 

 ロックンロールシカモバンクロックンロールは全く興味が無いので、このお宅的な小説には着いていけないが、熊谷達也の趣味が書かせた小説ということで、それなりに読ませてもらった。熊谷自身バンドを持ってライブもやっているというから、力も入るというものだ。昔の恋人がバンドのヴォーカルの母親で、しかも親父バンドがコンクールで全国大会に出るというようないかにもハッピーな小説で、最近の作品は大分傾向が変わってきた。いいか悪いかは別にして、いろいろなジャンルの小説が書けるというのはやはり才能であろう。
 一度熊谷のバンドのライブを聴いてみたいものだ。  


Posted by 北のフクロウ at 16:20Comments(0)読書

2015年11月30日

札幌交響楽団第583回定期演奏会

11月28日(土)キタラで聴く。
 指揮がアシュケナージということで、今年度一番の楽しみなステージ。
 曲目は
 ベートーベンの「プロメテウスの創造物」序曲
 モーツアルト「ピアノ協奏曲第25番」ピアノが河村尚子さん
 ショスタコービッチ「交響曲第10番」
 アシュケナージのような著名な指揮者を良く呼べたものだと感心する。
 指揮はN響の音楽監督をしていたときにテレビで拝見していたから、おなじみであるが、小柄な人が窮屈そうに指揮をしていてもっと大げさにしても良いのではと思った。大指揮者を迎えて、札響も意識してよい演奏になったのではないかと思う。
 出色は河村尚子さんのピアノで、スケールの大きな、メリハリの利いたモーツアルトであった。この人のリサイタルが2月にあるようだが、ショパンも聴いてみたいものだ。
 アシュケナージはショスタコービッチに思い入れがあるようで、聴き所の多い10番を取り上げた意味がわかるような気がした。スターリンソ連時代のショスタコービッチは不遇であったが、スターリンの死後の喜びのようなものが4楽章に感じられた。   


Posted by 北のフクロウ at 16:10Comments(0)音楽

2015年11月27日

ペトロ 今野敏著  中央公論社

 今野敏の警察小説。ペトロはキリストの12使徒のトップであり、ペトログリフ(古代文字)のペトロも意味する。
 2件の殺人事件の現場に日本のペトログリフとシュメールの楔型文字が残されていたから謎が深まる。
 さすがに警察だけでは手に負えなくなり、ユダヤ系アメリカ人の歴史教授の助力を仰ぐ。
 ペトログリフの薀蓄は作者も勉強したものと思われ、彼の警察小説でも異色であるが、この謎解きは欧米の謎解きミステリー小説、たとえばダン・ブラウンやジェームズ・ロリンズの作品に比べるべきも無く、歴史学教授の手を借りるまでも無いと思われる。  


Posted by 北のフクロウ at 11:43Comments(0)読書

2015年11月27日

群青に沈め 僕たちの特攻 熊谷達也著 角川書店

 熊谷作品の読んだ3作目はがらりとまたジャンルが変わり、太平洋戦争の特攻隊員を主人公とした作品。
 兵隊に潜水服を着せ、機雷を持たせて米軍の上陸舞台を水際で防ごうという伏龍隊という舞台があったという。
 神風や回天のような特攻隊であるが、戦争の狂気は伏龍隊のような手段を考え出した。その狂気に翻弄された若い兵隊の青春時代を描いている。特攻隊員を主人公とする小説は哀れであまり読む気がしないが、ここではどうしても死ななければ収まらない当時の特攻隊員の心情が良く描かれている。ただ訓練のみで、実際に攻撃すべき機雷も持たない特攻隊員伏龍隊は傍目から見るとこっけいでさえあるが、当時の本人たちは真剣であったろう。そのような狂気を鎮めることができなかった軍部や政治家の責任は重く、今の政治家にジックリ読んでほしい小説である。  


Posted by 北のフクロウ at 11:31Comments(0)読書

2015年11月27日

新参教師 熊谷達也著 徳間書店

熊谷達也の作品にしては毛色が変わって、都会もの、しかも教師が主人公だ。
 熊谷の経歴を見ると東京電気大学卒業後中学教師をした、とある。これで中学教師を主人公としたか納得。
 証券マンが教師の社会人登用の流れで、中学教師となる。民間人が教育の世界に入って民間人からみた閉鎖社会のおかしさを描いている。自身の経験が生きているのであろう。怪文書事件があって、ミステリー仕立てにもなっている。犯人を探ってみたら意外な犯人が・・・・・。いったんやめざるを得なかった主人公が教師の氏名に目覚め、再度採用試験を受ける。
 いかにも小説らしい結末。   


Posted by 北のフクロウ at 11:16Comments(0)読書

2015年11月27日

ウエンカムイの爪 熊谷達也著 集英社

 熊谷達也の著作を3冊読んだ。ジャンルが異なるところが面白い。
 ウエンカムイの爪は小説スバル新人賞を受賞した、いわば彼の出世作。ヒグマのテレメトリー調査に関わる研究者と脱サラしたカメラマンが主人公。カメラマンはヒグマに襲われたところを受精研究者に救われるという経験を持つ。そのヒグマは小熊のときに研究者のアイヌの家族に飼われていたという因縁がある。アイヌではいい熊と悪い熊がいると考え、悪い熊がウエンカムイというわけだ。。一方いい熊はアイヌ語でキムンカムイといい、カメラマンが遭遇したのはキムンカムイで、その兄弟熊がウエンカムイであったという因縁がある。その悪い熊ウエンカムイがテレメトリー調査で捕まったが、テレビクルーの不手際で逃亡され、山狩りとなってしまう。舞台が渡島半島の大千軒岳とあって、親しみの感じられる作品である。
 羆からツキノワグマに対象が変わったのが、マタギシリーズで、一連の作品はつながりがある。  


Posted by 北のフクロウ at 11:06Comments(0)読書

2015年11月18日

氷結の森 熊谷達也著 集英社

マタギ三部作の3作目。ただし今度の舞台は日本ではなく、第1次大戦後、太平洋戦争の前の樺太、シベリア。そこで、マタギ出身の主人公が自殺した妻の弟の恨みを逃れるため、転々として逃亡生活を送る。その間に生まれた男女の関係が哀切である。
 マタギはここでは射撃の名手として、位置付けられているが、動物との関係ではなく、日本人、ロシア人、中国人、ニビヒ人(アイヌのようなものか)の複雑な人種問題がある。極寒の樺太、シベリアの寒さは日本の比ではなく、マイナス30度、40度に及ぶ。その中で生活する人々のたくましさ、おろかさがよく描かれている。  


Posted by 北のフクロウ at 09:59Comments(0)読書

2015年11月18日

相剋の森 熊谷達也著 集英社

 熊谷達也のマタギ三部作の2作目。時代を現代に移し、野生動物の保護とマタギの狩猟の相剋を描く。
 自然保護を言うのは易しいが、野生動物にとって破壊されているのは自分たちの棲家となっている自然が人間によって破壊され、えさを求めて人里を荒らすようになる。そこで人間は自分を守るために、野生動物を狩猟する。野生動物との共存共栄というのはやさしいが、結果としては人間本位になっている。このあたりはマタギが長年の共存共栄の関係を保っていたため、今後の自然保護のあり方の参考になるだろう。
 登場人物が1作目の主人公の子孫であるというところから、1作目とのつながりがついた。  


Posted by 北のフクロウ at 09:44Comments(0)読書

2015年11月11日

札幌交響楽団名曲シリーズ

今回のタイトルは「ローマ!ローマ!の日曜日」
 指揮者にロベルト・トレビーノ、ヴァイオリンに南紫音を迎え、イタリアにゆかりのある曲を中心にプログラムが組まれた。
 ベルリオーズ 序曲「ローマの謝肉祭」
 マスネ「タイスの瞑想曲」
 ヴェルディ「椿姫」より前奏曲
 ヴェルデイ「アイーダ」より凱旋行進曲とバレイ音楽
 サラサーテ「カルメン幻想曲」
 レスピーギ交響詩「ローマの噴水」
 レスピーギ交響詩「ローマの松」
 南紫音はマスネとサラサーテを弾いた。若く美しいヴァイオリン奏者で人気がある。
 指揮者のロベルト・トレビーノはアメリカの新進指揮者で、明快な指揮振りである。
 プログラムが盛りだくさんで、聴き所満載の名曲シリーズらしい楽しい演奏会であった。
 11月8日キタラで聴く。
 
   


Posted by 北のフクロウ at 08:43Comments(0)音楽

2015年11月11日

チンギスの陵墓 ジェームズ・ロリンズ著 竹書房

 シグマフォ-スシリーズの8作目に当たる本書は、一段と面白さが増しており、期待を裏切らなかった。
 今回は使途トマス、アッチラ、チンギスカンの歴史をつなぎ、ダークエネルギー、彗星、隕石といった科学的な最新知識を盛り込んでいる。チンギスの陵墓は所在不明であるが、ここではDNA鑑定からハンガリーのティサ川、アラル海、バイカル湖の3箇所に分コツされているという大胆な仮説(フィクション)を立てているが、まさにロリンズの面目躍如である。
 セイチャンの母親が三合会の頭目になっており、劇的な再会を果たす。隕石のエネルギーと彗星のエネルギーがプラス、マイナスの関係にあり、相殺されて地球が救われるというのは話がうますぎるが、宇宙量子力学的にはありうる話かもしれない。
   


Posted by 北のフクロウ at 08:19Comments(0)読書