さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

ログインヘルプ


2014年12月28日

英国武装革命 ボブ・ラングレー著 創元文庫

 ボブ・ラングレーの近未来小説という事で、やや趣が異なる。
 イギリスが政治経済で破綻をきたし、いつソ連の介入を受けるかわからない状態になっている。国民はいたずらに選挙とストライキを重ねるだけで有効な対策を講じられないでいる。そこで考えられたのがアメリカ軍による謀略の革命劇であった。果たして成功するかどうか、さいごまで予断を許さない。例によってどんでん返しがあるが、そこは読んでからのお楽しみである。
  


Posted by 北のフクロウ at 15:53Comments(0)読書

2014年12月28日

北壁の死闘 ボブ・ランブレー著 創元文庫

 ボブ・ラングレーの代表作。
ジャック・ヒギンズが推薦文を書いたというお墨付きの冒険小説である。
アイガー北壁を冬の嵐のさなか登攀するという山岳小説でもある。
時代は第2次世界大戦末期。原子爆弾の開発を巡り、ドイツ軍が阻止するためにデンマーク人科学者を確保しようとするドイツ軍の山岳部隊少尉が主人公。アイガー北壁で仲間を失ったことがトラウマになって、山から遠ざかっていたが、天才的な登山家。それに連合軍のスパイのドイツ国籍を持つスイス人美人に氏が絡む。アイガー北壁を登攀して逃亡しようとするとっさの計画は無謀であり、命がけの逃亡劇となる。
この小説は読んだつもりであったが、読み始めると読んでいないことが分かった。
クリント・イーストウッドの映画にあるアイガー北壁と混同した恐れがある。  


Posted by 北のフクロウ at 15:45Comments(0)読書

2014年12月19日

聖十字架の守り人 マチルデ・アセンシ著 マグノリアブックス

 作者はスペインの女流作家。聖十字架はキリストが磔にされた十字架と称されるもので、その破片を有する寺院が多数ある。作品の中でも言われているが、キリストが磔になった十字架はおそらくぼろぼろになって、薪にされこの世には存在しないであろうが、聖ヘレナによって326年に発見されたものを聖十字架というらしい。それを守る人々をスタウロフィラケス(聖十字架の守り人)というが、実在するものではない。
 主人公の修道女とコプト教の研究者の教授、バティカンスイス衛兵の大尉の3人が、ダンテの神曲に導かれてスタウロフィラケスの世界に到達する冒険談であり、神曲のエピソードがうまくちりばめられている。
 修道女の主人公が教授との恋に芽生えて、普通の人に変身していく過程が面白い。
 キリスト教世界ならではの葛藤があるのであろうが、不信心な私にはそこまでキリスト教にのめりこむ心情が分からない。  


Posted by 北のフクロウ at 08:36Comments(0)読書

2014年12月13日

札幌交響楽団第575回定期演奏会

 12月の定期演奏会。
 12月12日(金)キタラ
 今回のプログラムはロシア音楽で、ドイツ人のクラウス・ペーター・フロールが指揮をした。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲 ヴァイオリンはオーガスティン・ハーデリッヒ
 ショスタコービッチ 交響曲15番
 ハーデリッヒのヴァイオリンは1723年製のストラデヴァイウスということで、演奏もさることなら大変良い音色である。
 特にアンコールで弾いたパガニーニのカプリースではその特徴が良く出ていたように思う。
 両方とも技巧的な曲であり、力強い演奏であった。
 ショスタコービッチの15番の交響曲は2001年に尾高さんの指揮で聴いていた。
 独奏部分が多く、札響のコンマス大平さん、チェロの首席奏者市川さん、トロンボーンの首席奏者の山下さんなど首席奏者の方々が名演を聴かせてくれた。曲自身はあまりショスラコービッチらしくなく、晩年の曲のためか現代風の不協和音を取り入れ、耳触りが良い曲とはいえなかった。あまり演奏機会がないというのも頷ける。

ひとつ気になったのだが、舞台左側にだれが座るともなく、椅子が置かれていた。何の意味だったのだろうか。あるいは亡くなった石原ゆかりさんの追悼の意味か・・・・。  


Posted by 北のフクロウ at 13:22Comments(0)音楽

2014年12月12日

黄色い蜃気楼 船戸与一著 双葉社

 船戸作品を読み続けている。
 今度の作品はカラハリ砂漠が舞台で、防衛大学校の同期の元自衛官二人がいろいろの事情で、逃亡者と追跡者に別れてカラハリ砂漠で
サバイバルゲームを演じる。
 航空機事故、政治的陰謀、マフィア、部族抗争と盛り沢山で読む者を飽きさせない。
 ここでも凄惨な殺人劇が展開するが、船戸作品のいつものことなので、大分免疫ができてきた。
 カラハリ砂漠で水も食料もなく、生き延びることは至難の業であろう。
 読んでいても、喉がからからになる。
 ここでも最後にあっと驚く真実が語られる。
 だから船戸作品はやめられない。
  


Posted by 北のフクロウ at 10:33Comments(0)読書

2014年12月12日

 イントゥルーダー 高嶋哲夫著 文芸春秋

 「イントゥルーダー」は侵入者の意味。
 主人公はコンピューター会社の副社長であるが、若い時に別れた妻の子供(主人公の子供)が交通事故に巻き込まれ、真実を探るうちに原発を巡る巨悪にぶち当たる。子どが巨悪犯罪に気づき、それを父親にひそかに知らせたことがばれて抹殺された。
 ここで、問題なのは小説の結末であって、主人公が巨悪の元凶である電力会社に乗りこんで悪事を暴露するのはいかにも軽率であるし、その後、暗殺されるのはどうにもやりきれない。原発の危険性を社会問題とすることもなく、抹殺されてしまう。
 小説家としてはハッピーエンドにするかこの小説のように悲劇で終わらせるか悩むところであろうが、読者にとってはわかっていても主人公は生かして終わってほしいものだ。前に読んだ高嶋さんの作品では少なくとも主人公はヒーローとして生きていた。  


Posted by 北のフクロウ at 10:23Comments(0)読書

2014年12月12日

 オータム・タイガー著 ブブ・ラングレー著 創元社

ボブ・ラングレーの1981年の作品。「北壁の死闘」の次の作品に当たる。
 時代は第2次世界大戦中。今回の主人公はアメリカのスパイであるが、ドイツ軍捕虜に紛れ込んでドイツ軍の秘密作戦を探る苦労を描いている。アッと驚く結末が待っているが、これは読んでからのお楽しみ。延々と捕虜生活のスパイとして生きる苦しみが描かれているが、唯一の救いは音楽である。そこにはロマンスも芽生える。
 戦争がもたらす悲劇のヒトコマというところか。  


Posted by 北のフクロウ at 10:09Comments(0)読書

2014年12月12日

標的の原野 ボブ・ラングレー著  創元社

図書館でボブ・ラングレーの古い作品を見つけた。1977年の作品である。作者は1936年生まれとあるから、作者41歳の時の処女作である。
 ボブ・ラングレーは「北壁の死闘」で日本に紹介されたが、大変面白かったという記憶がある。
 「標的の原野」も山岳ものであるが、場所はスコットランドである。
 誘拐事件の犯人が環境汚染の被害者であるという設定に時代を感じる。
 犯罪は許せないものの、同情すべき余地はある。マンハントの標的に派それなりの殺される理由があるということだ。
 マンハントをいかに生き延びるか、息詰まる死闘が繰り返されるところは、「北壁の死闘」に共通する。
   


Posted by 北のフクロウ at 09:59Comments(0)読書