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読書・コミック  |札幌市北区

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2020年11月25日

謀略の砂塵 トム・クランシー、スチーブ・ビチェック著 扶桑社ミステリー

 トム・クランシーは2013年に亡くなっているが、トム・クランシーの名を冠した著作は引き続き上梓されている。これもオプ・センターシリーズとして2014年に出版されている。クランシーとビッチェックが創作し、ディック・コウチとジョージ・ゴウルドリシが書いた作品であるらしい。
 しかもご丁寧にオプ・センターはいったん収束したが、新たなテロリストがアメリカ・フットボール場をターゲットに爆破事件を起こすにあたって、再度組織を復活し新オプ・センターとして登場する形をとっている。主人公もチェイス・ウイリアムズが新長官となった。
 テロリストは見事新組織で解決するが、あらたにサウジの陰謀で、シリアがミサイルをパイプラインのそばから発射するカノゴトキ、サイバー攻撃をかける。シリアをアメリカに攻撃させようとする陰謀だが、オプセンターの働きで見事解決する。
 筋の展開も荒っぽいし、陰謀の真実性もないが、それだけ中東の争いは複雑ということだろうか。トランプの働きかけで、イスラエルとサオジアラビアが友好関係を結ぶという現実は小説の先を行っている。イランがサウジの敵であり、イスラエルもイランの敵である。同じイランを敵国とする者同士の提携ということだろうが、果たしてうまくいくか。  


Posted by 北のフクロウ at 14:42Comments(0)読書

2020年11月25日

鷹の王 C.J.ボックス著 講談社文庫

 シリーズ12作目に至って副主人公役の鷹匠ネイト・ロマノウスキーが主人公となってネイトがいかに隠棲生活を行うようになったかが明らかにされる。9.11が大きく影響している。ネイトの敵は鷹匠の師匠役の上官であった。鷹は中東の王侯の貢物として飼われ、それが上官の資金源となっていた。そこで見たのはオサマ・ビン・ラデンと上官の関係であった。9.11で真実を知ったネイトは真実を社会に明らかにする代わりに、隠棲生活を取った。しかし暴露されることを恐れる上官は執拗にネイルを追いかける。その暗闘がこの小説となっている。  


Posted by 北のフクロウ at 14:14Comments(0)読書

2020年11月25日

ゼロ以下の死 C.J.ボックス著 講談社文庫

 ボックスのジョー・ビケットシリーズでエイブリル・キーリーという里子が出てくる。そのエイブリルは死んだと思われていたが、それらしい少女がギャングと環境保護活動家の親子に誘拐されて行動を共にしている。この環境保護活動家はカーボンオフセットのために資金を集め、中米で植林活動を行っている。カーボンオフセットのためには殺人も辞さない。
 著者は気候変動については懐疑的なようにも思える。論争が科学から宗教に移っている、という懸念を持っている。自分たちの信じることを信じて凝り固まっている、とまで言っている。地球の気温が一定しないのは当然だという。人類が空中に排出する温室効果ガスが何らかの永久を及ぼしていることも認めないわけにはいかないともいう。人類が十億人単位で増えて生態系に影響を与えるというのは当然で、温暖化が資源を浪費したり、エネルギーを必要以上に使ったりするのは、性分に合わない。環境に負荷をかけない生活をするのだ、とも言っている。これは社会から逃避生活を行っている鷹匠ネイトという人間の口を借りた、著者の考えであろう。それは主人公のジョー・ビケットの生き方でもある。
 それだけに環境保護活動の名を借りて、殺人を行う誘拐犯を許すことができない。  


Posted by 北のフクロウ at 14:03Comments(0)読書

2020年11月16日

帰郷戦線―爆走ー ニコラス・ペトリ著 早川書房

 新しいヒーローが登場である。ピーター・アッシュ。元海兵隊の帰還兵である。
 PTSDで、極端に閉所が苦手なパニック症を持っている。
 元部下の自殺?に残されたその妻の家の修理をボランテアで行うが、そこで床下にいる猛犬ト、スーツケースに入った大金とプタスチック爆弾を発見する。元部下の死に疑問を持った主人公はいろいろ探るうちにとんでもない陰謀に巻き込まれる。
 帰還兵のアメリカにおける待遇と、ヘッジファンドを結び付けたユニークな作品。
 ピーター・アッシュはシリーズ化されたというから、次作が楽しみである。
 作者はラストベルト、ウイスコンシン州ミルウォーキー市在住の不動産鑑定士を職業とする作家だという。ここにも多彩な才能を持つミステリー作家がいた。  


Posted by 北のフクロウ at 15:00Comments(0)読書

2020年11月09日

ソフト・ターゲット スティーブン・ハンター著 扶桑社ミステリー

 スティーブン・ハンターと言えば、ボブ・リー・スワガーシリーズだが、ここでは同じスナイパーのレイ・クルーズが主役。ボブの娘がテレビ局社員として登場している。
 アメリカ一のショッピングモール、アメリカ・ザ・モールで、集団テロが発生し、1000人からの客を人質に取り、立てこもる。たまたまショッピングでモール内にいたレイが場外のスナイパーと協力し、テロリストを排除する。
 ここでは警察本部長の安全第一主義、官僚主義が現場の反発を受ける。
 テロリストを指導するのはコンピューターに精通した若者であり、モールの保安設備を制御し、警察を慌てさせる。
 それにしてもアメリカの銃にたいする考え方は納得できないものがある。銃を持たないと治安が維持できないのは文明社会とはいえないであろう。
アメリカの大統領選挙を見ると、19世紀の西部劇を見るような、野蛮な社会を感じる。  


Posted by 北のフクロウ at 18:02Comments(0)読書

2020年11月09日

冷酷な丘 C・J・ボックス著 講談社文庫

 ワイオミング州猟区管理官ジョー・ピケットシリーズの第10作目。今回は風力発電を巡る事件。風力発電に投資をした牧場主が何者かによって殺害され、その犯人として牧場主の妻に疑いがかかる。しかもその妻は主人公ジョーの義母に相当する。その義母はなかなかやり手で、数回結婚、離婚を繰り返し、離婚の旅に財産を増やしていく。義母とジョーはあまり仲が良くない。というのも娘が貧乏な猟区管理官と結婚したことが気に食わず、何かと不平を言うからだ。その義母が殺人犯の疑いがかけられ、裁判にかけられようとしている。そこで主人公の出番となる。
 一方友人の鷹匠であったネイルの過去が明らかになりつつあり、政府機関から追われる身であることが明らかになる。二つの事件が最後に一つになり、次作にはネイルの過去が一層明らかにされる、というようにシリーズが連綿とつながっている。  


Posted by 北のフクロウ at 16:52Comments(0)読書

2020年11月09日

狼の領域 C.J.ボックス著 講談社文庫

 ワイオミング州猟区管理官シリーズの9作目になるのだろうか。
 不審な双子の兄弟に出会い、危うく命を失いかける。二人は国を相手に争い、山中にひっそりと暮らしている。二人はもう一人の若い女性の逃亡者とも共生している。世間から身を隠してひっそりと暮らしているから、かまうなという主張を持っている。しかし州の法律を守る側の人間としては見逃すわけにはいかない。同じく法から逃れて孤独に生きる友人鷹匠ネイト・ロマノフスキーの存在は法律の両側にいながら、互いに助け合う友人として見逃すことができない。二人の脱法者をどうするかについて見解の相違をきたし、互いに惹かれながらたもとを分かつことになる。  


Posted by 北のフクロウ at 16:38Comments(0)読書

2020年11月09日

神の獲物 C.J.ボックス著 講談社文庫

 ワイオミング州猟区管理官ジョー・ビケットシリーズの第3作。
 奇妙な動物死体を発見したことから、物語が始まる。
 切り口がメスで切られたように、すっぱりとしていて、まるでエイリアンの手口みたいなのだ。
 ところが人間の殺人事件に及んで、話が進展する。超常現象研究者が疑わしい。
 知り合いの不動産屋の敷地内にいる不審な男も怪しい。
 過去に起きた二つの似たような事件とのつながりから、謎が解明される。  


Posted by 北のフクロウ at 16:23Comments(0)読書