さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2016年07月31日

戦場の支配者 クリス・ライアン著 竹書房

クリス・ライアンは元SAS隊員で、自身イラクからシリアに脱出した経験を持つ。それだけに戦争の悲惨さの描写は目を覆いたくなるものがある。ここの登場する主人公はSAS隊員でMI6の作戦の護衛としてシリアに侵入する。しかし英国の思惑と、味方である傭兵の裏切りにあって窮地に陥る。
主人公の両親の死とその死後主人公を助けてくれた傭兵との関係が作品を単なる戦争ものと違った作品となっている。
 そこの描かれた戦地の現状が実際の戦争に近いのであろう。
 このタフガイを主人公とするシリーズが次々発表されているから、読むべきであろうがあまりに残酷な描写が続くので、それをためらってしまう。でも主人公の活躍に期待して、読んでしまうことになるのではないか?
 一種の中毒かもしれない。  


Posted by 北のフクロウ at 08:40Comments(0)読書

2016年07月31日

ムーンドラゴンの謀略 マーク・サリヴァン著 竹書房

 ロビン・モナークシリーズの第2作。ロビン・モナークはアルゼンチンのスラム街出身の稀代の泥棒だが、その才能を買われてアメリカ大統領からインド、中国外務大臣と共にアメリカ国務大臣の救出作戦を頼まれる。世界制覇を意図する黒幕とその手先となっている香港のマフィアムーンドラゴンの指揮下で、世界各地でテロ事件が起きる。最終的にはロビン・モナークの活躍でムーンドラゴンは制圧されるが、黒幕はその野望を達成するために、次の計画を立てている。したがって、次作も期待できるというものだ。
 この種のスーパーヒーローはどんな危機に陥っても絶対危機を脱出するから安心して読める。
 
   


Posted by 北のフクロウ at 08:27Comments(0)読書

2016年07月26日

ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密 ポール・アダムス著

前作「ヴァイオリン職人の探求と推理」に引き続きヴァイオリン職人ジョヴァンニ・カステリョーネが難事件を解決する。
 今回はヴァイオリン奏者を巡る薀蓄が語られている。
 パガニーニは天才ヴァイオリン奏者であったが、人間的に問題があったらしい。ナポレオンの妹であるルッカ女大公エリーザ・バチョッキとに買わされた愛のしるしの黄金のヴァイオリンとそれを入れていた宝石箱が事件の鍵を握る。パガニーニの賭博の借金返済に黄金のヴァイオリン入り宝石箱がサン・カルロ歌劇場経営者の手に渡り、その劇場のソプラノ歌手であった後のロッシーニ夫人のイサベラ・コルブランに贈られる。これが巡り巡って、殺人事件の引き金になる。宝石箱の蓋の暗証キーが、パガニーニのモーゼ幻想曲の旋律を用いていて、しかも調弦の仕方で変換されているといった凝った謎解きもあって、楽しめる。  


Posted by 北のフクロウ at 09:56Comments(0)読書

2016年07月26日

ヴァイオリン職人の探求と推理 ポール・アダムス著 創元

 あまり期待しないで読み出したが、予想以上に面白いミステリー小説であった。
 ヴァイオリンの製作者、修理職人の素人探偵が、ヴァイオリン名器にまつわる殺人事件の解決をする。
 主人公のヴァイオリン職人ジョヴァンニ・カステリョーネは年齢63歳の妻に先立たれたやもめ。人生はたそがれているがまだ頭脳は明晰である。いっしょに弦楽四重奏を楽しんでいた仲間のひとりが何者かに殺される。同じく弦楽四重奏の仲間の刑事と一緒に事件解決に奮闘する。
 ヴァイオリンの名器ストラディヴァリ、グァルネリなどの薀蓄が豊かであり、それを読むだけで楽しい。
 しかし贋作も多く、主人公もグァルネリの贋作を手がけており、悪徳バイヤーの手にかかるとそれが200万ユーロにもなって、売られていた。世にストラディヴァリは1000挺ほど製作され、600挺ほどが正しい出所であるという。ヴァイオリンについているラベルは最も偽造しやすく当てにならないらしい。  


Posted by 北のフクロウ at 09:40Comments(0)読書

2016年07月20日

黙示録の種子 ジェームズ・ロリンズ&グラント・ブラックウッド

 ジェームズ・ロリンズがグランド・ブラックウッドと共著で、シグマシリーズの外伝とも言うべき作品を書いた。
 主人公はタッカーとその愛犬のケイン。「ギルドの系譜」で登場した犬を相棒とするキャラクターで評判が良かったのであろう。再登場となった。黙示録の種子というのは植物の幹細胞とも言うべき生物で、その毒性から生物兵器となりうる植物である。それを巡るロシアのGRU幹部との争いで、毒性を消す地衣類の争奪が人類滅亡の危機を防ぐという筋立てである。シグマシリーズと同様、ボーア戦争という歴史的事実と、LUCA(幹細胞植物)と地衣類のシアノバクテリアの存在は生命の起源に関わるキー物質である、という科学的事実を組み合わせた作品となっている。
 それにしても共著者のブラックウッドはクライブ・カッスラーやトム・クランシーとも共著書があり、この種の作品の著者として便利な存在のようだ。あとがきによると章毎に別々に書いて、あとでロリンズがすりあわせをして完成するという。
   


Posted by 北のフクロウ at 16:42Comments(0)読書

2016年07月20日

哀国者 グレッグ・ルッカ著 講談社文庫

アッティッカス・コディアックシリーズの第6弾作。
 ボディガードであったコディアックが犯罪者として追われるうちに、次第に暗殺者に変身していく過程が詳細に描かれている。
 かって敵として対峙したドラマ(アリーナ)が別れがたい味方、あるいは愛人となり、犯罪者に追いやった真の犯人を追及していく。
 しかもその対象が政府内にいたとは・・・・・・。
 政府が暗殺者を雇い、政敵を暗殺するということはありうることだと思う。
 そこら辺が政治の暗部としてあるように思う。
 ところで、タイトルであるが、「愛国者」ではなく、「哀国者」としたところは、9.11以降にできた「愛国法」にちなんでいる。
 愛国法ではテロの脅威に対抗するため、NSAが個人の情報まで盗聴することが公然と認められるようになった。
 スノーデン事件で明らかになっているが、この種のミステリー小説では公然の秘密ともいうべきものであり、当たり前になっている。
 映画「シチズンフォー」でこのあたりが描かれているが、プライバシーと自由が侵害されることに脅威を感じざるを得ない。
 3部作の2作目ということだから、3作目も読んでみたいと思う。  


Posted by 北のフクロウ at 12:44Comments(0)読書

2016年07月14日

暁に走れ ジョン・ストック著 小学館文庫

作者はジョン・ル・カレに比較されるスパイ小説の新しい旗手であるという。
 この作品に登場するレイラはイギリスMI6,アメリカCIAと渡り歩くスパイであるが、実がイランのスパイであるのが真の姿という三重スパイであるというのだから、ややこやしい。それに踊らされるMI6休職中のスパイはMI6の元長官の子供という設定で、インドのテロリストとの関係を疑われて、その父親は長官の地位を追われ、そのとばっちりで息子も休職の憂き目に会う。
 ロンドンマラソンで走っている最中にテロリストの不審な動きに気づき、テロを未然に防いだものの、テロリストとの関係を疑われ、CIAの拷問にあう。いかにもスパイ小説にあるようなハラハラドキドキの連続で、読者をあきさせない。テロリストと父親の関係が明かされて、事件の糸口が明らかになる。よくできたスパイ小説であると思う。  


Posted by 北のフクロウ at 12:40Comments(0)読書

2016年07月14日

逸脱者 グレッグ・ルッカ著 講談社文庫

 グレッグ・ルッカのボディガード・コディアックシリーズの第4弾作。
 前作「暗殺者」に登場した暗殺請負人ドラマ(アリーナ・シズコワの名前を持つ)との関係が思わぬ展開となる。
 なにやら暗殺者の結末がすっきりしないと思ったら、このような伏線があったのかと納得する。
 今回は別の暗殺者オクスフォ-ドが登場し、CIAが暗殺を発注しているというから、ややこやしい。
 今回の終わり方もドラマとの関係がすっきりしないから、別の展開を作者は考えているのかもしれない。
 ボディガードと暗殺者は攻撃と防御で、正反対の関係であるが、殺人に対する哲学も全く違う。
 このあたりにこだわるのが作者の主人公に対する思い入れであるように感じた。
   


Posted by 北のフクロウ at 12:26Comments(0)読書

2016年07月04日

刀伊入寇 葉室麟著 実業の日本社

「 藤原隆家の闘い」という副題がついている。隆家は平安時代の公家で、藤原道長の甥に当たる人物。
 刀伊は女真族で、滅亡した渤海国の残党。平安時代に日本近海を海賊のように荒らした史実がある。
 藤原隆家は大宰府の太宰権帥(だざいごんのそち)で、刀伊入寇に対処した。
 このような英雄肌の人物であったかどうかは分からないが、おそらく都で藤原道長と確執があり、九州に追われた者であろう。
 清少納言や紫式部と同時代の人である。  


Posted by 北のフクロウ at 16:46Comments(0)読書

2016年07月04日

水中襲撃ドローン「ピラニア」を追え!クライブ・カッスラー著

クライブ・カッスラーの最新作。ボイド・モリソンが共著者になっている。
 モリソンは「封印された宇宙人の遺言」を書いたミステリー作家。NASAの宇宙開発に従事していた工学博士であるというから、最新の宇宙技術に精通している作家といえる。
今回はカッスラーの数あるシリーズもののうち、ファン・カプリーヨを主人公とする「コーポレーション」シリーズ。
どんなピンチになっても、絶対主人公は死なないから安心して読める。
ここにでてくる最新兵器はニュートリノ望遠鏡で、どんなシステムにも望遠鏡で見るように、見ることが出来る優れものである。それに題名にもあるピラニアのように水中で無人操作のできるドローン兵器がでてくる。おそらくどの国も無人兵器は開発中であろうから、ピラニアのような攻撃機器は存在するのかもしれない。次作は2016年5月末に刊行予定とあるから、もう出版されているかもしれない。楽しみである。  


Posted by 北のフクロウ at 16:31Comments(0)読書

2016年07月04日

札幌交響楽団第591回定期演奏会

 7月1日(金)キタラ
今回のプログラムの目玉は小高忠明指揮でお兄さんの小高惇忠さんのピアノ協奏曲を清水和音さんのピアノで演奏した所にある。
惇忠さんがプレトークに駆けつけ、兄弟の話など語っていて、興味深かった。父親が小高久忠氏でNHK交響楽団の前身の新響の指揮者ならびに作曲家であった。兄弟して親の跡を継いだことになる。自分の曲が弟によってどのように演奏されるか、気が気でなかったのか。
ピアノ協奏曲は現代音楽であるが、最初の不協和音はそれらしいものの、後は耳慣れてくると耳を覆いたくなるような類の曲ではなかった。日本の曲という趣が感じられ、清水和音さんのピアノが見事であった。
後半はシューベルトの交響曲第8番「ザ・グレイト」約50分の大曲であるが、前曲を聴いた耳には安心感を持って聴けた。
尾高さんの指揮には大曲を感じさせない緊張感があり、退屈させなかった。
何よりもシューベルトの美しい旋律が満足感を与える。
関さんのオーボエは聴かせる。試用期間奏者で、首席奏者であるということがプログラムに書かれていたが、正式に契約されることを願う、というより札幌に残ってくれることを切に願う。  


Posted by 北のフクロウ at 16:13Comments(0)音楽