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読書・コミック  |札幌市北区

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2018年11月30日

ラスト・コヨーテ マイクル・コナリー著 扶桑社ミステリー

 ハリー・ボッシュにはまり込んでいる。ハリー・ボッシュシリーズの第4作目にあたり、彼の生みの親が娼婦であり、彼が10歳のときに殺害された真実が明らかにされる。母親が愛した相手が元地区検事局長にあたり、殺人の犯人ではないかという疑いをハリーが持っている。
 ハリーは担当した事件の対応で、上司を殴り、休職のみになっている。なおかつ精神医のカウンセリングを受けることを義務付けられている。ラスト・コヨーテという題名はロスの保護区にいるコヨーテに遭遇したことを機に、自分が一匹狼であることを認識したことを示している。
 コナリーのミステリーは最後の4,50ページが意外性があって面白い。ここまでの伏線が一気に出てきて、あっと驚く展開になる。
   


Posted by 北のフクロウ at 08:57Comments(0)読書

2018年11月30日

ナイトホークス マイクル・コナリー著 扶桑社ミステリー

 ハリー・ボッシュシリーズの第1作目になる。
 ハリー・ボッシュが警察官になる前、ヴェトナム戦争でトンネルネズミであった経験を持つ。
 ヴェトナム戦争で北軍がジャングルにトンネルを張り巡らせ、アメリカ軍を悩ませた。その対応に当たったのが,工兵ートンネルネズミであった。原題のブラックエコーはトンネルネズミ時代のトンネルに入った際の音を指す。日本語のタイトルはナイトホークスとなっているが、『夜更かしをする人」の意味で、いろいろなトラウマがあって、不眠症になっている人の意味である。
 ヴェトナム時代のトンネルネズミの仲間が殺害され、そこから銀行強盗の犯人探しに繋がっていく。ここで出てくるFBIの捜査官エレノア・ウイッシュは後にハリーと結婚し、離婚する相手であるが、今はその気配は無い。濃密な人間関係がこのシリーズの特徴で、いろいろな人間模様が一つの魅力である。
 それよりも魅力なのはハリー・ボッシュである。一匹狼で、組織になじまない。よく上司とけんかをする。しかし難事件を解決するので、組織としても切ることが出来ない。今後どんな展開になるか、楽しみである。  


Posted by 北のフクロウ at 08:42Comments(0)読書

2018年11月17日

マネー ロンダリング 橘玲著 幻冬舎

 海外の銀行口座を用いて、節税あるいは脱税する方法が詳細に述べられている。
 これを読んだ国税庁の担当者はどんな対策を講じるのだろうか。
 あるいは金持ちのためになんら対策せず、放置するのか。
 世界の政治家はタックスヘイブンに資産を隠しているようで、パナマ文書で明らかになっている。
 貧富が拡大するわけだ。
 主人公は元ウォール街のフアンドマネジャーだった。しかし失敗し、今は香港で金融コンサルをもぐりで業としている。
 ある美貌の依頼人に海外口座開設を頼まれたが、ヤクザが絡み、美貌の依頼人探しウィせざるを得なくなる。
 失踪人探しの手口が巧妙で参考になる。
 金持ちはこの本を読んで、節税対策を講じる参考にしたら良い。  


Posted by 北のフクロウ at 19:43Comments(0)読書

2018年11月17日

4人組がいた。 高村薫著 文芸春秋

 高村薫といえば、硬派のミステリー作家というイメージだが、あろうことかユーモア小説に挑んだ作品だという。
 それもブラックユーモアだという。
 小さな村の老人がその村で起きた事件にいかにからむかということで、グループアイドルやら新興宗教、町おこしなど今日本の現代事象をテーマに軽妙かつシニカルに描いたとあるが、あまり成功していない。
 この種のユーモア小説は浅田次郎にまかせた方がよい。  


Posted by 北のフクロウ at 19:02Comments(0)読書

2018年11月17日

生贄の山 ティム・ジョンストン著 小学館文庫

  ロッキー山脈の麓のリゾートでトラック競技のトレーニングに来ていた18歳の女子大生がトレーニング中に誘拐され、同行していた弟が重傷を負い、発見される。
  途中両親の不和、弟の放浪、神経を病んだ母親、片手が不自由な父親と破壊されつつある家族の有様が書かれている。
  最後は失踪した娘が発見されてめでた師となるのだが、途中がまどろっこしくて、ついつい飛ばして読んでしまった。文学性に優れた作品とあるが、ミステリーとしてはあまりいただけない。求めるものが違っていたようだ。  


Posted by 北のフクロウ at 18:54Comments(0)読書

2018年11月17日

ザ・ポエット マイクル・コナリー著  扶桑社文庫

「天使と罪の街」で詩人の正体は明らかになっているが、「ポエット」ではまだ犯人はわかっていない。
 犯人と思われる小児犯は詩人らしい行動を取るが、実は警官殺しの犯人ではなかった。
 アランポーの詩を想起する手記があることから、詩人という名前がつけられたが、やっている犯罪は酷い。
 主人公はハリーボッシュではなく、デンバーの新聞記者ジャック・マカヴォイとFBIの行動科学科捜査官ノレイチェル・ウォリングが主人公で、レイチェルは「天使と罪の街」でも重要な役割を果たす。犯人が誰かということが分からなければ、それなりに楽しめるミステリーであるが、真犯人が分かったときにそんなことが動機になるのかという思いが残る。ましてや「テン氏の罪の街」でも重ねる罪の深さは死刑以上の罰は無いものか、と思う。
   


Posted by 北のフクロウ at 18:45Comments(0)読書

2018年11月02日

夜より暗き闇 マイクル・コナリー著 講談社文庫

  ヒエロニムス・ボッシュというのはハリー・ボッシュの本名。画家のヒエロニムス・ブッシュに由来する。
 「夜より暗き闇」というのは画家ボッシュの画風を評した言葉で、「快楽の園」や「最後の審判」「七つの大罪」などからヒントを得て、ハリー・ボッシュを殺人犯人にしようとする陰謀に巻き込まれる。一方ハリーは別の殺人事件の検察側刑事として裁判の場にいるが二つの事件がFBIの元プロファイラー(心臓移植患者)の手によって解明される。ヒエロニムス・ブッシュの絵画をたくみに使った犯人サイドの策略は見事というべきで、危うくハリーは殺人事件にされる危機一髪であった。殺人事件の謎解きと裁判のやり取りはマイクル・コナリーの独壇場であり、ひとつ作品を読むと芋づる的に他の作品を読ませられるのは営業戦略としても巧みである。  


Posted by 北のフクロウ at 19:24Comments(0)読書