さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2018年12月30日

死層 パトリシア・コーンウエル著 講談社文庫

この作品は、コーンウエルの検屍官シリーズの20作目になるという。
 主人公ノケイ・スカーベッタも偉くなり、ケンブリッジ法医学センターの局長になっており、姪のルーシーもケイの下で同センターに勤めている。ピート・マリーノも刑事から同センターの捜査主任となっている。
 しかし小説の中身は検屍の詳細とコンピューターここではネットの専門知識が駆使されており、最初の「検屍官」とあまり変わらない。
 途中で犯人が分かるのも興ざめで、最後に主人公が利きに陥るが危機一髪で、助けられるという所もあまり代わり映えしない。
 男女関係がうるさいのと、ファッションや食事が細々してわずらわしいのは、女性作家ならではの特徴か。
 どうしてもマイクル・コナリーのボッシュとの比較になるが、ボッシュのほうが作品に緊張感があり、私としてはそちらの方が好きだ。
 古生物学者とボランテァ活動家と変死者の三つの殺人事件を結びつけるストーリーに工夫が見られるし、絶滅危惧種のオサガメが重要な役割を果たしているなど、作者の苦労が分かる作品ではある。  


Posted by 北のフクロウ at 16:38Comments(0)読書

2018年12月30日

トランクミュージック マイクル・コナリー著 扶桑社文庫

 トランクミュージックはギャングが死体を車のトランクに押し込めることを表現した言い方。
 映画プロデューサーがトランクに死体となって発見され、事件が始まる。
 ここでは、ナイトホークスでボッシュが好意を持ったFBI捜査官エレノアが再登場し、最後はめでたくボッシュと結婚するというこのシリーズとしては珍しくハッピーエンドである。
 ボッシュの組織嫌いの一匹狼的な行動は変わらない。
 ここでは警官が悪役であって、信用できない。アメリカの警察組織がこの小説のように腐っているとは思えないが、ロスのように悪がはびこる都会にあっては、警官もそれなりに悪くなるということか。それだからボッシュのような悪を憎み、正義感に満ちた刑事が光るということであろう。ボッシュの推理の冴えは見事で、話が二転三転するストーリーも健在である。  


Posted by 北のフクロウ at 16:12Comments(0)読書

2018年12月23日

ブラック・ハート マイクル・コナリー著 扶桑社文庫

マイクル・コナリーのブッシュシリーズ第3作目。「ブラック・ハート」は作中の司法心理学者ジョン・ロック博士の著書の題名「ブラック・ハートーー殺人のエロティックな鋳型を砕く」からきている。ブラック・ハートとは心の闇の意で、犯人の暗い心象を表している。
 マイクル・コナリーのミステリーはまず犯人らしい人物が登場するが、それは本星ではなく、最後50ページ位で真犯人が出てくる。
 この作品では犯人と思しき男が一人、二人と出てきて、最後に本星が出てくるという手の込んだつくりとなっている。
 もう一つはボッシュが別の事件で犯人が鬘を枕の下から出そうとしたのを銃を取り出そうと考えて、射殺したドールメーカー事件が民事裁判となっていてその法廷のやり取りが読みどころとなっている。原告弁護士と被告弁護士のやり取りが面白い。
 ロスアンジェルスは麻薬あり、ポルノあり、ギャングの抗争ありで、アメリカでも有数の犯罪としであるが、ここではポルノ産業の内幕が出ている。ロスにはハリウッドがあるが、ポルノも一大産業であり、出演者には事欠かない。彼女らが娼婦に転落する姿は痛々しい。  


Posted by 北のフクロウ at 10:56Comments(0)読書

2018年12月23日

ブラック・アイス マイクル・コナリー著 扶桑社文庫

 ブラック・アイスはコカインとヘロインとPCPを合わせた薬物のメキシコ産のものをいう。従来ハワイで作られていて、ガラスといわれていたものと同様のものをメキシコで作られるようになり、ロスアンジェルスに入るようになったという。この薬をめぐって、殺人事件がおき、ボッシュが解決する。
 自殺したと思われた同僚刑事の死因に疑いをもったボッシュが調べるうちにメキシコの麻薬組織のボスに行き着くが、実はそのボスは・・・・・。といった最後にどんでん返しが会って、読んでいて面白い。
 ハリー・ボッシュシリーズの第二作目。ハードボイルド刑事ミステリーとして、評価が高まっているマイクル・コナリーの作品。  


Posted by 北のフクロウ at 10:29Comments(0)読書

2018年12月23日

ザ・バット ジョー・ネスボ著 集英社文庫

 シドニーを舞台にした北欧警察ミステリー。オスロ警察刑事のハリー・ホーレが主人公で、ノルウエー女性の殺人事件解決のためにシドニーに派遣されているという設定。アル中になる事件を経験して、それを克服しようとしている最中に、シドニーで恋人が殺され、アル中になる、という弱さを持っている。「ザ・バット」は蝙蝠で、アルポジニの同僚警察官の話では、アルポジニ神話の中の死の象徴である。その警察官も殺され、道化師の芸人も殺される。犯人を誘い出すべく、恋人をおとりにしたがそれも、殺される。
 シドニーを舞台にしているということで、親しみがあり、シドニーの美しい風景が思い出された。  


Posted by 北のフクロウ at 09:28Comments(0)読書

2018年12月14日

検屍官 パトリシア・コーンウエル著 講談社文庫

  コーンウエルは女流ミステリー作家として、講談社文庫の稼ぎ頭らしい。
 どこの本屋でもコーンウエルの本がずらりと並んでいる。
 この「検屍官」は彼女の第1作目で、いわば出世作である。
 ケイ・スカーぺックというヴァージニア州検屍局長という要職にある40歳のエリート。彼女が検視結果を元に連続殺人犯人を見つける。
 というか、彼女が標的の一人になった殺人事件である。
 作者の経歴を見ると、警察担当記者、バージニア州検屍局のプログラマーを経験して、ミステリー作家となったという。従ってこの経験を元にこの作品を書いた。従って検視の現場に詳しく、コンピューターの操作もお手の物だ。
 この作家の作品を読まなかったのは、女性作家が細かな所に記述がわずらわしく、好きでなかったことによる。
 この作品もロマンスがあり、コンピューター犯罪があり、不潔そうな刑事がありで、盛りだくさんであるが、肝心の犯人の情報がメープルシロップ尿症というあまり聞いたことの無い体質の人間であるという点は意外性もあり、あまり納得できない点である。
 こんごどのような作品を書いていったのかは興味がある。  


Posted by 北のフクロウ at 13:22Comments(0)読書

2018年12月10日

 エンジェル・フライト マイクル・コナリー著 扶桑社文庫 

 エンジェル・フライトはケーブルカーの名前であるが、ここでは「堕天使は地獄へ飛ぶ」という日本版タイトルの元の本にあるように、
天使が地獄に飛んでいる、という意味合いもあるようだ。
 黒人の側に立つ弁護士がケーブルカーの中で、殺されている。この犯人探しがメインであるが、この弁護士が弁護していた少女殺人事件が密接に犯人探しに絡んでいる。
 この作品でもボッシュの一匹狼的な性格が際立っており、天敵のロス市警副本部長のアーヴィン・アービングと対立する。
 二つの殺人事件は見事解決するが、公表された結果は後味の悪い結末となっている。  


Posted by 北のフクロウ at 14:33Comments(0)読書

2018年12月10日

わが心臓の痛み マイクル・コナリー著 扶桑社

 元FBIの捜査官であったマッケイレブが主人公。彼は特異な血液型を有する心筋症であったが、心臓提供者が見つかり、心臓移植を受ける。しかし捜査官は辞めざるを得ず、船主として、釣り船屋になろうとしている。そこに心臓の提供者の姉が訪れ、殺された妹の犯人探しを依頼される。その姉とは事件解決後結婚したことが、ハリー・ボッシュシリーズの「天使と罪の街」で明らかになっている。
 さて心臓提供者の妹は誰によって殺されたのか、その動機は何か。興味津々のストーリーである。  


Posted by 北のフクロウ at 14:18Comments(0)読書

2018年12月10日

死の教訓 ジェフリー・ディーヴァー著 講談社文庫

 マイクル・コナリーのハリー・ボッシュの刑事と比較すると、ジェフリー・ディーヴァーの刑事ビル・コードとの比較になるが、ボッシュが一匹狼的であるのに対し、コードはまだ組織になじんでいる。コードも家庭が壊れており、刑事という職業は家庭にはなじまないようだ。
 死の教訓はリンカーン・ライムシリーズの前の作品であり、非常に欲張った盛りだくさんになっている。
 コードの子供、セアラが興味深い。大学の財政問題が採り上げられているが、アメリカの大学も日本の大学も経営は厳しいようだ。
 あまり盛りだくさんで、ミステリーとしては謎解きが浅い。リンカーン・ライムシリーズの方がこの点では優れている。
 作者がその分成長したということか。  


Posted by 北のフクロウ at 14:01Comments(0)読書

2018年12月02日

札幌交響楽団第614回定期演奏会

11月30日に聴いた札響の定演。
 ポンマーさんが来幌し、得意のドイツ音楽を演奏した。
 メンデルスゾーン 交響曲第5番「宗教改革」
 バッハ        ピアノ協奏曲第1番
 シューマン     交響曲第3番「ライン」
というプログラム。
特筆すべきは、バッハのピアノ協奏曲のソリストマルティン・シュタットフエルトさん。
このピアノ協奏曲は本来チェンバロで演奏されていたと思われるが、ピアノデ、チェンバロの細かなニュアンスを
ピアノで、表現していた。
さらに、アンコールで演奏した、バッハへのオマージュ~ピアノのための12の小品より前奏曲とフーガ~はその卓越した技巧にくわえて、力強さが加わり、今まで聴いたことの無いピアノの音が響いていた。
この作曲も彼がしたものだというから、その才能に驚嘆した。
世界には素晴らしく才能に恵まれた人間がいるものだ。  


Posted by 北のフクロウ at 10:04Comments(0)音楽