さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2016年09月24日

イヴの聖杯 ベン・メズリック著 竹書房文庫

 作者は映画「ソーシャルネットワーク」や、「ラスベガスをぶっつぶせ」の原作者であるそうだ。
 この作品も映画化が予定されており、いかにも映像にすると見るものを魅了するような筋立てになっている。
 主人公がめっぽう強い。テンポが良い。考古学アドベンチャーの王道を行く作品とあるが、そのとおりである。
 アマゾネスというテーマでもっともらしい指示とを絡ませている。
 旧世界の七不思議(エフェソスのアルテミス神殿、オリンピアのゼウス像、ハリカソックスのマウソロス霊廟、ロドス島の巨像、アレクサンドリアの大灯台、ギザの大ピラミッド、バビロンの空中庭園)に対し、二十一世紀に選出された新七不思議(コルコバードのキリスト像、タージ・マハル、チチェン・イッツア、マチュ・ピチュ、コロッセオ、ペトラ遺跡、万里の長城)を対比し、その組み合わせをうまく使っている。
 このうち5つ(エフェソスのアルテミス神殿、ギザの大ピラミッド、マチュ・ピチュ、コロッセオ、万里の長城)は現物を見ているから興味が一層増す。  


Posted by 北のフクロウ at 15:49Comments(0)読書

2016年09月24日

殺人にうってつけの日 フリーマントル著 新潮文庫

 元KGBと元CIAの情報部員の話。CIAの情報部員がロシアのスパイとなっていたが、KGBの情報部員の裏切りにあい、15年の投獄生活を送る。その間KGBの情報部員はアメリカに亡命し、証人保護法の適用を受け、名前を変えて、アメリカの情報部員の妻と結婚し、平和な生活を送っていた。面白くない元CIAの情報部員は復讐を計画する。二人の子供を殺すまでは復讐は計画通りであったが、その後破綻し、元CIAはもう少しのところで、復讐がならなかった。元CIAの情報部員がいかにずるがしこい悪人であるかが、克明に描かれており、狙われる元KGBに同情の念が増してくる。そのあたりの読者の気持ちの変化を心憎いまで読んでいる。子供が殺害される所で、悪人憎さがピークになる。

  


Posted by 北のフクロウ at 15:06Comments(0)読書

2016年09月18日

札幌交響楽団第593回定期演奏会

 9月16日、キタタで聴く。
 今回のプログラムはレーガーとモーツァルトに焦点を当て、二人の作曲家の接点を紐解いた。
 しかし聞くものとしてはモーツァルトのレクィエムを聴く楽しみであった。
 プログラムは
 レーガー モーツァルトの主題による変奏曲
 レーガー 序奏とパッサカリア
 モーツァルト レクィエム
 レーガー没後100記念を謳った演奏会で、レクィエムは相応しい選曲であったと思う。
 正直レーガーという作曲家のことは良く知らなかったが、現代作曲家というより後期ロマン派に近いのではないか。
 1873生まれ1916年没。43歳の若さで亡くなった。モーツァルト、バッハ、ベートーヴェン、ブラームスといったドイツの正当な作曲家の後継者という位置づけになるという。
 1曲目はモーツアルトのトルコ行進曲付のピアノソナタ第1楽章の変奏曲主題から作曲したというから、なじみのある旋律が出てくるが返送部分はレーガーのものであった。
 「序奏とパッサカリア」はオルガン独奏で、札幌交響楽団の定期としては珍しい。バッハ風のオルガン曲で、その音量と、和音の厚みに圧倒された。
 レクィエムは札幌で聴ける最高のモツレクといっても良いのではないか。合唱団団員のことばにある「前へ前へと何か探し求めて駆け抜けるような、夭折したモーツァルトの生き様そのもののような」レクィエムであった。  


Posted by 北のフクロウ at 09:07Comments(0)音楽

2016年09月15日

日本中枢の崩壊 古賀茂明著 講談社

 古賀茂明氏がまだ経済産業省大臣官房付であった2011年に書かれた著作。
 当時民社党政権で、3.11後であった。
 経産省のキャリア官僚であった氏は官僚には歯に衣を着せぬ発言で、仙谷官房長官の恫喝を受け、干された時期に当たる。
 その後官僚を辞任し、一時マスコミ、テレビに登場し、テレビで政府の干渉を発言し物議をかもした。
 いかに日本の官僚が省益優先で、日本のことを考えていないか、行政改革が如何に難しいかがよく読んで分かる。
 日本の将来を官僚に任せてはならないかを強く感じる。官僚打破を唱え、政治主導をスローガンにした、民主党がいかにだらしなかったかが、よく分かる。
 彼のような発言をする人材をもっと登用しなければならないのだが、日本社会は和を乱す人材を嫌う風潮がある。
 政管はこの著作にもっと耳を傾ける必要があるのではないか?  


Posted by 北のフクロウ at 09:46Comments(0)読書

2016年09月12日

札幌交響楽団名曲シリーズ

9月10日(土)キタラ
 今回の名曲シリーズはライプツィヒ~ドイツ・ロマンの故郷~と題して、マックス・ポンマー指揮、ピアノ:キム・ソヌクの演奏。
 メンデルスゾーン 真夏の夜の夢序曲
 シューマン ピアノ協奏曲
 ブラームス ハイドンの主題による変奏曲
 R シュトラウス 交響詩 ドン・ファン
というドイツ作品を集めた。
秀逸はシューマンのピアノ協奏曲のキム・ソヌク。1988年ソウルの生まれとあるから、28歳の若手ピアニストである。
大変しっかりした演奏で、好感が持てた。  


Posted by 北のフクロウ at 10:26Comments(0)音楽

2016年09月12日

プラチナデータ 東野圭吾著

 日本の売れっ子ミステリー作家の作品。
 遺伝子情報を用いて犯罪者を特定する画期的なプログラムが開発される。
 その開発者が何者かによって殺され、その担当者が犯人に仕立てられる。
 その主人公が二重性格者であるというシチュエーションで、話がSF仕立てになっている。
 遺伝子情報で身長、性格、形などプロファイリングが明らかになるというのはどんなものか。
 情報を明らかにされたくない議員や、警察の幹部はプラチナデータに区分され、それが開発者の殺人事件に結びついている。
 やや話に飛躍があって、そこの浅い作品になっている。
 犯罪防止のために個人のDNAを国家が管理しようとする発想は現実のものとなると恐ろしい話ではある。
 病院からの依頼で、遺伝情報取得のために血液の提供を行ったが、考えてみるとどのように利用されるかわからず、気をつけなければならないかも。
 小説の読みすぎか?  


Posted by 北のフクロウ at 10:16Comments(0)読書

2016年09月12日

暗殺者の反撃 マーク・グリーニー著 早川書房

 コートランド・ジェントリーシリーズがいよいよ佳境に入ってきた。
 主人公のジェントリーは今まで世界中を逃げ回ってきたが、その原因を究明すべく、CIAの本拠のあるワシントンに乗り込んでくる。
 黒幕がCIAの本部長デニー・カーマイケルであることが分かっているがなかなか近づけない。デニーもサウジアラビアの情報機関を利用してジュエントリーの抹殺を図る。元上司や同僚を味方にして、ようやくデニーをたおす。それまでの過程がリアルである。
 犯罪者になったときの追跡手段はアメリカでは徹底しているようだ。そうでなければテロリストの襲撃には対処できないということか。
 このシリーズはまだ続くようである。楽しみなことである。  


Posted by 北のフクロウ at 10:02Comments(0)読書

2016年09月12日

爆魔 フリーマントル著 新潮文庫

 ダニーロフとカウリーのシリーズ第3弾。
 ロシアのモスクワ民警のダニーロフとFBIの捜査官カウリーが米露にまたがるテロ事件を共同で解決する。
 ロシアのマフィアとアメリカの特殊部隊上がりの元兵士とその妹が共謀して起こしたテロ組織がニューヨークの国連本部に弾頭に炭素菌とサリンをつめたミサイルを撃ち込むという衝撃的な事件が起きる。この作品が書かれたのは9.11以前であるので、作者の先見性が評価された。9.11はアルカイダによる同時多発テロであったが、テロの危険性はアメリカでは日常的であるところが恐ろしい。
 同時にサイバー攻撃も受け、テロリストの資金源がコンピューター操作による銀行の小口抜き取り詐欺であるなど現代の犯罪の手口が作品に生かされている。
 フリーマントルの語り口は錯綜しており、ついていくのが容易でない。犯人像がなかなか明らかにならないし、ロシア、アメリカの政治問題が絡んで二人の主人公ならずも作業がスムーズに行かない。
 そこが作品のリアリティを高めているとも言える。  


Posted by 北のフクロウ at 09:22Comments(0)読書