さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2020年02月22日

ぬいぐるみ警部の帰還 西澤保彦著 東京創元社

  ぬいぐるみに異常な興味を示す美男警部の鮮やかな推理。ユーモア推理小説を目指しているようだが、あまり笑えない。
 殺人事件がテーマでは笑えるような話にならないのは無理もない。短編小説なので、あっけなく事件が解決してしまうので、事件解決に至る推理の過程を楽しむこともない。ちょっとしたヒントで次々事件を解決するところは鮮やかであるが、そこは小説、小説家の腕の見せ所であろう。暇つぶし以上のものではなかった。  


Posted by 北のフクロウ at 08:23Comments(0)読書

2020年02月19日

ニューヨーク大聖堂 ネルソン・デミル著 講談社文庫

 ニューヨークの大聖堂は聖パトリック大聖堂のこと。ニューヨークにはアイルランド人の移民が多く、カソリック教徒のために建てられた。
 3月17日は聖パトリックの日といわれ、アイルランド人もアイルランド人でない人もこの日を祝うという。この日を目指してIRA暫定派の一派「フィアナ騎士団」を名乗り、聖パトリック大聖堂に人質を捕り、立てこもりアルスターに捕らえられているIRAの仲間の開放を謀る。時限爆弾を仕掛け24時間後に聖パトリック大聖堂を爆破することを引き換えとする。人質救出をするために州軍隊、ニューヨーク市警などがそれぞれの思惑で、救出にあたる。人質交渉人や情報部、イギリス外交官など多彩な人物が絡むところはネルソン・デミルらしい。主人公のパトリック・バークはダジャレを飛ばさず、警察官らしい対応で、好感が持てる。
 アイルランドとイギリスの確執はクロムウエルの虐殺に始まるというから、根が深い。イギリスのEU離脱でも北アイルランドの去就が注目を浴びているが、このあたりでIRA問題が再燃しないとも限らない。  


Posted by 北のフクロウ at 13:19Comments(0)読書

2020年02月18日

ワイルドファイア ネルソン・デミル著 講談社文庫

 ジョン・コーリーシリーズで「ナイトフォール」の次作に相当する。
 国内にもテロリストがいたというショッキングなテーマで、アメリカ人がイスラム国家に報復するために、国内で核爆発を起こし、報復として自動的にシステム化されている「プロジェクトグリーン」作戦を作動させようとする。この陰謀名が「ワイルド・ファイア」というものだ。これを阻止するためにジョン・コーリーと妻のケイトが活躍する。犯人はカスタークラブというネオコンの会長で、石油会社のオーナーで、アラブ国を核爆発で壊滅し石油をアメリカ資本下に独占しようとする陰謀を持っている。最近のアメリカのイランいじめは石油を巡る攻防であり、石油が無ければアメリカはこれほどイランに介入しないであろう。石油の有無が北朝鮮との大きな違いである。
 核兵器の小型化技術とかELF波(極超長波)信号システムなど新技術が出てくるが、はたして作者の創造であろうか?テロリストがまねをしないか心配である。
*ネットで見るといずれも現実のものであり、作者の創造ではないようである。とすれば「プロジェクトグリーン」も現実のものかもしれない。
 テロリストでなくて、アメリカ政府が実行したらと考えると恐ろしくなる。狂気の指導者が出ないことを切に願う。
  


Posted by 北のフクロウ at 20:56Comments(0)読書

2020年02月05日

ナイトフォール ネルソン・デミル著 講談社文庫

 ジョン・コーリーシリーズで「王者のゲーム」と「獅子の血戦」の間に位置する作品。
 1996年のTWA800便の墜落事故を題材にしている。墜落の原因は燃料タンクで何らかの爆発が起こり、機が破損して墜落したということが
公式の見解であるが、ミサイルによる攻撃であるという説もあった。何らかの政治力が働き真相が隠されたのだという。
 コーリーはミサイル説を裏付けるために5年前の事故原因を追究するが、CIAやFBIの上層部からの働きかけで、イエメンに追いやられる。それでも懲りずに、原因を追い詰め今一歩というところで、2001年9月11日のアルカイダによる貿易センター攻撃で、物語は次の作品「WILD FIRE」につながる。なんとも憎い作者の意図である。  


Posted by 北のフクロウ at 08:47Comments(0)読書