さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2022年03月23日

応酬 ポール・リンゼイ著 講談社文庫

 ポール・リンゼイは元FBI捜査官。その体験からFBIのはみ出し者集団を主人公に面白い小説を書いている。
 この「応酬」ではニック・ヴァンコーという自動車事故で顔面に傷を負った班長以下一癖も二癖もある部下が事件を解決する。
 シーラという子供の殺人事件だけを追い求める部下は偏執的な捜査が理由でヴァンコーの班に追いやられる。
 一方で、ニューヨークのマフィア一家が抱える事件、宝物探しが絡んで、班の一員がマフィアに取り込まれる。このマフィアとFBIとの絡みと、FBIの内部の勢力争いが小説の主題。事件の解決はめでたし、めでたしである。  


Posted by 北のフクロウ at 13:28Comments(0)読書

2022年03月23日

兄弟の血 A.ルースルンド&S.トゥンベリ著 早川書房

 副題が「熊と踊れ Ⅱ」とあるように、前作「熊と踊れ」の続きである。
 ストックフォルム警察の警部ヨン・ブロンクスの父親は兄サム・ラーシェンによって殺され、刑に服した。
 彼と刑務所で一緒であったレオ・ドウニヤックはヨンに逮捕された恨みを持っており、刑期を終えてサムと供に報復の大きな犯罪を計画している。
 レオの兄弟や父親を巻き込んで、前に失敗した銀行強盗の盗んだ紙幣を強奪する計画だ。しかし綿密な計画もヨンの働きで失敗し、レオは逮捕され、レオの弟ヴィンセントは爆死する。北欧の一味違う犯罪小説である。
  


Posted by 北のフクロウ at 13:17Comments(0)読書

2022年03月23日

団塊の秋 堺屋太一著   東京書籍

 堺屋太一は団塊の世代を主人公に「団塊の世代」を書いた。
 「団塊の秋」は同じく団塊の世代を描いて2028年迄の彼らの栄光と挫折の歴史を俯瞰した。
 6人の団塊の世代が登場する。いずれも身近にある日本人のエピソードで、身につまされる。
 第6話の電気守が前向きな老人生活と言えるだろうか。太陽光発電設備を設置し、それを電力会社に売却し、自身はメンテナンス会社を悠々自適の生活の合間に行う。こんな老後があれば望ましいであろう。  


Posted by 北のフクロウ at 13:04Comments(0)読書

2022年03月10日

レッドゾーン 真山仁著 講談社

 ハゲタカシリーズの1冊。
 アカマ自動車の乗っ取りを画策する中国政府の対するホワイトナイトの役割を鷲津率いるサムライファンドが担う。
 中国に対して日本政府は無力で、アカマ自動車の対抗策も効果がない。
 そこにアメリカのファンドも参戦し、風前の灯火となる。
 そこで鷲津政彦の打った手は・・・。
 解決策が意外であり、ちょっと納得の行く結果でなかったが、途中の展開はいままでのハゲタカシリーズ同様面白かった。  


Posted by 北のフクロウ at 15:07Comments(0)読書

2022年03月10日

プライド 真山仁著 新潮社

 真山仁の短編集。
 表題の「プライド」は内部告発の調査を命じられた社員が古参の職人が犯人であることを突き止めるが、その動機が会社の誤った方針に抵抗して、娘婿に代わって、会社を訴えたころを発見する。そこに職人のプライドを見出した。
 それ以外に、事業仕分けに抵抗する農林水産省の官僚の「一俵の重み」、学閥からはずれた心臓外科医の「医は・・・」、日本古来のカイコを育てようとする遺伝子学者の「絹の道」、妻の官僚を辞めさせようとする大臣の「暴言大臣」、農薬によるミツバチの失踪事件を示唆する「ミツバチが消えた夏」からなる。
 いずれもty社の言葉を借りると、「何のために人は働くのか、そしてどうすれば矜持を守ることができるのか」をいろいろな切り口で描いた作品である。
 この姿勢はかれの「ハゲタカ」シリーズの鷲津政彦の生き方とも通じるものがある。  


Posted by 北のフクロウ at 14:58Comments(0)読書