さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2017年07月24日

イブの迷宮 ジェームズ・ロリング著 竹書房

 シグマシリーズの最新作。
 今回のテーマは人類がいかに知性を獲得したのか、その大躍進の景気はどこに起源があるのか、という大きなテーマを持っている。
 結論を言えば、ホモサピエンスとネアンデルタール人、あるいは他の類人との交雑による雑種強勢があったのではないかという仮説に基づいている。人類の遺伝子の中にはネアンデルタール人の遺伝子の痕跡があるという。
 ここでも中国が悪者になっているが、サイバー攻撃など国家的な戦略として採っているように思われる。
 アトランティック大陸が今の南アメリカであるという仮説もジュームズ・ロリンズの大胆な説であり、小説としては面白い。
 太陽と地球と月の関係についての不思議はそのとおりであるが、37、366、73の数字の不思議は指摘されると不思議の思う。
 天文学者は同説明するのであろうか。  


Posted by 北のフクロウ at 22:08Comments(0)読書

2017年07月24日

ウォッチメイカー ジェフリー・ディーバー著 文芸春秋

 半身不随の鑑識の天才が事件解決をするシリーズの7作目だという。私は始めて読んだが、主人公が元ニューヨーク市警科学捜査部長で、事故で脊髄損傷し、今は捜査顧問となっている。
 今回の事件はウォッチメーカーと呼ばれる犯人が殺人事件を冒したように見えて、実はそうではなかった、という二転三転する複雑さで、結局ウォッチメーカーには逃げられてしまう。
 この二転三転する事件の展開には最後まで息をつかせない。作者の推理作家の面目躍如といったところ。
 この事件の解決に役立っているのは、キネシクスといわれる証人や容疑者のボディランゲージや言葉遣いを観察し、分析する科学のエキスパートが活躍する。
 ここで思い至るのは、今回の閉会時審査の加計学園の獣医学部戦略特区問題である。
 前川前事務次官と、和泉首相補佐官のやりとりは、言ったいわないの水掛け論であるが、ここにキネシクスのエキスパートがいて、どちらが嘘を言っているかの判定を的確にしていたならば、無駄な審議をしないでもすむのではないかと思う。
 もっといえば、嘘発見器を装着して、質疑をすれば白黒決着が付くのではないか。記憶に無いかどうかはそれで、随分はっきりするのではないか。  


Posted by 北のフクロウ at 21:50Comments(0)読書

2017年07月08日

札幌交響楽団第601回定期演奏会

前回の定期演奏会は600回で、モーツアルトの3大交響曲39,40,41番のオーソドックスなプログラムをポンマーさんが指揮をした。
 今回はキタラ開館20周年で、こけら落としとオープニングコンサートを指揮した秋山和慶さんが指揮をした。
 チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を神尾真由子さんがソリストで演奏した。
 後半はショスタコービッチの交響曲第5番
 この演奏者とプログラムが人気を呼んだのか、金曜日の定期としてはビックリするほどの集客で、演奏者もさぞかし演奏のし甲斐があったことだろう。神尾さんのヴァイオリンは低音がヴァイオリンとは思えないほどの迫力があった。楽器はストラデバリウスのルビノフだという。楽器のためばかりでもなかろうが、演奏者によってかくも楽曲の印象が違うものかと思う。
 ショスタコービッチの5番は彼の15曲の交響曲のうちでは1番ポピュラーではないかと思う。あまり好きな作曲家ではないがこの曲は好きなほうである。前に尾高さんの指揮で聴いたが、秋山さんの指揮の方が自然で、こちらの方が私の好みにあう。どちらも演奏は緊迫感を持っていて、札響の得意のレパートリーの一つであることは間違いない。  


Posted by 北のフクロウ at 08:56Comments(0)音楽

2017年07月08日

大地のショパン 札響名曲シリーズ

 6月24日(土)キタラ
 円光寺雅彦指揮で、ピアノソロに遠藤郁子を迎え、ショパンのピアノ協奏曲第1番、ほかにドボルザークの序曲「謝肉祭」、
 ムソルグスキーの交響詩「禿山の一夜」、ハチャトリアンバレー音楽「ガイーヌ」、ボロディン「イーゴリ公」より「韃靼人の踊り」など
バライティに富んだプログラムであった。
 圧巻は遠藤郁子のピアノ。ダイナミックで繊細なショパンを演奏した。彼女の出演のためか、会場は今までに見たことのないような、盛況であった。いつも名曲シリーズはお客の入りが良いが、今回はさらに大盛況であったように思う。  


Posted by 北のフクロウ at 08:38Comments(0)音楽

2017年07月07日

大諜報 クライブ・カッスラー著 フソウ社ミステリー

クライブ・カッスラーとジャスティン・スコット共著の探偵アイザック・ベルシリーズの3作目。
 このシリーズは10冊すでに出版されているというから、当分楽しめそうだ。
 クライブ・カッスラーはダークピットシリーズからアイザック・ベルシリーズまでイクツカノシリーズがあり、最近は共同執筆の形をとるものが多いから、本当に彼がどこまで書いているのかどうかは疑わしい。アイザック・ベルシリーズはダークピットシリーズなどとは違って、歴史と最新兵器と、主人公の魅力という点で独特の味わいがあるが、アイザックベルではその風味が違う。
 それはそれで、また楽しい。
   


Posted by 北のフクロウ at 14:08Comments(0)読書

2017年07月07日

時限紙幣 ロジャー・ホッブス著 文芸春秋

  ゴーストマンと呼ばれる犯罪隠蔽を業としている凄業の男がいる。
  彼はクアラルンプールで請け負った銀行強盗でミスを犯し、仲間を失った。その負い目を償うために他の強盗の犯した現金強奪事件の隠蔽工作を請け負わざるを得なくなる。
 二つの犯罪事件が最後までミステリーとして残り、読者を引き付ける。
 主人公の生き方は「天国に入れないなら、好きなことをやれ」というモットーで、麻薬密売者の前で、平気でロシアンルーレットをやる。
 度胸が良いというのか、そのスリルが人生を意味あるものにする。
 連邦準備銀行の紙幣には時限装置が仕込まれているということは知らなかった。
 日本の日銀紙幣にもそのような時限装置が仕込まれているのだろうか。現金輸送車にそのような仕組みがあるならば、銀行強盗は割りのあわない犯罪になるだろうと思う。
 これは映画化されたようで、読んでいて映画の場面がチラチラした。しかしストーリーは思い出さなかったので、最後まで面白く読んだ。
追伸
 映画化作品をネットで追っていたところ、作者が昨年11月に薬のオーバードースで急死していたことが分かった。ヤクのやりすぎというのは、この種の作家としては、ありそうなことであるが、才能のある作家であっただけに、惜しい人材を失ったという思いがして残念だ。
 第二作目は完成していたようで、その翻訳が待たれる。  


Posted by 北のフクロウ at 13:57Comments(0)読書