さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2017年03月27日

狂信者の黙示録 ダグ・リチャードソン著 創元推理文庫

 昔、新興宗教の信者が集団自殺した事件があった。それを下敷きにした小説であるらしい。
 上院議員の子供のほしい妻が不妊治療をうけていたが、そこを死刑を宣告された教祖に目をつけられ、教祖の精子によって人工授精される。自分の子供によって死後も遺伝子を残そうという計画である。
 相当優秀な教祖と見え、与えられたコンピューターによって、信者に指示を与え、上院議員の妻の誘拐並びに上院議員のアルコール中毒をマスコミに情報操作する。
 このような情報操作が行われる社会は恐ろしいと思うが、今のトランプ大統領がFDAと抗争していることを思うと、あながち小説の世界の話ではないと思われる。
 最後に読者をあっといわせる仕掛けをしている所は映画ダイハード2の脚本を書いた作者らしい。
 この小説もブルース・ウイリス主演で映画化されたらしいが、残念ながら見落とした。  


Posted by 北のフクロウ at 20:13Comments(0)読書

2017年03月19日

アーサー王の墓所の夢 アリアナ・フランクリン著 創元

  女性検死医者アデリアの第3作目。12世紀ヘンリー2世時代のイングランドが舞台のミステリーである。
  今回は伝説の王アーサーの墓所を巡り、真相を解明する。
  アーサー王は6世紀の伝説のブリテン王。その人物が史実であるかどうかは不明で、墓所もあるかどうか分からない。
  伝説では、王位と妻グィネヴィアを甥のモードレッドに奪われ、それを奪還するためにコーンウォ-ルのカブラン川で闘い、モードレッドは殺害したものの、自身も重傷を負い、アヴァロン島で死んだという。そのアヴァロン島がどこであるかは謎である。12世紀当時ヘンリー2世はウエールズと戦っていたが、ウエールズにはアーサー王が生きていて、ウエールズを助けると考えられていたため、それを打ち破るためにはアーサー王が死んで葬られていることを、証明したいと考え、アデリアにそれを託す。
 それらしい墓所には二人の遺骨が埋設されており、それらしい傷もある。果たして真相はいかに。
作者は次作も書いて亡くなっていたが、残念ながら4作目は翻訳本が出ていないようだ。  


Posted by 北のフクロウ at 09:23Comments(0)読書

2017年03月13日

7月の暗殺者 ゴードン・スティーブンス著 

 20世紀のテロリストといえば、IRA暫定派であった。北アイルランドのキリスト教徒の武力組織であった。
 小説の時代はまさにIRAとイギリスが衝突していた1990年代。IRAがスリーパーという暗殺者がイギリス王室のピンマンを標的に暗殺を企図する。ちょうどドゴールを狙ったフレデリック・フォーサイスの「ジャッカルの日」を想起させるようなミステリーである。
 IRA暫定派なりに大義があり、それを阻止しようとするイギリス側には国を守るべき大義がある。結果誘拐事件は失敗するが、最後の罠でイギリス内務大臣が爆死する。痛み分けということであろうか。
 IRA側、イギリス側双方に内部抗争があり、虚々実々の駆け引き狩り、こちらも面白い。
 それに比較して、ISのテロにはどんな大義があるのだろうか。  


Posted by 北のフクロウ at 08:44Comments(0)読書

2017年03月11日

書店猫ハムレットの跳躍 アリ・ブランドン著 創元推理

 猫が犯人の名前を示唆して、事件を解決するという所に無理があるが、猫好きにはたまらないミステリーなのであろう。
 事件解決というよりも、書店主の女性主人公と個性豊かなネコの関係がテーマの小説である。  


Posted by 北のフクロウ at 08:59Comments(0)読書

2017年03月11日

沈黙の3日間 フランク・シェッツィング著 早川書房

1999年のケルンサミットで、クリントン大統領暗殺が計画され、ノーベル賞候補の著名物理学者がそれを阻止するというミステリーである。
 著者が「黒のトイフエル」「深海のYrr」のフランク・シェッツィングで、欧米と一味違う作品である。
 何が違うかというと、当時のコソボ紛争に対する歴史認識である。アメリカ側からするとコソボ紛争はミロシェビッチの暴政に対する正義の介入という認識であろうが、歴史的なセビリアとアルバニアの抗争がチトー亡き後表面化したものであって、14世紀まで遡ることが出来る根深いものがある。コソボ紛争は民族の抗争で今は一応落ち着いているが、またいつ噴出するか分からないところがある。
 暗殺者はセルビア人で、セルビア人の不満をクリントン暗殺に駆り立てたように思える。その暗殺の手段が秀抜で、ヤグレーザーを用いるユニークなものであった。著名な物理学者であったから、防止できたといえる。実名の政治家に対する著者の見解は妥当なものであろう。  


Posted by 北のフクロウ at 08:54Comments(0)読書

2017年03月11日

札幌交響楽団第597回定期演奏会

 3月10日(金)キタラで聴く。
 今回はエリシュカさん指揮で、ブラームスの第1番の交響曲がメインであったが、シューベルトの5番の交響曲が耳新しく、楽しめた。
 メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」
 シューベルト:交響曲第5番
 ブラームス:交響曲第1番
 実は今週火曜日、パークホテルで朝食を摂っていたところ、隣の席にエリシュカ夫妻と通訳の方が食事を摂っておられた。
 食欲旺盛で、スクランブルエッグを食べておられた。
 85歳であれだけの若々しい指揮をされるのには、食事が大切であると思った。
 オーケストラと指揮者の信頼関係があることは、演奏を聴くとわかる。
 このプログラムで東京で演奏会を行うとのことであるが、きっと評判を呼ぶことであろう。
 エリシュカさんのプログラムはドボルザーク、チャイコフスキー、ブラームスのシリーズを終え、来年度はベートーヴェンに移るようだ。
 10月に「英雄」を演奏する予定。どんなベートーヴェンになるか、楽しみだ。

  


Posted by 北のフクロウ at 08:31Comments(0)音楽