2018年02月22日
ソロモン海底都市の呪いを解け クライブ・カッスラー他著
クライブ・カッスラーのいくつかあるシリーズのひとつ、ファーゴ夫妻が主人公である。
共著者はラッセル・ブレークで、ガダルカナル島が舞台。旧日本軍の細菌兵器研究がガナルカナル島で行われていたというフイクションが背景にある。満州の石井部隊を下敷きにしているのであろう。ガダルカナル島で昔大地震がおき、そこのあった王国が津波の被害にあい、壊滅した。その遺跡を探り出そうとする主人公に反対勢力が様々な妨害を行う。シリーズ物だから主人公が殺される心配が無いから、安心して読むことが出来る。意外な人物が黒幕であることがオチである。
共著者はラッセル・ブレークで、ガダルカナル島が舞台。旧日本軍の細菌兵器研究がガナルカナル島で行われていたというフイクションが背景にある。満州の石井部隊を下敷きにしているのであろう。ガダルカナル島で昔大地震がおき、そこのあった王国が津波の被害にあい、壊滅した。その遺跡を探り出そうとする主人公に反対勢力が様々な妨害を行う。シリーズ物だから主人公が殺される心配が無いから、安心して読むことが出来る。意外な人物が黒幕であることがオチである。
2018年02月22日
蔵書まるごと消失事件 イアン・サムソン著 創元推理
作者はドジな司書を主人公とするドタバタ喜劇を書いたつもりだろう。司書しか務まらない主人公がアイルランドのタムドラムという田舎町の図書館に就職が決まって、赴任した所図書館は閉鎖され、移動図書館をまかされる。しかし肝心の本が何者かによって盗まれており、その犯人探しをせざるを得なくなる。犯人探しがメインのテーマではなく、あくまでも主人公の馬鹿さ加減が強調されており、救いようが無い。
結末はあっけないもので、ハッピーエンドに終わっている所が救い。
結末はあっけないもので、ハッピーエンドに終わっている所が救い。
2018年02月22日
タナーと謎のナチ老人 ローレンス・ブロック著 創元推理文庫
ローレンス・ブロックのいくつかあるシリーズのひとつ。主人公エヴァン・マイケル・タナーは朝鮮戦争で頭に銃弾を受け、破片が残っているために睡眠の機能が損なわれ、眠ることが出来ない。そこを逆手にとって各国語をマスターした。その才能に目をつけた政府のある機関がプラハのフラデシー城に捕えられている元ドイツの傀儡政権の外務大臣を務めたネオ・ナチの活動家を救出し、重要な情報を得るという使命を与えられる。その救出にアメリカが関与していることが分からないように、タナーに任務が与えられたということである。その老ナチストが傲慢で糖尿病患者で、カタレプシーという病気持ちと来ているから厄介である。このカタレプシーというのは一見死んだようになって、動かなくなる病気で、これをうまく利用して、チェコから、ハンガリー、ユーゴスラビアを経由してギリシャに逃れようとする逃走劇である。この特異なキャラクターの主人公と老ナチストの絡みと、情報を入手する最後の場面が印象的な作品である。
2018年02月22日
海鳴り 藤沢周平著 文春文庫
江戸時代、不倫は打ち首の大罪である。それを分かりながら、不倫に走る人間の業を感じる。
作者は二人を最後は心中させるつもりだったようだが、二人に愛着を感じて、水戸に逃げさせた。その先はどうなったかは小説には描かれていない。発見されるまで、つかの間の幸せを味わったかもしれない。そこは余韻として残している。
江戸時代の製紙の取引の様子が良く描かれている。相当調査したらしい。綿密な調査があったから、生き生きとした小説になっているのだろう。
作者は二人を最後は心中させるつもりだったようだが、二人に愛着を感じて、水戸に逃げさせた。その先はどうなったかは小説には描かれていない。発見されるまで、つかの間の幸せを味わったかもしれない。そこは余韻として残している。
江戸時代の製紙の取引の様子が良く描かれている。相当調査したらしい。綿密な調査があったから、生き生きとした小説になっているのだろう。
2018年02月07日
暗殺の年輪 藤沢周平著 文春文庫
表題作品は藤沢周平が直木賞を受賞した作品。上役の差し金で敵対する家老を暗殺せざるを得なくなった下級武士の苦悩をテーマにしている。主人公の父親も上司の指示で暗殺未遂を起し、妻女の働きで尾家断絶を免れたという過去を有する。
藤沢作品によくあるパターンで、その魁となる作品であったろう。多に作品の短編が掲載されているが、どれも良くあるパターンで、結末がすきっとしていないのがどの作品にも共通。この余韻がファンにはたまらないのであろう。
藤沢作品によくあるパターンで、その魁となる作品であったろう。多に作品の短編が掲載されているが、どれも良くあるパターンで、結末がすきっとしていないのがどの作品にも共通。この余韻がファンにはたまらないのであろう。
2018年02月07日
尖閣激突 マイク・メイデン著 角川文庫
尖閣諸島を中国は中国領土と主張している。日本は日米同盟に頼るほかなすすべが無い。もしも中国がアメリカおそるるに足らずと判断した場合は、実効支配に踏み切るかもしれない。そんな未来を予見させる軍事ミステリーである。アメリカをどのように引き込むかを画策する日本の政治家がいる。アメリカはドローン武力部隊を民間会社に依頼し、サイバー攻撃で中国軍を混乱させ、なんとか勝利する。
恐らく近未来戦争はドローンと、サイバー攻撃と、ミサイルが主力となり、地上戦の無い戦争になるのではないか、そのような未来図を創造させる小説である。日米安保の危うさを訴えている作品である。
恐らく近未来戦争はドローンと、サイバー攻撃と、ミサイルが主力となり、地上戦の無い戦争になるのではないか、そのような未来図を創造させる小説である。日米安保の危うさを訴えている作品である。
2018年02月07日
キャンバス サンティアーゴ・パハーレス著 ヴィレッジブックス
珍しくもスペインの作家の作品。
著名な作家が、自作を競売に掛けることを決断する。その席で自作に満足できない点を発見し、取り戻そうとするが一旦プラド美術館の手に渡った作品を、作家の手に戻すことが出来ない。そこで名画泥棒に依頼し、一時的に手元に戻し、その間は知人の贋作者に依頼した贋作を代わりにかけておくことにする。画家の息子は最初反対するが、そのうち親の意向に従うことに同意する。
しかし最後は思わぬ展開となる・・・・・・・。
ミステリーではないが、最後の落ちはミステリアスであるところが、気に入った。
著名な作家が、自作を競売に掛けることを決断する。その席で自作に満足できない点を発見し、取り戻そうとするが一旦プラド美術館の手に渡った作品を、作家の手に戻すことが出来ない。そこで名画泥棒に依頼し、一時的に手元に戻し、その間は知人の贋作者に依頼した贋作を代わりにかけておくことにする。画家の息子は最初反対するが、そのうち親の意向に従うことに同意する。
しかし最後は思わぬ展開となる・・・・・・・。
ミステリーではないが、最後の落ちはミステリアスであるところが、気に入った。
2018年02月01日
札幌交響楽団第606回定期演奏会
マックス・ポンマーさん指揮の、札響定期最後の演奏会。
キタラ 1月26日(金)
プログラムは
ラウダ・ヴァーラ作曲 鳥と管弦楽のための協奏曲「極北の歌」
モーツアルト作曲 ピアノ協奏曲第24番
メンデルスゾーン作曲 交響曲第3番「スコットランド」
ピアノは小菅優
1曲目は鳥の音響とオーケストラが奏でるという珍しい作品。フインランドの森を想起させる印象深い作品であった。
2曲目は小菅優のピアノが聴かせた。アンコールの無言歌は3曲目のメンデルスゾーンを意識したのであろう。
ピアノは力強く、一瞬これがモーツアルトかと耳を疑わせる音であった。ベートーヴェンを思わせる。
スコットランドは札響の音楽に会っていると思う。ボンマーさんの指揮は派手ではないが、的確にメンデルスゾーンを表現していると思う。
名曲シリーズでもう一度聞くことが出来るので、楽しみである。
キタラ 1月26日(金)
プログラムは
ラウダ・ヴァーラ作曲 鳥と管弦楽のための協奏曲「極北の歌」
モーツアルト作曲 ピアノ協奏曲第24番
メンデルスゾーン作曲 交響曲第3番「スコットランド」
ピアノは小菅優
1曲目は鳥の音響とオーケストラが奏でるという珍しい作品。フインランドの森を想起させる印象深い作品であった。
2曲目は小菅優のピアノが聴かせた。アンコールの無言歌は3曲目のメンデルスゾーンを意識したのであろう。
ピアノは力強く、一瞬これがモーツアルトかと耳を疑わせる音であった。ベートーヴェンを思わせる。
スコットランドは札響の音楽に会っていると思う。ボンマーさんの指揮は派手ではないが、的確にメンデルスゾーンを表現していると思う。
名曲シリーズでもう一度聞くことが出来るので、楽しみである。
2018年02月01日
ノーベルの遺志 リザ・マークルンド著 創元推理文庫
ノーベル賞の記念舞踏会の会場で、殺人事件が起きる。当初受賞者が標的と思われたが、実はノーベル賞の選考委員会の事務局長が標的の殺人事件だったことを女性新聞記者が見い出す。
女流作家だけに女性主人公に対する思い入れが激しい。家庭問題も事細かく描写されている。スエーデンでも女性の社会進出は難しい問題があるのだろう。幹細胞を巡るノーベル賞の受賞にはいろいろ異論があったようだ。これをひとことでいうと、創造論者と進化論者の争いといえるかもしれない。
ノーベルの生涯がちらちら出てくるが、私生活は幸せではなかったようだ。とくに女性関係では・・・・。一度ノーベルの伝記を読んでみようと思う。
女流作家だけに女性主人公に対する思い入れが激しい。家庭問題も事細かく描写されている。スエーデンでも女性の社会進出は難しい問題があるのだろう。幹細胞を巡るノーベル賞の受賞にはいろいろ異論があったようだ。これをひとことでいうと、創造論者と進化論者の争いといえるかもしれない。
ノーベルの生涯がちらちら出てくるが、私生活は幸せではなかったようだ。とくに女性関係では・・・・。一度ノーベルの伝記を読んでみようと思う。
2018年02月01日
名画狩り トマス・ホーヴィンク著 文春文庫゙
作者はメトロポリタン美術館の元館長。さすがに美術界について詳しい。
ベラスケスの名画「侯爵令嬢」の入札を巡る駆け引きを小説の基にしている。それにハーレクインロマンス並みの恋愛が絡んでいて、楽しませる。作者の処女作らしいが、なかなかの才能の持ち主である。35歳の若さでメトロポリタン美術館の館長になり、11年間の在職中にベラスケスのファンデパレーサを取得した、とあるから、入札で他の美術館を出し抜いて、成功したのであろう。
そんな経験を小説にまとめるなど、心憎い才能の持ち主である。
ベラスケスの名画「侯爵令嬢」の入札を巡る駆け引きを小説の基にしている。それにハーレクインロマンス並みの恋愛が絡んでいて、楽しませる。作者の処女作らしいが、なかなかの才能の持ち主である。35歳の若さでメトロポリタン美術館の館長になり、11年間の在職中にベラスケスのファンデパレーサを取得した、とあるから、入札で他の美術館を出し抜いて、成功したのであろう。
そんな経験を小説にまとめるなど、心憎い才能の持ち主である。