さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

ログインヘルプ


2023年08月31日

悪女は自殺しない ネレ・ノイハウス著 創元推理文庫

 ドイツのミステリー物。しかも女流作家の作品だから、珍しい。
 オリヴァー主席警部とピア警部のコンビのシリーズの1作目。
 若い女性がビルから落ちて死亡する事件が起きる。最初自殺と考えられたが、どうも殺されたらしい。同日上級検事が銃で自殺した。
 調べていくと両者につながりがあった。人身売買、麻薬、脅迫、暴力と次から次と若い女性を巡ってよからぬうわさが出るが真相がわからない。それを二人のコンビが見事に解決する。
 ドイツの警察制度が珍しいし、主人公の理詰めの考え方は米英の警察ミステリーと一味違うところが魅力。  


Posted by 北のフクロウ at 15:32Comments(0)読書

2023年08月29日

大聖堂 夜と朝と ケン・フォレット著 扶桑社ミステリー

 大聖堂は3部作であった。1部は12世紀初頭、2部は14世紀初め、そして本作は10世紀末となっていて、それぞれキングズブリッジの大聖堂建設が話の中心となっている。実は1ぶ、2ぶは読んだ記憶があるが3部は最近その存在を知った。大変人気にある本と見えて、図書館で予約をして、半年ほど経過して、3分冊をすべて読破できた。
 あいかわらずケン・フォレットの筆は歯切れがよく、読みだしたらあっという間に読み終えてしまう。
 今回の主役はラグナという女性。ノルマンディの貴族の娘がイングランドのシャーリング州太守と恋に落ち、結婚するが、異国の地で様々な嫌がらせを受ける。太守の異母弟の司教、兄を殺して太守となったもう一人の異母弟など悪役が際立っていて、見事である。しかし最後は司教は梅毒に侵され悲惨な晩年を迎えるし、太守の異母弟に至ってはラグナと政略的な結婚を果たすが、ラグナによって絞殺される。
 この点、ケン・フォレットの筆は容赦がない。読者は胸のすく思いをすることだろう。  


Posted by 北のフクロウ at 16:38Comments(0)読書

2023年08月29日

名探偵群像 ジオドー・マシスン著 創元推理文庫

 歴史上の有名人を名探偵して、犯人探しをする。アレキサンダー大王、ダ・ビンチ、リビングストン、クック船長、セルバンテス等々。
 発想が面白い。推理はありきたりだが、一応解決策にはなっている。
 エラリー・クイーンが絶賛している。  


Posted by 北のフクロウ at 16:20Comments(0)読書

2023年08月25日

xに対する逮捕状 フィリップ・マクドナルド著 創元推理文庫

 古い形の探偵小説であると思いながら読んでいたが、音が気を見るとやはり1938年の作品であることが分かり納得した。
 時代もそのころだから電話や地下鉄やタクシーはあるが、携帯やネtット、パソコンはない。ひたすら探偵の頭脳である。
 アメリカの劇作化がロンドンの喫茶店で隣の会話を盗み聞きしたところから始まり、殺人事件の解決に結びつく。そこに登場するのが探偵である。ちょっとした会話、推理のヒントは探偵小説の常とう手段であるが、古いタイプの探偵小説らしく、顕著である。多少のロマンスもあり、ハッピーエンドで終わる。作者はその後アメリカにわたりハリウッドの映画関係で活躍した、とある。  


Posted by 北のフクロウ at 09:20Comments(0)読書

2023年08月19日

泥棒は几帳面であるべし マシュー・ディックス著 創元推理文庫

 面白い泥棒である。留守を狙って定期的に泥棒に入るお得意を持っている。
 そのためのマーケティングとお得意先選定の厳正なルールを持っている。泥棒に入られた家は盗まれていることに気づかない。
 その厳正なルールを破らない事態が発生する。そこで主人と出会ってパニックになったり、ビックリパーティを計画している家庭の危機を回避することに奔走したり、別の強盗に狙われた家を身を挺して回避したり、お得意さんを大事にするポリシーを持っている。
 最後は身元がばれるが、命を救ったということで友達となる。その過程でロマンスも生まれ、泥棒家業から足を洗うことが示唆される。
 めでたしめでたしの結末である。  


Posted by 北のフクロウ at 11:02Comments(0)読書

2023年08月18日

平凡すぎて殺される クイーム・マクドネル著 創元推理文庫

 タイトルにひかれて図書館で借りた。
 内容は最悪。文章に品が無いし、ミステリーとしても出来が悪い。
 著者は現役のコメディアンだという。舞台では品のない言葉で、笑いを誘っていたのだろう。
役者は一読して面白くて、訳出することを出版社に提案したという。残念ながらその面白さは読者には伝わらない。
下品さだけが取り柄の駄作。  


Posted by 北のフクロウ at 08:29Comments(0)

2023年08月12日

ヨルガオ殺人事件 アンソニー・ホロヴィッツ著 創元推理文庫

 カササギ殺人事件の続編に相当する。作品の造りはカササギ殺人事件と同じく、二つの推理小説が同居する。一つで二つ楽しめるお得な推理小説ということだ。本文はホテルのオーナーの娘が失踪した事件の解決を求められた編集者スーザン・ライランド主人公の推理小説。もう一つは彼女が編集者として出版したアラン・コンウエイの3作目の探偵小説「愚行の代償」である。こちらはアティカス・ピュントが主人公である。ホテルオーナーの娘が失踪する前に、以前に起きた殺人事件の真犯人が「愚行の代償」を読んでわかったという謎の電話を残していたことから、スーザンの出番となった。殺人事件と失踪事件のつながりはどこにあるか、なかなか糸口がつかめないままに「愚行の代償」に入るために、よんでいてもやもやしたものが残る。推理の結末もあまり後味の良いものではない。二番煎じはやはり難しいようだ。  


Posted by 北のフクロウ at 09:29Comments(0)読書

2023年08月04日

指さす標識の事例 イーアン・ベアーズ著 創元推理文庫

 タイトルを見ても中身が推測できない典型的な小説。もっと良い署名がなかったものか。
 中身は一つの殺人事件を巡って4人のアプローチで真相に迫る。同じような状況が繰り返されるのでいささか飽きる。
 それで、3人目の著述を飛ばして、4人目を読んだ。あっけない真相。
 ただクロムウエルの時代のイギリスの風俗がよくわかる。
 当時の自然科学と宗教との関係も今から見ると進んでいるようであり、そうでないようでもある。ボイルの法則のボイルとか、哲学者のジョン・ロックたかが実名で出てくる。ジョン・ロックなど医者として出発したなど、自然科学史的にも面白い発見だ。
 ただ小説としては冗舌で面白くなかった。  


Posted by 北のフクロウ at 15:33Comments(0)読書