さぽろぐ

読書・コミック  |札幌市北区

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2017年02月16日

エルサレムから来た悪魔 アリアナ・フランクリン著 創元推理

 12世紀のケンブリッジはかくも田舎であったか。
  時に十字軍がエルサレムの巡礼者をイスラム教徒から守るために、中東に遠征した。
  キリスト教の教会の力が強く、それに対抗する王もさほど力が無かった。
  ケンブリッジで幼児の惨殺事件がおき、ユダヤ人が犯人とされる。
  その事態を解決するために、イングランド王は旧知のシチリア国王に調査員を依頼する。
  そこで、指名されたのが、ナポリの調査官と検視に優れた女医者(解剖等によって死因を判断できる医者)を派遣する。
  医学はイスラム諸国のほうが進んでおり、シチリア王国下にあるサレルノ大学で医師となり、検視医者のアデリアを派遣する。
  彼女の働きで、事件は見事に解決するが、逆に犯人側からは宗教裁判で、修道女から逆に訴えられる。
  このあたりが中世のイングランドの様子をうかがうことが出来て、面白い。
  恐らくエリス・ピータースノミステリー「修道士カドフェル」の生きていた時代に近いのではないか。カドフエルの場合はヘンリー1世死後の混乱したイングランドであり、アデリアの時代はヘンリー2世であった。
 この小説もアデリアを主人公にして、シリーズ化されているようである。  


Posted by 北のフクロウ at 18:45Comments(0)読書

2017年02月16日

ネメシスのささやき アン・ズルーティー著 小学館文庫

 アン・ズルーディのヘルメスシリーズの5作目。
 これまでの作品のうち、一番良かった。
 ギリシャには埋葬後4年目に掘り返し、改葬する風習があるという。
 芸術家は往々にして、死後名声が上がることがあるが、詩人は一度死んだ振りをして、再びこの世に出現するということを考えた。
 身代わりに豚を埋葬したのが、改葬してそれが明らかになったことから、大事件となった。
 そこで登場するのが、太った調査員、ヘルメスである。
 最終はヘルメスらしく、見事な解決策を講じるが、ミステリーとしては異色の作品であることには、変わりがない。
   


Posted by 北のフクロウ at 18:25Comments(0)読書