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2013年04月21日

リンカーン

アカデミー賞で12部門でノミネートされ、ディールイスが史上初の3度目の主演男優賞を受賞した作品ということで、注目を集めている作品である。正直言ってあまり面白くなかった。リンカーンというと子供時代に奴隷制度を廃止した大統領であって、それがために暗殺されたアメリカ大統領ということで、大変立派な人というイメージを植えつけられたいた。この映画では憲法修正第13条の賛否を巡ってのアメリカ議会下院議員に対する駆け引きが中心となっていて、アメリカ民主主義の内幕が描かれていて、アメリカ人にとっては非常に関心のあることであろうが、外国人にとってはその程度の民主主義かという失望の感は否めない。リンカーンは共和党初代の大統領であって、当時としてはリベラルの主張であったと思われる。いつの間にかリベラルは民主党で、保守は共和党というようになっているが、どこで入れ替わったのであろうか。
南北戦争での勝利がかならずしも奴隷解放にならなかったという点は歴史のあやであろう。当時は共和党の賛成のみでは3分の2の憲法改正に不足し、民主党の議員の賛成を得るためにいろいろな駆け引きがあったことが分かる。これは今もアメリカ議会の伝統であって、党の党議拘束にとらわれず、賛否を言えるのはアメリカ議会の進んでいる点であって、日本の議会も見習ったらよい。本来100%党の主張に賛成する議員などあるわけがないので、ある程度の自由度を認めた方が国会審議が面白くなるであろう。たとえばTPPなどまじめに審議を図ったならば、国論はどちらにかたよるかは分からない。それと同じことが奴隷制の賛否にはあったということであろう。もともとリンカーンは奴隷制度の全面的な廃止論者ではなかったということである。アメリカインデアンの自由化には反対論者であったという。したたかな政治家の側面が見られる。個人的にはディールイスのリンカーンは好きではない。声がリンカーンらしくない。(といってもリンカーンの声を聞いたわけではないが・・・・。)スピルバーグがリンカーンを描きたかった意図は良く分からないが、アメリカ人にとってリンカーンは特別な思いがあるのであろう。銃規制の法案が議会で通らなかったが、存外アメリカの民主主義は遅れているのかもしれない。


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Posted by 北のフクロウ at 21:47│Comments(0)映画
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