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読書・コミック  |札幌市北区

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2019年02月15日

千尋の闇 ロバート・ゴダール著 創元推理文庫

 前にゴダールの「千尋の闇」を読んだことがあると書いたが、本当かなと疑わしくなって、図書館で借りて読んだ。
 結果、別の本と間違っていたことがわかったので、訂正する。
 ゴダールの1作目に当たる力作で、ビクトリア女王時代のアスキス、L.ジョージ、チャーチルなどのイギリス政界の時代の出来事と現代を結んだ3代に渡る復讐事件である。一種の謎解きであるが、複雑な人間関係と歴史的事実を絡めて、読み応えのある作品である。
 ゴダールにはまり込みそうである。  


Posted by 北のフクロウ at 09:38Comments(0)読書

2019年02月15日

フェルメールの憂鬱 望月諒子著 光文社

 フェルメールは好きな画家の一人である。恐らく日本人の大半は好きな画家であろう。
 今まで、10数枚は本物を見ただろう。実在している作品は30数枚といわれているから、1/3は本物を見ていることになる。
 携帯の待ち画面も「青いターバンの少女」を入れている。「光の王国」のフェルメール展で、撮った写真を入れた。偽者に「光の王国」展を加えると全作品を見たことになる。
 この画家は20世紀になるまで、ほとんど知られていなかった。存命のときは絵は売れず、宿屋をやりながら、細々と絵を描いていた。しかもほとんどの絵が自宅のアトリエで描いたものだ。
 この本のなかで、詐欺師がフェルメールを表現した言葉がある。
「名画とは値段の高いことだ。・・・・フェルメールはしかけられたブランドだ。トレ・ビュルガーというフランスの画商がフェルメールを高く売り出した。彼は70点余りをフェルメール作品として売り出した。贋作が省かれて今は30点余りが真作と言われている。
 フェルメールの作品で安全確実というのは少ない。・・・・・
 「青いターバンの少女」は1881年に2ギルダー30セント、100ドル程度で取引された。・・・・この少女のちょっと開いた口元は魅力というよりだらしなさを感じるし、目に知性や意思は感じられない。頭の悪いメイドを着飾らせたみたって感じ。彼女には文化の香りがまったく無い。物語性も主張も無い。・・・・・それでも壁を飾る100ドルのインテリアが、いま市場にでれば1億5000万ドルは固い。」
 この小説では、メトロポリタン美術館からフェルメールの「少女」が盗まれ、日本の新興宗教の所有する美術館に売られるが、さらに詐欺師の手によって取り戻されることをテーマにしている。これにベルギーの教会にあったブリューゲルの作品の盗難がからんで、複雑な様相を呈する。ここら辺が望月さんの真骨頂で、前作の「大絵画展」の流れである。
 画廊と美術館の関係など、興味深い。

   


Posted by 北のフクロウ at 09:27Comments(0)読書