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2022年10月28日

スカイ・マスターズ ディル・ブラウン著 早川書房

 ディル・ブラウンの小説はいくつか読んだが、いずれも著者の経歴を反映して、航空機オタクっぽい作品ばかり。専門用語が多く、読みずらいことおびただしい。著者は元空軍大尉。戦闘機に航法士として乗り組んでいた経験が作品に反映されている。
 舞台はフィリピン。南沙諸島をめぐり、中国がフィリピンの共産党系副大統領と組んで、フィリピンを支配下に置こうとする。当時フィリピンは独立の機運が高く米軍のクラーク基地を返還した時期である。アメリカの支配力が低下したことに乗じて、中国が南沙諸島に進出した時期に相当する。
 この小説の先見性はこれが発表された当時1991年にはまで中国の南沙諸島進出はさほど大きな問題ではなかった。
 もし日本がアメリカ軍の基地返還を求め、独立の軍事力を強化した場合、この小説のフィリピンと同様の事態を招くことが予想される。
 アメリカがその時日本をどの程度支援するか、極めて疑問である。
 今の中国の軍事力は1991年当時よりも数倍強化されており、いったん台湾有事の際にアメリカがどの程度、中国に対抗するかわからない。
 日本の立ち位置は微妙であり、台湾有事は他人事では済まないであろう。


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Posted by 北のフクロウ at 08:47│Comments(0)読書
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