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2016年03月07日

リトルジョンの静かな一日 ハワード・オーエン著 早川書房

 ミステリーでもないこの小説を図書館で選んだのには、帯広告の「胸を打つ、心にしみるおじいさんの意外な人生」というキャッチフレーズに引かれたからだ。しかし読んでみると意外な結末が控えていて、読ませる作品になっていた。
 アメリカ南部ヴァージニア州のイチゴ農民の男の一生を思い出話で綴ったものだが、「マディソン郡の橋」に匹敵する「心にしみるような人間賛歌」というのはややほめすぎではないか。
 南部農家の悲惨な生活、メキシコ銀や黒人に対する差別が良く描かれている。旧きアメリカ人の心情が良く分かり、今大統領選挙を戦っている共和党候補トランプ氏の発言に共通する世界観が旧アメリカ人にはあることが、分かる。
 救いは第2次世界大戦でヨーロッパに行ったときに見たナチスドイツのユダヤ人に対する虐待をみて、帰米後黒人、メキシコ人に対する態度を改める発言をする所など、アメリカ人に受けるのかもしれない。
 娘の結婚、離婚、新しいロマンスや、孫のバスケット試合やその後の交通事故などは余分なエピソードであり、冗漫な感のある物語では割愛してもいいのではないか。
 普段このようなテンポの作品を読まないので、どうしても違和感が拭えない。


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Posted by 北のフクロウ at 09:08│Comments(0)読書
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リトルジョンの静かな一日 ハワード・オーエン著 早川書房
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