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2016年03月02日

ピラミッド 封印された数列 W.ディートリッヒ著 文芸春秋

 題名からすると学術的な、難しそうな本に思えるが、中身はインディ・ジョーンズ風の冒険モノである。
 そういう意味では、原題の「ナポレオンのピラミッド」のほうが良かったのではと思う。
 ナポレオンのエジプト遠征時代のピラミッドを舞台にした謎解きモノでもある。
 ピラミッドがいろいろな数字を秘めていることは知られているが、著者のあとがきによるとその解釈は後代のものである。
 ピボナッチ数列、黄金比、円周率などの数学的な数字が盛り込まれていることが、邦訳のタイトルとなっている。
 ピタゴラスの数列がピラミッド入り口のキーワードとなっているが、これは著者の創作上の数列であって、ピラミッドの謎とは関係がない。
 むしろエジプトの宗教とフリーメーソンとの関係、モーゼの40年間に渡る砂漠生活をどのように乗り切ったかの謎に迫る謎がエジプトのトト書によるのではないかという、解釈はこのシリーズの次作につながるテーマであろう。
 モンジュという学者と主人公との議論に次のような記述がある。
 「古代エジプト人にとって、宗教は彼らの科学であり、魔術は理解できないことを操ろうとする試みだった。人類はその後、あらゆる種族や国家が独自の神々を持っていた過去から、多くの国家が一つの神を崇拝する時代へと進歩した。それでもなおたくさんの信仰があり、それぞれがほかの進行を異端呼ばわりしている。いまや我々には科学があり、それは信仰ではなく、論拠と実験に基づき、単一の国家や法王や国王ではなく普遍的法則に中心を置いている。人が何語をしゃべろうが問題ではない。科学は同じだ。だから科学が勝利を収めるであろうし、教会は本能的にガリレオを恐れたのだ。」
「なぜ人々はいまだに神を信じているのだろう?科学は賢いが冷たく、説明的だが最大の疑問には沈黙している。どうしてかには応えるが、なぜかには答えないので、人々は切実に知りたい気持ちのまま取り残される。」そこに入り込むのが宗教だというのだ。
 


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Posted by 北のフクロウ at 11:05│Comments(0)読書
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