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2013年10月24日

幻夜 東野圭吾著 集英社

 東野圭吾といえば、売れっ子のミステリー作家だが、この「幻夜」という作品は何を意図したものか良く分からない。犯罪小説であり、なり済ましの犯人が、なり済ましを隠し通すために犯罪を繰り返す。そのためには利用できるものをすべて利用する。その結果、真相に迫る警官も恋人も生かしてはおかない。読者はその行為に同情も共感もわかない。果たして主人公は何者か、なんでなり済ましのままでいるのか、良く分からないうちに、小説は終わる。
 最近の犯罪小説は、その殺人の巧妙さをてらうところがある。犯罪者はそれを模倣して犯罪を起こす。小説と現実の境界が曖昧になってきたところがある。簡単に人を殺し、しかもそれを隠すためにバラバラに切断して、隠蔽する。そのようなヒントを犯罪小説は安易に与えてはいないか?それを防止するためには、いかに巧妙に犯罪を犯しても最後は露見するものだという結末にしなければいけないのではないか?そんな道徳的なことを言っていては犯罪小説は成り立たないことは百も承知であるが、昨今の犯罪を見ると、いかにも安易に殺人が行われ、罪の意識が希薄である。それにはこの種のミステリー小説の影響があるのではないかと危惧するものである。


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Posted by 北のフクロウ at 09:46│Comments(0)読書
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幻夜 東野圭吾著 集英社
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