2024年11月16日
沖縄と国家 辺見庸 目取真俊著
二人の対談をまとめたもの。
ともに芥川賞受賞作家。辺見庸は元共同通信の記者。目取真は高校教員から反基地運動員。
沖縄の現実に即していかに日本政府のやり方が沖縄県民の意思を無視して行われているかを怒りを持って語っている。
アメリカにこびへつらわなければ政権を維持できない自民党の在り方が問われるべきだろう。
トタンプ大統領が復帰して沖縄の基地の経済負担はますます重くなることが予想される。これを機会に米軍基地を撤廃し、自前の軍事力を持つ時を迎えているのではないかを真剣に考えるべきである。
ともに芥川賞受賞作家。辺見庸は元共同通信の記者。目取真は高校教員から反基地運動員。
沖縄の現実に即していかに日本政府のやり方が沖縄県民の意思を無視して行われているかを怒りを持って語っている。
アメリカにこびへつらわなければ政権を維持できない自民党の在り方が問われるべきだろう。
トタンプ大統領が復帰して沖縄の基地の経済負担はますます重くなることが予想される。これを機会に米軍基地を撤廃し、自前の軍事力を持つ時を迎えているのではないかを真剣に考えるべきである。
2024年11月08日
日米関係の中の沖縄 我部政明著 三十一書房
著作は我部政明さんの研究成果のまとめであるが、アメリカ公文書館の文献検索で得られた研究成果の記述であってよんで面白くないので早々に返却する。
ただ面白かったのは序文に書かれている日本の降伏文書に係る話で、よく知られたミズリー号での調印式の描写とそこで取り交わされた日本側の降伏文書には空行があり、それ以下の諸族が線を引き手書きされていることを明らかにした。カナダの代表がかく乱を1行飛ばしたためで、それ以降、線を引いて手書きになったものである。これほど降伏文書は軽いものか、という感想を持った。
もう一つ重光代表への天皇陛下の信任状に偽物が流布していたミステリーも記述されていた。御璽印鑑のところの罫線掛けされた信任状があるのである。これは面白いと思った。
ただ面白かったのは序文に書かれている日本の降伏文書に係る話で、よく知られたミズリー号での調印式の描写とそこで取り交わされた日本側の降伏文書には空行があり、それ以下の諸族が線を引き手書きされていることを明らかにした。カナダの代表がかく乱を1行飛ばしたためで、それ以降、線を引いて手書きになったものである。これほど降伏文書は軽いものか、という感想を持った。
もう一つ重光代表への天皇陛下の信任状に偽物が流布していたミステリーも記述されていた。御璽印鑑のところの罫線掛けされた信任状があるのである。これは面白いと思った。
2024年11月08日
日米安保を考え直す 我部政明著 講談社現代文庫
これも「運命の人」の引用文献に掲載されていた引用文献の一つ。秘密文書を米国公文書館で発見した学者その人である。
日米安保交渉には外務省機密漏洩事件の秘密文書以外にも密約があったことが分かる。
そこまで国民を積んぼ桟敷に置いて交渉をしなければならないほど、後ろめたい日米安保交渉であったことが分かる。
ここで明らかにされたのはいかに日本の立場が弱く、米国の言いなりになっているかということである。
ここでは2002年までの日米交渉の結果しか書かれていないが、その後もアメリカの言いなりであることが分かる。
これでは沖縄県人はたまらないであろう。
独立国であるならば、もっと交渉の仕方があったのではないか。
憲法改正でもして自国の軍隊で、自国を守るという、当たり前の国家になるべきであろう。このままではアメリカの属州と何ら変わらない。
日米安保交渉には外務省機密漏洩事件の秘密文書以外にも密約があったことが分かる。
そこまで国民を積んぼ桟敷に置いて交渉をしなければならないほど、後ろめたい日米安保交渉であったことが分かる。
ここで明らかにされたのはいかに日本の立場が弱く、米国の言いなりになっているかということである。
ここでは2002年までの日米交渉の結果しか書かれていないが、その後もアメリカの言いなりであることが分かる。
これでは沖縄県人はたまらないであろう。
独立国であるならば、もっと交渉の仕方があったのではないか。
憲法改正でもして自国の軍隊で、自国を守るという、当たり前の国家になるべきであろう。このままではアメリカの属州と何ら変わらない。
2024年11月08日
密約 外務省機密漏洩事件 沢地久枝著
山崎豊子の「運命の人」を読んだら、外務省機密漏洩事件の真相は何かを知りたくなった。
引用文献に沢地久枝の「密約」なるノンフィクションがあることを知り、図書館で取り寄せて読んでみた。
裁判の様子が生々しく描かれている。裁判の中では録音はできないから一言一言が正確かどうかはわからないが、かなり真相に近いのではないかと思われる。
ここでわかるのは検察側が事件を男女の問題に歪曲化し、肝心の機密文書の問題から遠ざけようと腐心していることである。
また外務省事務官の蓮見喜久子の女性としてのしたたかさである。とくに判決後の女性週刊誌などへの告白記事にしたたかさがうかがえる。
沢地さんは蓮見と面談を試みようとしたがかなわなかったようだ。それが一層女性として不信感を募らせたようだ
さらに強調しているのは最も悪いのは米国と密約を取り交わした政治家、外務省の役人であるべきなのに、佐藤首相以下誰も罪に問われていない。
横路議員は主財源を明らかにした責任があるが、これも何ら罪に問われていない。
西山太吉氏と蓮見喜久子氏の二人だけが不義密通を暴かれた犯罪人のように罪に問われたのは理不尽な裁判だったといわざるを得ない。
沢地久枝さんの見解に大いに共感するものである。
引用文献に沢地久枝の「密約」なるノンフィクションがあることを知り、図書館で取り寄せて読んでみた。
裁判の様子が生々しく描かれている。裁判の中では録音はできないから一言一言が正確かどうかはわからないが、かなり真相に近いのではないかと思われる。
ここでわかるのは検察側が事件を男女の問題に歪曲化し、肝心の機密文書の問題から遠ざけようと腐心していることである。
また外務省事務官の蓮見喜久子の女性としてのしたたかさである。とくに判決後の女性週刊誌などへの告白記事にしたたかさがうかがえる。
沢地さんは蓮見と面談を試みようとしたがかなわなかったようだ。それが一層女性として不信感を募らせたようだ
さらに強調しているのは最も悪いのは米国と密約を取り交わした政治家、外務省の役人であるべきなのに、佐藤首相以下誰も罪に問われていない。
横路議員は主財源を明らかにした責任があるが、これも何ら罪に問われていない。
西山太吉氏と蓮見喜久子氏の二人だけが不義密通を暴かれた犯罪人のように罪に問われたのは理不尽な裁判だったといわざるを得ない。
沢地久枝さんの見解に大いに共感するものである。
2024年11月04日
サヴァナの王国 ジョージ・ドーズ・グリーン著 新潮文庫
サヴァナはアメリカ南部ジョージア州の田舎町。有力者がかって奴隷商売で町の有力者になった歴史がある。そこで起きた殺人事件。街の歴史に関係があるようだ。奴隷の黒人が南北戦争後、自由を得て一時自治を持った。それを王国という。その跡地が発見され、それを巡って利権が生じ殺人事件が起きたものだ。犯人は明らかにされていて、その解決も有力者の子孫によってなされる。この作品がCWAゴールド・ダガー賞最優秀長編賞受賞作品だというから、かって読んだがさほどすぐれた作品とは思えなかった。アメリカ南部の暗部の理解が不足しているためかもしれない。
2024年11月04日
シャイロックの子供たち 池井戸潤著 文春文庫
池井戸潤の銀行物にミステリーが加わった。
東京第一銀行の東京大田区にある長原支店の銀行員が主人公。
最初は銀行マンの諸相を描いていて、それなりに面白いが、描きつくした感は否めない。そこに100万円の不調合事件を機にミステリーの様相を帯びる。優秀営業マンが不正を働き、それに気づいた不出来な銀行マンが突然失踪する。生きているかどうか物語の最後まで不明である。
続編が予想される結末だ。
池井戸潤の銀行物には正義感があるという。確かに銀行マンを辞めて小説家になった背景には銀行の在り方に義憤を感じた正義感があったかもしれない。サラリーマン社会の不条理に対する反発があるかもしれない。それに共感を覚えるサラリーマンが支持している作家だといえる。
東京第一銀行の東京大田区にある長原支店の銀行員が主人公。
最初は銀行マンの諸相を描いていて、それなりに面白いが、描きつくした感は否めない。そこに100万円の不調合事件を機にミステリーの様相を帯びる。優秀営業マンが不正を働き、それに気づいた不出来な銀行マンが突然失踪する。生きているかどうか物語の最後まで不明である。
続編が予想される結末だ。
池井戸潤の銀行物には正義感があるという。確かに銀行マンを辞めて小説家になった背景には銀行の在り方に義憤を感じた正義感があったかもしれない。サラリーマン社会の不条理に対する反発があるかもしれない。それに共感を覚えるサラリーマンが支持している作家だといえる。
2024年11月01日
死はすぐそばに アンソニー・ホロヴィッツ緒 創元推理文庫
ホーソーン、ホロヴィッツコンビの推理だが、コンビを組む前の事件でホロヴィッツの役割をジョン・ダドリーという元警官が担っている。
事件は狭い敷地内に起きた殺人事件で、犯人と思われた人物も亡くなっていたから、解決すみとされていた。
しかし真相は別にあったというひねった造りの推理小説。
事件は狭い敷地内に起きた殺人事件で、犯人と思われた人物も亡くなっていたから、解決すみとされていた。
しかし真相は別にあったというひねった造りの推理小説。
2024年11月01日
運命の人 山崎豊子著 文春文庫
沖縄返還時、日米の外交で補償金を巡る機密文書漏洩事件を扱ったフィクションである。
事件は毎日新聞記者の西山太吉さんが日米交渉時の機密文書を外務省に女性事務官と通じて入手し、それを社会党の横路議員が予算委員会の場で、オープンにし、漏洩が発覚した者であり、女性は1審で有罪、西山記者は1審は無罪であったが、最高裁まで争われ、有罪判決となった。
その後、木陸奥文書の存在がアメリカの国立公文書館に存在したことを、日本の学者が発見し、日本外務省の文書が存在しないという答弁が嘘であることが明らかになった。当時情報入手にあたり、事務官と情を通じたということが週刊誌的に採り上げられ、センセーションを巻き起こした。これを山崎豊子は小説にしたが仮名を用いても当時の実在する人物が容易に特定され、真実かフィクションかが問われた。
西島記者は自分の描かれ方が事実ではないと大いに不満を持っていたという。
小説の冒頭にも、「この作品は事実を取材し、小説的に構築したフィクションである」と断り書きが書かれており、小説であることは明らかだが、読む人にとっては事実とフィクションの境界が明らかでなく、問題を引き起こしてもやむを得ないところがある。
テレビドラマにもなったそうだが、あまり評判は良くなかったようだ。
新聞記者の取材の在り方、政府の機密の範囲、国会議員の機密の扱い方等いろいろな問題点をはらんだ小説である。
不義密通は別問題として、一番悪いのは国会で情報源を明らかにした横路議員であり、取材に熱心な西山記者は悪くないように思うがいかがなものか?
事件は毎日新聞記者の西山太吉さんが日米交渉時の機密文書を外務省に女性事務官と通じて入手し、それを社会党の横路議員が予算委員会の場で、オープンにし、漏洩が発覚した者であり、女性は1審で有罪、西山記者は1審は無罪であったが、最高裁まで争われ、有罪判決となった。
その後、木陸奥文書の存在がアメリカの国立公文書館に存在したことを、日本の学者が発見し、日本外務省の文書が存在しないという答弁が嘘であることが明らかになった。当時情報入手にあたり、事務官と情を通じたということが週刊誌的に採り上げられ、センセーションを巻き起こした。これを山崎豊子は小説にしたが仮名を用いても当時の実在する人物が容易に特定され、真実かフィクションかが問われた。
西島記者は自分の描かれ方が事実ではないと大いに不満を持っていたという。
小説の冒頭にも、「この作品は事実を取材し、小説的に構築したフィクションである」と断り書きが書かれており、小説であることは明らかだが、読む人にとっては事実とフィクションの境界が明らかでなく、問題を引き起こしてもやむを得ないところがある。
テレビドラマにもなったそうだが、あまり評判は良くなかったようだ。
新聞記者の取材の在り方、政府の機密の範囲、国会議員の機密の扱い方等いろいろな問題点をはらんだ小説である。
不義密通は別問題として、一番悪いのは国会で情報源を明らかにした横路議員であり、取材に熱心な西山記者は悪くないように思うがいかがなものか?
2024年10月04日
カッティング・エッジ ジェフリー・ディーヴァー著 文春文庫
リンカーン・ライムシリーズの第14作目。脊髄損傷で右手の一部しか動かせない元科学捜査官。このシリーズの特徴は犯人はわかっているがライムとの虚々実々の駆け引きの面白さと、最後のどんでん返しにある。
今回も犯人と思われる人物が二人いて、一人はライムの協力者として捜査に協力する。しかも損犯人も実は・・・・・。と最後まで息が抜けない。
ダイヤモンド業界が舞台で、業界の裏事情がよくわかる。
黒幕が明らかにされて、このシリーズはまだまだ続く。
今回も犯人と思われる人物が二人いて、一人はライムの協力者として捜査に協力する。しかも損犯人も実は・・・・・。と最後まで息が抜けない。
ダイヤモンド業界が舞台で、業界の裏事情がよくわかる。
黒幕が明らかにされて、このシリーズはまだまだ続く。
2024年10月04日
脳科学捜査官 イノセント・ブルー 真田夏希 鳴神響一著 角川文庫
真田夏樹シリーズの第2作である。
今回の犯人もSNSを使って、殺人予告をしてくる。心理捜査官真田夏樹の出番である。
犯人は50台。学生時代にイベントやをやっていてが、サラリーマンとなって、不景気でリストラされ、昔の仲間を頼ったが、冷たくされ、次々殺す。最後は真田を心中の相棒にすべく、誘拐する。元地雷探知犬のアリシアが素晴らしい活躍をする。仲間の警察官と、警察犬のチームワークでシリーズは次作も期待できる。
今回の犯人もSNSを使って、殺人予告をしてくる。心理捜査官真田夏樹の出番である。
犯人は50台。学生時代にイベントやをやっていてが、サラリーマンとなって、不景気でリストラされ、昔の仲間を頼ったが、冷たくされ、次々殺す。最後は真田を心中の相棒にすべく、誘拐する。元地雷探知犬のアリシアが素晴らしい活躍をする。仲間の警察官と、警察犬のチームワークでシリーズは次作も期待できる。
2024年10月02日
脳科学捜査官 真田夏希 鳴神響一著 角川文庫
新しい警察もの
主人公は女性で精神科医、心理学者、神経科学博士で神奈川県警の科学捜査研究所に勤めている。精神科医のほうは患者が自殺したので転身した。現場の事件はこれが初めてで、爆弾を仕掛けたというメールで県警を揺さぶる。犯人像を特定し予告爆発を予防することに翻弄される。主人公の役割は犯人のプロファイリングだが、材料がない。そこで犯人とのホットラインを作ることを思いつく。犯人とのゲームが始まる。
爆弾検知犬の助けを借りながら、犯人を追い詰めるが、犯人は逮捕を恐れて自殺する。
心理学の知見を入れた面白い警察小説だ。
主人公は女性で精神科医、心理学者、神経科学博士で神奈川県警の科学捜査研究所に勤めている。精神科医のほうは患者が自殺したので転身した。現場の事件はこれが初めてで、爆弾を仕掛けたというメールで県警を揺さぶる。犯人像を特定し予告爆発を予防することに翻弄される。主人公の役割は犯人のプロファイリングだが、材料がない。そこで犯人とのホットラインを作ることを思いつく。犯人とのゲームが始まる。
爆弾検知犬の助けを借りながら、犯人を追い詰めるが、犯人は逮捕を恐れて自殺する。
心理学の知見を入れた面白い警察小説だ。
2024年09月27日
ダブルエージェント明智光秀 波多野聖著 幻冬舎文庫
波多野聖が経営学的視点から見て織田信長や明智光秀の人物像を見直した。
明智光秀は足利将軍足利義昭と織田信長の両者に仕え、織田信長のスパイとして、将軍の動向を知らせていた。彼の優れた点はヒト、モノ、カネを巧みな情報戦で他の織田の家臣に優れていたという。織田信長を暗殺したのは織田信長のいう天下布武の行く末は、戦国時代の延長であるという予見、天皇家をないがしろにした織田独裁に対する反発、織田を討ち、みずからは滅びることによって、次世代に未来を託すという考え、を作者の歴史観として描いている。
歴史家は明智光秀の長曾我部に対する対応が織田信長に裏切られたことに対する反発が本能寺の変につながったといっている。
まことしやかに言われている徳川家康の供応の席での明智光秀の対応が悪く織田信長の不興を買ったことに対する反発という説をとらない。
もしも織田信長が生きていたならば日本の歴史はどうなったかはミステリーであるが、世界への窓口は早く開いたかもしれない。
明智光秀は足利将軍足利義昭と織田信長の両者に仕え、織田信長のスパイとして、将軍の動向を知らせていた。彼の優れた点はヒト、モノ、カネを巧みな情報戦で他の織田の家臣に優れていたという。織田信長を暗殺したのは織田信長のいう天下布武の行く末は、戦国時代の延長であるという予見、天皇家をないがしろにした織田独裁に対する反発、織田を討ち、みずからは滅びることによって、次世代に未来を託すという考え、を作者の歴史観として描いている。
歴史家は明智光秀の長曾我部に対する対応が織田信長に裏切られたことに対する反発が本能寺の変につながったといっている。
まことしやかに言われている徳川家康の供応の席での明智光秀の対応が悪く織田信長の不興を買ったことに対する反発という説をとらない。
もしも織田信長が生きていたならば日本の歴史はどうなったかはミステリーであるが、世界への窓口は早く開いたかもしれない。
2024年09月23日
メガバンク 総務部・二瓶正平 宣戦布告 波多野聖著 幻冬舎文庫
波多野聖メガバンクシリーズの1作目である。
二瓶正平というキャラクターがユニーク。関西の私立大学出身で、名古屋の銀行に就職したのだが、銀行合併のあおりを食って、メガバンク東京帝都EFG銀行に併合され、絶滅危惧種といわれる肩身の狭い思いをしている銀行マン。これは東海銀行が三和銀行と合併し、さらに東京三菱銀行と合併し、三菱UFJ銀行となった出来事を想起させる。金融危機に陥った際の金融庁の国策が背景にある。
著者は投資フアンドのトレーダーの経験を生かして、小説家になったという兵歴を生かした経済小説のシリーズを書いていて、メガバンクシリーズは第2作から読みだした。1作目に登場する闇の組織はまだ明らかになっていないが、金融庁長官の五条健司が悪者ぶりを発揮している。
メガバンクの東京帝都EFG銀行が帝都銀行の名前を復活させたいがために、長期国債を金融庁の言われるままに引き受けるが、大赤字で銀行に倒産の危機に陥る。アメリカの投資会社の策謀が絡み、さらに危機となる。それを専務の相場師と、主人公の二瓶正平が活躍して、銀行の窮地を脱するという物語。
二瓶正平というキャラクターがユニーク。関西の私立大学出身で、名古屋の銀行に就職したのだが、銀行合併のあおりを食って、メガバンク東京帝都EFG銀行に併合され、絶滅危惧種といわれる肩身の狭い思いをしている銀行マン。これは東海銀行が三和銀行と合併し、さらに東京三菱銀行と合併し、三菱UFJ銀行となった出来事を想起させる。金融危機に陥った際の金融庁の国策が背景にある。
著者は投資フアンドのトレーダーの経験を生かして、小説家になったという兵歴を生かした経済小説のシリーズを書いていて、メガバンクシリーズは第2作から読みだした。1作目に登場する闇の組織はまだ明らかになっていないが、金融庁長官の五条健司が悪者ぶりを発揮している。
メガバンクの東京帝都EFG銀行が帝都銀行の名前を復活させたいがために、長期国債を金融庁の言われるままに引き受けるが、大赤字で銀行に倒産の危機に陥る。アメリカの投資会社の策謀が絡み、さらに危機となる。それを専務の相場師と、主人公の二瓶正平が活躍して、銀行の窮地を脱するという物語。
2024年09月19日
メガバンク 常務・二瓶正平 全面降伏 波多野聖著 幻冬舎文庫
メガバンクシリーズの最新作。令和3年の出版で、コロナの時代。二瓶正平は前作の鉱石から常務に出世している。
闇の組織HoD(ハド)の陰謀が明らかになる。コロナの流行をもたらし、そのどさくさに紛れて日本の金融システムの乗っ取りを図る。
メガバンクのシステムに入り込み、銀行口座をハッキングし、政界、官僚の銀行口座を抑えて脅しをかける。
日銀が大量に買ったETFをある条件を満たしたら株に転換できる仕組みを政府に迫る。政府もETFの出口対策として有効と考え、それに乗る。
日本株を買い占めることによって、日本の金融を牛耳ろうという陰謀である。元頭取らは必死に対抗するが、資金が足りない。そこでコンサルが仕組んだハッカー対抗策が効果を出して、防ぐことができた。
HoDの首謀者は生き延び次の策略を考え出す。テロリストも逃亡したので、これも脅威となる。これは次回以降のお楽しみだ。
銀行が手掛けるネットワーク事業として、京都西陣の技術を中東で展開する試みが緒に就いた。これはコロナで傷んだ中小企業にとって希望の持てるプロジュクトだ。この成果も次回以降にになるところだ。
闇の組織HoD(ハド)の陰謀が明らかになる。コロナの流行をもたらし、そのどさくさに紛れて日本の金融システムの乗っ取りを図る。
メガバンクのシステムに入り込み、銀行口座をハッキングし、政界、官僚の銀行口座を抑えて脅しをかける。
日銀が大量に買ったETFをある条件を満たしたら株に転換できる仕組みを政府に迫る。政府もETFの出口対策として有効と考え、それに乗る。
日本株を買い占めることによって、日本の金融を牛耳ろうという陰謀である。元頭取らは必死に対抗するが、資金が足りない。そこでコンサルが仕組んだハッカー対抗策が効果を出して、防ぐことができた。
HoDの首謀者は生き延び次の策略を考え出す。テロリストも逃亡したので、これも脅威となる。これは次回以降のお楽しみだ。
銀行が手掛けるネットワーク事業として、京都西陣の技術を中東で展開する試みが緒に就いた。これはコロナで傷んだ中小企業にとって希望の持てるプロジュクトだ。この成果も次回以降にになるところだ。
2024年09月19日
かばん屋の相続 池井戸潤著 埼玉福祉会
埼玉福祉会が弱視者のために限定700部出版したものを借りた。活字が大きく読みやすい。
中身は池井戸潤の銀行時代の体験をもとに書かれた短編集。銀行の中と中小企業との向き合い方など、作者の心情が出ている。
彼がなぜ銀行を辞めて作家になったのかが興味がある。
中身は池井戸潤の銀行時代の体験をもとに書かれた短編集。銀行の中と中小企業との向き合い方など、作者の心情が出ている。
彼がなぜ銀行を辞めて作家になったのかが興味がある。
2024年09月14日
最後のトリック 深水黎一著 河出文庫
創作に苦しんでいる推理作家のもとに、「読者が犯人」という究極のミステリーアイデアを2億円で売るという手紙が見も知らぬ男からくる。
その経緯を小説にして発表するが、その男は麻薬の売人で、殺人犯であることが分かる。殺人犯は死亡するが、殺人犯が犯人であるというトリックは本物であったか?小説の中に覚書という私小説が書かれていて、重層な構造になっているが、推理小説らしい波乱はない。超能力の種明かしなど、盛り込まれたエピソードのほうが面白い。
その経緯を小説にして発表するが、その男は麻薬の売人で、殺人犯であることが分かる。殺人犯は死亡するが、殺人犯が犯人であるというトリックは本物であったか?小説の中に覚書という私小説が書かれていて、重層な構造になっているが、推理小説らしい波乱はない。超能力の種明かしなど、盛り込まれたエピソードのほうが面白い。
2024年09月09日
メガバンク 総務部長・二瓶正平 波多野聖著 幻冬舎文庫
著者の経歴がすごい。一橋大学法学部卒、農林中央金庫、野村投資顧問、クレディ・スミス投資顧問、日興アセットマネジメントなどでファンドマネージャーとして活躍、小説家に転じた。したがって相場の世界についての記述は迫力がある。
シリーズの2作目で、メガバンクの総務部長が主人公。副頭取の浮気が暴露されそうになる事件が発生し、もみ消しに走るところが発端。
そこには地方銀行の合併によるSRB、メガバンクによるSRBのTOB,国際ファンドによるメガバンクのTOBなど国際金融の仕組みが明らかになるところが、著者の面目躍如となるところ。中国ファンドまで登場して、面白い展開となる。そこに元バンカーの相場師が出てきて正義の味方となる。次作が楽しみである。
シリーズの2作目で、メガバンクの総務部長が主人公。副頭取の浮気が暴露されそうになる事件が発生し、もみ消しに走るところが発端。
そこには地方銀行の合併によるSRB、メガバンクによるSRBのTOB,国際ファンドによるメガバンクのTOBなど国際金融の仕組みが明らかになるところが、著者の面目躍如となるところ。中国ファンドまで登場して、面白い展開となる。そこに元バンカーの相場師が出てきて正義の味方となる。次作が楽しみである。
2024年09月06日
クレオパトラの夢 恩田陸著 双葉文庫
クレオパトラという謎を巡るミステリーである。舞台は函館市、それをあえてH市という。五稜郭をG稜郭、見え見えだがあえてHとしたのは、忌まわしいウイルスとの結びつきを嫌ったためか。電車で車内販売の駅弁を買って食べる、という表現があるが、おかしい。函館~渡島当別間は電車ではなく、気動車(ディーゼル車)である。生物兵器の研究を函館で行っていたというのはフィクションであろうが、函館の大火を証拠隠滅のため、軍が仕組んだというのは作者の創造であろう。ミステリー作家であるならば史実の掘り下げをそれらしくやって、作品にしてほしい。
主人公が女言葉を使うのは違和感があるジェンダー問題を絡ませるのは女流作家ならではか。同じ傾向の作品を書かないといいている作家にしてはシリーズものにしているのは、よほど主人公に思い入れがあるのか。映画になって函館の風景がふんだんに出てくると面白いが、ウイルスと結びつくとイメージはどんなものか?
主人公が女言葉を使うのは違和感があるジェンダー問題を絡ませるのは女流作家ならではか。同じ傾向の作品を書かないといいている作家にしてはシリーズものにしているのは、よほど主人公に思い入れがあるのか。映画になって函館の風景がふんだんに出てくると面白いが、ウイルスと結びつくとイメージはどんなものか?
2024年09月05日
ハヤブサ消防団 池井戸潤著 集英社
池井戸潤といえば銀行物、下請け中小企業物というイメージだが、田舎を舞台にミステリーに手を出した。
新進のミステリー作家が田舎の生活にほれ込んで移住する。そこでハヤブサ消防団に入団する羽目になり、そこで巻き起こる殺人事件、放火事件の真相究明を行う。新興宗教が絡んで流行作家のマーケット開拓には最新の事件を題材にすることは不可欠のようだ。新興宗教はオーム真理教や、統一教会を想起するし、太陽光発電の会社など時流を織り込んで、読ませる。
新進のミステリー作家が田舎の生活にほれ込んで移住する。そこでハヤブサ消防団に入団する羽目になり、そこで巻き起こる殺人事件、放火事件の真相究明を行う。新興宗教が絡んで流行作家のマーケット開拓には最新の事件を題材にすることは不可欠のようだ。新興宗教はオーム真理教や、統一教会を想起するし、太陽光発電の会社など時流を織り込んで、読ませる。
2024年09月03日
青い虚空 ジェフリー・ディヴァー著 文春文庫
ジェフリー・ディーヴァーの2001年の作品である。コンピューターでメールができたり、表計算ができたり、便利さが明らかになってビジネスの世界で使われるようになってきた時代。サイバー攻撃も顕著になっていた。
サイバーの世界をディヴァーは「青い虚空」という造語で表した。著者の言葉で現実世界とマシン世界の二つがマシン世界がお互いに距離を近づけているという。昨今の生成AIの状況を考えると、現実になってきている感がする。
サイバーの犯罪者がその技術を駆使して、獲物の情報を入手し、殺人に至る。警察は服役しているサイバーの天才を利用して犯人の捜査、殺人の予防に当てる。しかし犯人とその相棒は上手を行き、なかなか捕まらない。それどころか担当捜査官が殺害され、協力サイバー者も危うく殺されかける。そこはディーヴァーのこと、最後にどんでん返しがある。サイバー犯罪者は殺され、犯人は逃亡する。その正体は不明。主人公も最後の仕掛けにピンチを迎える。
昨今のサイバー攻撃は国家がらみとなり、犯罪も巧みにフアイアウオールを潜り抜けて、ますます巧みになってきている。
恐ろしいコンピューター世界になったものだ。
サイバーの世界をディヴァーは「青い虚空」という造語で表した。著者の言葉で現実世界とマシン世界の二つがマシン世界がお互いに距離を近づけているという。昨今の生成AIの状況を考えると、現実になってきている感がする。
サイバーの犯罪者がその技術を駆使して、獲物の情報を入手し、殺人に至る。警察は服役しているサイバーの天才を利用して犯人の捜査、殺人の予防に当てる。しかし犯人とその相棒は上手を行き、なかなか捕まらない。それどころか担当捜査官が殺害され、協力サイバー者も危うく殺されかける。そこはディーヴァーのこと、最後にどんでん返しがある。サイバー犯罪者は殺され、犯人は逃亡する。その正体は不明。主人公も最後の仕掛けにピンチを迎える。
昨今のサイバー攻撃は国家がらみとなり、犯罪も巧みにフアイアウオールを潜り抜けて、ますます巧みになってきている。
恐ろしいコンピューター世界になったものだ。