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2024年02月14日

パルウイルス 高嶋哲夫著 角川春樹事務所

 首都感染を書いた高嶋哲夫がコロナ後ウイルスを題材にパンデミック小説を書いた。
 今度はエボラより強力なウイルスで、シベリアのマンモスに由来する。地球温暖化とロシアのシベリアガス開発から凍土が融けてマンモスが発見されている。この死体に封じ込められていたウイルスが感染源になって、人類の危機が訪れるという内容である。
 コロナの戦いは終わっていないがもとをただせば人間が自然界を荒らすことによって、動物の持つウイルスが人間に感染するようになった。
 人類は地球温暖化とウイルス感染によって滅亡の危機にあるという警鐘を受け止めなければならない。
 それにしても先見性のある作家である、高嶋哲夫は。  


Posted by 北のフクロウ at 12:58Comments(0)読書

2024年02月14日

首都感染 高嶋哲夫著 講談社文庫

 この小説が2013年に書かれたことに注目する。
 コロナが蔓延したのは2019年末からであった。この小説では鳥インフルエンザのH5N1型で、ヒトーヒト感染が起きたことになっている。
 発生源は中国で、たまたまサッカーのワールドカップが北京で行われたときに世界に拡大した。いち早く気づいたWHOの元メディカルオフィサーであった主人公が、感染防止のために東京都封鎖を時の総理大臣や厚労大臣とともに断行する。父親が総理大臣、厚労大臣が別れた妻の父親という人間関係がいかにも小説的だが、感染防止に取った手段は適切であったようで、世界が注目するほど、感染者数、死亡者数で低値を示した。
 ただこの小説では触れられていないが、日本の他の飛行場でも感染者が発生したにもかかわらず、隔離対策だけで感染が防止されていることには疑問がある。なぜ東京なのか?
 コロナでも首都戒厳令が取りざたされたが、経済的理由で中途半端なものになった。
 より強固に都市封鎖をした中国でも完全にコロナを封じ込めることはできなかった。結局ワクチンと治療薬の出現まで感染拡大を防ぐことができなかった。まだ現在に至るまでコロナを収束することができずにいる。
 ウイルスとの戦いはまだ続いている。  


Posted by 北のフクロウ at 12:50Comments(0)読書

2024年02月06日

沖縄コンフィデンシャル 楽園の涙 高嶋哲夫著

 高嶋哲夫の沖縄コンフィデンシャルシリ^ズの3作目。これでシリーズが完結するらしい。
 この3作目が高嶋が描きたかった沖縄コンフィデンシャル(極秘情報)であったようだ。
 チャンが犯人として登場し、沖縄でリゾートホテルと賭博場、いわゆるIRの利権に政治家、暴力団、実業家、中国マフィアが絡む事件の真相が明らかになる。さらに沖縄知事のスキャンダルまで絡む。ここまでのコンフィデンシャルを描きたかったのだろう。基地問題、人種問題、辺野古移転問題と沖縄を巡る問題点は山積みであるが、本土は沖縄の意向を無視している。沖縄は楽園ではあるが、そこに住む人々の涙を理解しようとしない。日本人の罪は重い。  


Posted by 北のフクロウ at 16:58Comments(0)読書

2024年02月06日

沖縄コンフィデンシャル ブルー・ドラゴン 高嶋哲夫著

 高嶋哲夫がすっかり警察小説を書くようになった。「追跡」では鉄道警察官が主人公であったが、沖縄コンフィデンシャルは沖縄県警の警察官を主人公にするシリーズもの。高嶋哲夫もついに警察小説作家となったかといささか残念な気がする。あとがきで細谷正充氏が同様の感想を持っていたようだが、天災も人災も人に害をすることでは同じと言って納得していた。私はまだ納得しない。人災ではスケールが小さい。
 沖縄を舞台にするところが高嶋氏らしいといえば高嶋氏らしいが、沖縄の抱える問題に切り込むわけではない。
 危険ドラックが沖縄で事件を起こし、東京へも飛び火する。犯人が中国マフィアであることを突き止めるがそのボスは意外にも元アメリカ将校でしかも黒人白人のハーフで、その子供が主人公の同僚警察官であったという設定。人種問題を一つのテーマにしているように思える。
 しかし日本の警察小説はアメリカのFBIに比べて迫力に欠ける。それは銃を持たないからで、警棒と空手が武器ではどうしようもない。
 最後は米軍のMPが出てきて、マフィアの銃に対抗する。FBIがSWATとともに、現場に踏み込むのとは迫力が違う。
 それだけ日本が平和であるということか?  


Posted by 北のフクロウ at 08:33Comments(0)読書

2024年02月06日

悪魔の涙 ジェフリー・ディーヴァー著 文春文庫

 ディーヴァーのパーカー・キンケードシリーズ。キンケードは文書検査士という特殊技能を持つ。リンカーン・ライムもちょい役で顔を出している。犯人は死んだと見せて、警察を右往左往させる狡猾さで、文書も巧妙に作られていて、キンケードも騙されかける。
 相変わらずのどんでん返しで、とんでもない人物が犯人であるのは、デジーヴァーの面目躍如としたところ。最後まで気が許せない。  


Posted by 北のフクロウ at 08:14Comments(0)読書

2024年01月26日

ホルモー6景 万城目学著 角川書店

 万城目正は本年度の直木賞作家に選ばれた中のひとり。図書館で探したらこの一冊が目についた。
 まず、ホルモーなる言葉が分からない。何やら京都にある大学のサークルが競い合う鬼の出るゲームのようである。これを理解するには第1作目の「鴨川ホルモー」を読まねばならないのかもしれない。
 氏は京都大学法学部卒のエリートであった。某繊維会社に就職し、サラリーマン生活を送っていた。それが作家の道を歩むようになって、ホルモーなる奇妙な小説を書くようになった。京都という土地柄の持つ古き都のイメージには魑魅魍魎の跋扈する怪しげな世界がある。それと現代を結び付けて、誰も描けない世界を表現した。文章は軽妙であり、面白いが直木賞に値するかどうかを問われるとクエスチョンマークが付く。
 6度候補に挙がって、ようやく選ばれたというところに選考委員の迷いがあるように思われる。  


Posted by 北のフクロウ at 08:15Comments(0)読書

2024年01月24日

警鐘 リー・チャイルド著 講談社文庫

 またやってしまった。この小説はかって読んだことがあったのだ。買うときに読んだかどうか確認したつもりであったが、帯書きを読んでも記憶がなかったので、安心して買った。しばらく読んでも既読の気がしなかった。しかし記事一覧で確認したところ、2022年8月24日に読んでいるではないか?しかも恐ろしいことにが蘇らず、あたかも初めて読むように内容が新鮮なのだ!いかに記憶力が衰えていることか。
 最後のほうになって、若干記憶がよみがえってきた。どんでん返しが面白い。最後まで騙されて読んでいた。おそらく3度目はないと思うが、あてにならない。リー・チャイルドのジャック・リーチャーシリーズは9作あるということだから、また同じような目に会うかもしれない。
注意しよう。以下前回のブログをコピーする。2度同じことを書く気がしない。
 「ニューヨークから私立探偵がリーチャーを捜しに来るが、何者かに殺されてしまう。依頼主を探すためにニューヨークで出かけると、元上司もガーバー将軍であることが判明する。彼は心臓病でリーチャーに会う前に死亡しており、ニューヨークに行った折にはちょうど彼の葬儀であった。そこで将軍の娘の弁護士に再会し、ロマンスにおちいる。ガーバーの依頼は病院で出会ったやはり心臓病の老夫婦の息子がヴェトナムで行方不明になっていて、帰国を果たしていないので、真相を調べてほしいとのことであった。そこで、ヴェトナムでヘリコプターの墜落事故で、息子が行方不明になった真相を探るうちに、軍が何かを隠していることに気が付く。一方で倒産間近の会社を舞台にした詐欺事件が進行していて、その犯人がヘリコプターの墜落で生き残った息子らしいとにおわせる。大きなどんでん返しで真実が明らかになる。」  


Posted by 北のフクロウ at 08:14Comments(0)読書

2024年01月20日

虚構金融 高嶋哲夫著 実業之日本社

 高嶋哲夫の経済、政治、司法小説。
 こんな小説も書けるのだ、と高嶋哲夫の幅の広さに敬服する。
 ある銀行と政治家の贈収賄事件を捜査する検察官が主人公。その捜査の過程で、財務省官僚と政治家が何者かによって殺される。
 そこには日米間の密約があった。
 いま日本は東京特捜部の自民党裏金事件捜査で、騒がしいが、この小説では銀行合併を巡る金融庁の大臣、金融庁長官に対する銀行の贈賄が表の事件である。ここでは銀行頭取の懐刀が逮捕され、自白が採れ、事件のほうは検事側の勝利となるが、官僚と政治家の殺人事件はアメリカからの暗殺者が犯人として明らかにされる。その裏にはアメリカ国債購入の密約が日米間にあって、それを暴露されることをアメリカが嫌ったということになっている。
 いま日本の財政は厳しいが、ここでアメリカ国債を政府が売ったらどうなるだろうか。
 かってアメリカ国債売却を政治家がほのめかしただけで、アメリカ国債が暴落し、ドル安、円高に振れたという。今の円安を打開するためにはアメリカ国債を売って、円高に誘導するのもひとつの解決策かもしれない。
 検察検事を主人公にする小説は少ないが、こんな人間性あふれる人物が検事側に少ないのが小説にしづらいのであろう。  


Posted by 北のフクロウ at 09:42Comments(0)読書

2024年01月16日

紅い砂 高嶋哲夫著 幻冬舎文庫

 高嶋哲夫はこんな小説を書くんだという意外感を持ちながら読んだ。
 中米の架空の国、コルドバに起きた革命事件。メキシコ国境で起きた避難民に対する発砲事件で軍を追われたアメリカ軍兵士が主役。
 アメリカの資産家が私兵を組織して、コルドバの革命軍のクーデターを計画する。それに参画するのが上記のアメリカ元兵士。革命は微力な兵力ながらリーダーのカリスマ性もあって成功する。最後にドローンでリーダーの呼びかけがあって、政府軍、革命軍の銃撃戦が停止するあたりは、本当にそんなことができるのかなという疑問が生じるが、そこは小説、日本人作家のミリタリー作品としてはこんなものかなと思う。
 中南米の政争、麻薬組織、アメリカの対応などもっと深い背景があるので、こんな革命騒ぎがすんなり成功するとは思えない。ましてや資産家の私的な復讐劇が動機とあっては、ますますである。
 しかしながら高嶋哲夫の小説のジャンルを広げようとする努力には敬服する。  


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2024年01月12日

官邸襲撃 高嶋哲夫著 PHP文芸文庫

 高嶋哲夫は災害や原発事故などパニック小説で知られている。
 今回は日本の官邸がテロリストに襲われるというショッキングな事件を題材とした。しかし自然災害に比べてスケールは小さく、いかに大事件化するかに苦労しているようだ。ミステリーとしてはあまり成功していない。
 ただ、シェールオイルの環境汚染を犯人側の動機の一つにしているところは高嶋らしい。
 大統領の隠し子の存在などいかにも日本的で、大統領の苦悩は嘘くさい。本物の大統領なら、隠し子の存在など無視、あるいは抹殺しようとするであろうし、国務長官の行動など、無理がある。主人公の存在をテロリストが気が付かないはずがなく、いかにもヒロインらしく扱っているが、無理がある。
 高嶋はもっと大きなパニック小説が似合っている。  


Posted by 北のフクロウ at 08:32Comments(0)読書

2024年01月09日

壊れた世界で彼は フィン・ベル著 創元推理文庫

 作者はニュージーランド在住の南アフリカ人。
 ニュージーランドのミステリーというのは初めて読むが、レベルは結構高い。
 原題は「GOOD HOT HATE」(改題する前はThe Easter Make Believers )。イースターにニュージーランドには珍しい大雪が降ったころに事件が起きた。善良な一家の家にギャングが立てこもり、取り囲んだ警察の目の前に爆発事故が起き、ギャングたちは死亡、家族は母親が重症、父親はアギャングのひとりに拉致されて行方不明、子供は無傷で助けられた。この不可解な事件に二人の組織犯罪対策本部の刑事が取り組む。なぜギャングが複数人立てこもったのか。ギャングのひとりが父親だけ連れて逃亡したのか。謎である。
 ニュージーランドの南島はかって金が採れ、中国人やスコットランド人や世界中から人が集まった時期があったという。その痕跡が鉱山の坑道の形で残されているという。この坑道が事件のカギを握る。事件は意外な展開を見せ、予想外の犯人が見つかる。しかし坑道に残された刑事のひとりは最後に死を選択する。これも意外な理由である。Good Hot Hateのタイトルが意味するところは深い。
 日本のタイトルは「壊れた世界で彼は」というが、これの意味するところも深いが、これを読んだだけでは意味不明である。
  


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2024年01月04日

姑の遺品整理は、迷惑です 垣谷美雨著 双葉文庫

 垣谷美雨は日常の社会問題を軽妙に描く作家である。
 ここでは義母の遺品整理に苦労する姿を軽妙に描いている。
 断捨離は私にとっても大問題で、いかに見綺麗にして死ぬかがテーマであるが、遅々として進まない。
 この小説を読むと、早く何とかしなければと思うが、なんともならない。最後は清掃業者に処分してもらうことになろう。
 少なくとも写真だけは整理した。あとは本だが、売れるものは売ったので、後はごみに出すしかない。衣類は少しずつ燃えるごみとして処分していく予定だ。
 今年のテーマは身辺整理を進めることにしよう。
 この本を読んだ結論がそれになった。  


Posted by 北のフクロウ at 08:42Comments(0)読書

2024年01月04日

追跡 警視庁鉄道警察隊 高嶋哲夫著  角川春樹事務所

 こちらも高嶋哲夫の著作。パニック以外のジャンルで、しかも警察ものというのが珍しい。警察ものでも本流の刑事ものではなく、鉄道警察隊というのも高嶋らしい選択。事件もすりや切り裂き事件と地味なもの。新人警察官の執念の事件解決の経緯が人間臭く描かれている。  


Posted by 北のフクロウ at 08:30Comments(0)読書

2024年01月04日

神童 高嶋哲夫著 幻冬舎文庫

 高嶋哲夫は震災、津波、台風、原発事故などパニック小説が有名だが、将棋の世界を世界を描いたのが本作で、新境地を開いたもの。
 二人の天才が互いに将棋の世界に飛び込んだが、一人は将棋の世界で7冠を達成するまで成長する。
 一人は人工知能で世界的に有名な学者アになっている。
 その二人を主人公に、子供時代と人間対コンピューターの対決の現代を交互に描いて、二人の対決を盛り上げている。
 もう一つの物語として、学者の実家の情報機器会社の買収問題が絡む。米国の大手と組むか、中国の会社と組むかの選択を迫られる。
 こちらは学者の弟が中心となっているが、日本の中小企業の在り方として興味がある。
 人間対コンピューターの対決は結論を出してはいないが、昨今の藤井8冠の活躍を見ると、まだ人間のほうが上ではないか後思う。
 最も藤井7段はコンピューターで将棋を相当研究しているというから、コンピューターのほうが強いかもしれない。  


Posted by 北のフクロウ at 08:25Comments(0)読書

2023年12月27日

北朝鮮急襲トムクランシー&スチーヴ・ビチェニック著 扶桑社ミステリー

 トム・クランシーのOPセンターもの。ビチェニックの第2作目に相当する。
 北朝鮮の独裁者が中国と密約し、韓国の領土内を自国領と主張し、そこにある天然ガスを中国に売ろうとする。
 自国領と主張するために地雷網を築こうとして、艦船を派遣する。たまたま訓練中のアメリカ海軍はそれを阻止しようとするが、北朝鮮の狙いはアメリカ海軍の沿岸域戦闘艦の拿捕にあった。攻撃で戦闘不能になった戦闘艦は島に座礁するがその戦闘員を救出するために、オプセンターが活躍する。
 話はそれにとどまらず、アメリカ国内のテロ事件の防止にも彼らが活躍する。
ビチェニックは軍事おたくのようでやたらとアメリカの軍事装備について詳しい。この情報は敵国を利することになると思われるが、アメリカにはそのような気配がない。自国の軍事力を誇示したいのか、そのおおらかさにあきれる。  


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2023年12月27日

吟遊詩人の魔法 イラナ・マイヤー著 創元推理文庫

 中世のどことも知れぬ国の吟遊詩人を主人公とするファンタジー小説。
 吟遊詩人は練達者は魔法が使えたが、ある時からその魔法が使えなくなった。
 魔法を求める道があるようで、宮廷詩人の魔手から逃れて、その道を探求する吟遊詩人の動きを描く。
 魔法使いの吟遊詩人がいるようで、死んだはずの吟遊詩人が生き返ってくる。そうかと思うと生き返らない吟遊詩人もいる。
 そのあたりの塩梅がよくわからない。不思議な小説である。  


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2023年12月18日

ハリケーン 高嶋哲夫著 幻冬舎文庫

 高嶋哲夫の災害パニック小説の一つと思って読んだが、豪雨による災害はあるものの、一種の家庭小説でもあった。気象庁の予報官家族に起きた子供のいじめ問題、妻の母親の認知症問題、若い自衛官の叔父による集り問題、山を削っての宅地開発問題。広島の豪雨による馳走崩壊による宅地崩壊事件を背景に様々な人間模様が描かれて散る。高嶋哲夫の新境地の小説である。  


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2023年12月18日

脇坂副署長の長い一日  真保裕一著 集英社文庫

 真保裕一の警察もの。
 賀江出町という田舎町の警察署に訪れた多忙な一日。一日警察署長にその町出身のアイドルがやってくることになった。その朝、若い署員の失踪事件が起き、中学校の盗難事件も起きたようだ。副署長の家庭では妻と長男が急に外出したことを嫁に行った娘が発見した。
 どうも所内には警察内の派閥抗争があるようだ。イベントに来たアイドルに薬物接種の疑惑の投書があり、警察はその対応に右往左往する。どうも9年前の火災事故の社長の自殺事件と関係がありそうだ。もろもろの入り組んだ事件を副署長が奔走して見事解決する。  


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2023年12月13日

キル・ショット ヴィンス・フリン著 マグノリア ブック

 CIAの凄腕のスパイの暗殺者。CIAの極秘のリストに則って、暗殺を行っているが、リビアの石油相をパリで暗殺しようとしたところ、何者かに待ち伏せを食らい、危うく一命を落とすところだった。CIAの内部から情報漏れがあったようで、その秘密を暴くべく、恋人と一計を案じる。それは成功するが民間人やフランスのDGSEの担当者やCIAの手先がCIAの反逆者によって殺傷される。そこから裏切りの全貌が明らかになり、身の潔白は証明され、裏切り者は一掃される。
 浅いスパイ小説ではあるが、結構楽しめる作品だ。
 作者は「アメリカンアサシン」を書いていて、本作はその続編にあたる。  


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2023年12月07日

スティール・キス ジェフリー・ディーヴァー著 文春文庫

 おなじみのリンカーン・ライムシリーズの第12作目。捜査の過程で事故により半身不随の身体障碍者となった犯罪捜査官が刑事事件から足を洗って、民事の裁判のコンサルタントになっている。事件はエスカレーターの踏み板が突然開いて落下した被害者は死んでしまう。刑事事件として扱うライムの恋人のアメリアと民事のコンサルタントのライムが同じ事件で協力する。
 相手はハッカーの凄腕でIoTの機器を操作して、殺人を行う。IoTを犯罪手段とする事件は2017年当時は最先端の犯罪事例だったろう。
 自動車、エレベーター、ガス機器、エスカレーターなどコンピューターを搭載した機器はすべて殺人機器となりうることになる。こういう最先端の社会現象と犯人の意外性、そこにはディーバーの得意のどんでん返しがあって、読者を飽きさせない。ますます目の離せない作家である。
 ここまで書いてきて、過去どれくらい彼の作品を読んだろうか、振り返ってみた。何とこの「スチール・キス」は2021年の6月に一度読んでいた。しかし読んだという記憶が全くない。記憶力の衰えに愕然とする。だが待てよ、同じ作品を新鮮な気持ちで読めるということは反面幸せなことでもある。そのうち10冊くらい本があれば、繰り返し新鮮な気持ちで同じ本を読むようになるかもしれない。  


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