春雷 葉室麟著 祥伝社
葉室麟氏は最近なくなった。
彼の作品に羽根藩3部作といわれる小説があって、この作品はその3作目に当たる。
「蜩の記」が第1作、「海鳴り」が2作目、そして、本作が3作目である。
いずれも自分の信念に基づいて、窮屈な生き方をする主人公が出てくる。
この「春雷」でも鬼といわれるほど、藩の財政再建に努める多門隼人が出てくる。
そのかたくななまでの生き方は、主君の馬に蹴られて死んだ娘と、流産したお腹の子供の恨みを彼なりに行き方で晴らそうという動機がある。藩財政を再建するための沼地の干拓事業も彼なりの生き様である。
このような生き方はなかなか真似が出来ない。それだけに魅力があるのだろう。
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