震災後 福井晴敏著 小学館

北のフクロウ

2018年03月05日 09:57

震災とは2011年3月11日の東日本大震災をさし、この本は2011年11月に出版された。震災直後から週間ポストに連載されていた。
 サブタイトルに「こんな時だけど、そろそろ未来の話をしようか」とあり、原発事故のあと、原発反対派の行動や、発言に対して、一席を投じる内容になっている。エネルギー源として原子力発電の存在を否定するだけではダメで、太陽衛星発電を考えるべきだという提言であるが、すこし唐突な感がある。自然再生可能エネルギーには悲観的な意見であるが、こちらの方がより現実的だろう。原発事故の解決の目処も立たず、放射性廃棄物の処分も出来ていない所に、原発を再稼動するべきではないし、何よりも原発の発電コストが本当に安いかどうかをしっかり検証すべきであろう。FITをどんどん下げて再生可能エネルギーの参入を阻害する政策は誤りで、今は原発無しで電気を作ることに注力するべきである。
 大震災後にいち早くエネルギー政策を取り上げた著者の着眼は作家の問題意識の高さを示しているが、解決策が太陽衛星発電であるというのはどんなものだろう。

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