タナーと謎のナチ老人 ローレンス・ブロック著 創元推理文庫

北のフクロウ

2018年02月22日 08:57

 ローレンス・ブロックのいくつかあるシリーズのひとつ。主人公エヴァン・マイケル・タナーは朝鮮戦争で頭に銃弾を受け、破片が残っているために睡眠の機能が損なわれ、眠ることが出来ない。そこを逆手にとって各国語をマスターした。その才能に目をつけた政府のある機関がプラハのフラデシー城に捕えられている元ドイツの傀儡政権の外務大臣を務めたネオ・ナチの活動家を救出し、重要な情報を得るという使命を与えられる。その救出にアメリカが関与していることが分からないように、タナーに任務が与えられたということである。その老ナチストが傲慢で糖尿病患者で、カタレプシーという病気持ちと来ているから厄介である。このカタレプシーというのは一見死んだようになって、動かなくなる病気で、これをうまく利用して、チェコから、ハンガリー、ユーゴスラビアを経由してギリシャに逃れようとする逃走劇である。この特異なキャラクターの主人公と老ナチストの絡みと、情報を入手する最後の場面が印象的な作品である。

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