抹殺部隊インクレメント クリス・ライアン著 早川書房

北のフクロウ

2016年12月22日 08:42

 クリス・ライアンはSAS隊員を主人公に作品を書いている。
 今回も元SASのマット・ブラウニングが主人公で、インクレメントというのは特殊抹殺任務のSASの超極秘部隊との争いを描いている。
 そのような秘密組織が実在するかどうかは知らないが、あっても不思議は無いだろう。この組織と軍事企業が結びついて、ソ連が開発中だった向精神作用薬剤を軍隊に取り入れようと画策するが、副作用があるためその存在を抹殺しようとする。この策謀に主人公が利用されるが、陰謀に気づき、対決することとなる。
 そのような薬剤が存在することは分からないが、軍隊という殺人集団を鼓舞するためにそのような薬剤があっても不思議はないところにこの小説の怖さがある。

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