水時計 ジム・ケリー著 創元推理文庫
先に読んだ「逆さの骨」の作者の同一主人公フイリップ・ドライデンが登場する作品。この「水時計」が処女作で、このあと「火炎の鎖」「逆さの骨」と続く。
第一作ですでに妻であるローラは交通事故で、水没した車に閉じ込められ救助されるが、閉じ込め症候群という後遺症が残り、寝たきりになっている。交通事故の原因となった相手が小説の重要な役割を果たしている。
主人公は地方週刊誌の記者であるが、もとは中央紙のばりばりの記者であった。妻の入院を機に、地方新聞社の記者となっている。ケンブリッジ近くの沼沢地を舞台にして、濃密な人間関係の中で起きた殺人事件であり、最後の種明かしまで誰が犯人かがわからない。
寒々とした冬季に起きた、寒々とした事件で、読んでいて心が寒くなる。
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