デセプション・ポイント ダン・ブラウン著 角川書店

北のフクロウ

2016年01月15日 10:26

 ダン・ブラウンの政治ミステリー小説。デセプション・ポイントとは欺瞞の極点と訳すようだ。
 ダン・ブラウンのダ・ビンチコードなどラングトンシリーズと違って、社会性に富んだミステリーで、ここではNASAにまつわる陰謀が中心。
 アメリカでもNASAにかかる費用は無視できないようで、反対派の標的になっている。特にNASAがさ科学技術の誇示に徹するあまり、その持つ軍事的なアメリカの優位性を損なうことが情報や軍事の関係者からは快く思われていないようだ。それが国益に沿うかどうかは意見の分かれる所だが、大統領選挙の争点となると穏やかでない。
 NASAの民営化をもくろむ反対派大統領候補とそれを阻止しようとする政府機関との争いが、とんでもない偽装工作を行う。
 それに巻き込まれる分析官が反対は候補の娘であるというから話がややこやしくなる。
 NASAの金食い虫は日本でもJAXSAのそれと重なる。
 無邪気に宇宙探検の成果を誇ることは良いが、その裏に宇宙戦争技術開発があることを忘れてはならない。どこまで秘密を守るころが出来るか、軍事、情報関係者が気を病むところであろう。



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