フランチェスコの暗号 イアン・コールドウエル、ダスティン・トマソン著 新潮

北のフクロウ

2015年03月24日 19:17

 ウンベルト・ウーコとダン・ブラウン、そしてフィッツジェラルドが手を組んで小説を書いたら、このフランチェスコの暗号になるだろう、という記述があとがきにあるが、まさしく青春小説「ヒュブロネロトマキア」と暗号と歴史が噛み合った複雑な小説であり、青春小説の部分がやや饒舌である。私の好みから言えば歴史と暗号、まさにダン・ブラウンの世界に絞り込んだ方がまとまった小説になったであろう。
 とはいえ、「ヒュブロネロトマキア」なる書物(これは実在するという)から、ここまで想像力をたくましくした作者二人は只物でない。
 一人は医者、一人は歴史専攻と言うから、面白い組み合わせであり、小説が複雑化したことも納得できる。
 歴史と言えば、サボナローラと「ヒュブロネロトマキア」の作者といわれるフランチェスコ・コロンナとの確執が宗教の狂信者と人文主義者との争いととらえたところが、いちばん面白かった。
 宗教と歴史と暗号というテーマがミステリーの一つの潮流になっているように思われる。

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