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2018年01月15日

限界点 ジェフリー・ディーヴァー著 文芸春秋

著者はリンカーン・ライムやキャサリン・ダアンスを主人公とするシリーズのミステリーを書いているが、この作品はノンシリーズ作品で、連邦機関所属の警護官。彼とその敵役である調べ屋という悪者から調査を専門に請け負うスペシャリストとのゲーム理論に基づく駆け引きが見もの。この調べ屋は警護官の上司を殺した敵であった。悪者の下請けに殺し屋がいることはよくあるパターンであるが、殺し屋のまえに調べ屋がいて、その調査結果に従って殺しを行う。しかし調べ屋は調査のためには殺しもいとわないという非情な面がある。
 警護官によって保護される依頼者の家族は誰を何のために保護されているかが分からない。警察官か、その妻か、その妻の妹か、はたまた警察官の娘か。そのような疑惑の中に、警護官と仇敵の調べ屋の虚々実々の駆け引きがある。
 対象が誰で、黒幕の悪者が誰で、動機は何かというところが、段々明らかになるが、その過程のスリルがたまらない。
 それにしても、警護官の部下の調査官の調査能力が素晴らしい。こんな部下を持った上司は仕事がやりやすくてたまらないであろう。
 大変上質のミステリーで、著者のリンカーンライムシリーズにあった、饒舌とも思える人間描写や性格描写が少し薄い分だけ、読みやすくなっている。


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Posted by 北のフクロウ at 10:53│Comments(0)読書
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