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読書・コミック  |札幌市北区

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2018年10月04日

 リンカーン弁護士 マイクル・コナリー著 講談社文庫

 マイクル・コナリーのマイクル・ハラー刑事弁護士シリーズの初期の作品。
 映画にもなったから、作品としてはこちらの方が有名かもしれない。
 自動車のリンカーンに乗ってカルフォルニア中を走りながら、弁護士活動をする所から、「リンカーン弁護士」の名前がついている。
 事件は売春婦の暴行事件の弁護を依頼された主人公が弁護の過程で真相を知り、有罪な依頼人を心ならずも弁護しなければならなくなる。その最中に自身の調査人の殺人事件の犯人の疑いが掛けられ、ピンチに陥り、最後は犯人に銃で撃たれて負傷してしまう。
 一方の裁判では巧みな弁護術で、新米の検事をたくみに操り、陪審の裁決に至る前に勝利を勝ち取る。このあたりの弁護術は素晴らしいものがあるが、とても正義の味方とはいえない。このあたりが愛情の有無にもかかわらず検事の元妻との離婚した理由であることが、作中に述べられている。
 主人公にナマズと刑事弁護士の違いについて、刑事弁護士は人の不幸を金儲けの道具にしているゲス野郎であるのに対し、ナマズは魚だ、と言わしめている。たしかにこの事件では有罪犯人を無罪にすることで、金を貰う、ゲス野郎というのが当たっている。その過程で無罪の人間を刑事調停で懲役にしていたことが判明する。それが刑を軽くする手段であっても、無罪を信じて裁判に臨んだわけではなかった。
 そこが刑事弁護士の難しい所だ。
   


Posted by 北のフクロウ at 17:31Comments(0)読書

2018年10月04日

ブラックボックス マイクル・コナリー著 講談社文庫

 「転落の街」に続くブッシュシリーズ作品。
 相変わらず、官僚主義を嫌い、独断行動で事件解決を図る。一匹狼が好ましい。
 上司としてはこれほど扱いづらい部下はいないだろう。
 20年前の事件を解決するためには、これほど執念を持って取り組まなければならないのだろう。
 ロスの暴動事件中に起きたデンマーク人の女性写真記者の殺人事件。弾道とピストルの追求から、意外な方向に事件が発展する。
 この展開の意外性が、作者の魅力である。
 捜査さなかに内部監察への摘発を受ける。この告発者が意外な人物で、内部監察員がボッシュの窮地を救う。
 このあたりの人物配置は憎いほどうまい。  


Posted by 北のフクロウ at 16:57Comments(0)読書

2018年10月04日

熊と踊れ ルースルンド&トゥンベリ著 ハヤカワ書房

 ネーミングが秀逸である。
 話は銀行強盗をし、その成功と破綻の物語であるが、親との確執が根底にある。
 熊との踊り方を教えたのも父親であり、銀行強盗が失敗したのも親のためであり、親子の関係が目を離せない。
 幾ばくかの成功は類稀な長男の計画力にあるが、成功の中に破綻する兆候が示されていて、読むものにいつ失敗するかはらはらさせるところが、作者の技量か?
 北欧ミステリーらしい重厚な語り口に引き込まれる。
 スエーデンのような知的な国民にも銀行強盗のような犯罪があるんだ、と変に納得しながら読んだ。  


Posted by 北のフクロウ at 16:43Comments(0)読書